見出し画像

インドネシアのお受験事情

わたしのクラスメイトは大学を出たばかりの年齢で、24~25歳くらいが多数を占めます。
彼らからインドネシアの受験事情を聴いたので記事にしたいと思います。
その前後にも、修論の関係でインタビューさせてもらった日本人(配偶者がインドネシア人)、インドネシア人から、子供の受験話、大学受験話をお聞きしてました。

急成長を遂げているだけあって、状況はどんどん変わっているようなので、2024年時点の話とご理解ください。
ナディム(Nadiem)教育大臣も変りました。

1.インドネシアでは小学校から私立にするのがメジャー

日本では中学受験は都市部を中心に増えていますが、小学校からお受験というのはまだ少ないと思います。
インドネシアではジャカルタ周辺を中心に、小学校を私立にするのが一般的になっています。
クラスメイトたちもジャカルタ周辺やバンドンといった都市部出身者については、私立小学校出身者がマジョリティーです。

一番の名門小学校はBPK Penaburです。

1948年にバンドンでスタートしたキリスト教系の学校で、全国展開しています。
わたしはキリスト教系ということは華僑ばかりかと思ったらムスリムの生徒もたくさんいるようで、宗教は関係ありません。

なぜ公立の学校があるのにわざわざ私立の学校に行くのか聞くと、教育レベルが全く違うのだそうです。

そして、インドネシアはよい中学校に入るためには全国テストでよい点を取らないといけないため、小学校のうちにちゃんと勉強しないと取り返しがつかなくなる仕組みになっているとのこと。

小学生の全員に共通テストを受けさせるとは、すごいですね。

あとすごいなと思うのは、自分たちの収入に比べて学費が高くても頑張って払うところです。教育熱がすごいのです。

これが今30代後半くらいの年代だと、自分たちは公立小学校で教育を受けたという人が多いです。それでも子供は私立小学校に通わせています。

2.中学校と高校は公立、大学は国立がメジャー

小学校は私立なのに、中学と高校は一転して公立になります。
なぜか聞くと、良い公立高校でないと、良い国立大学に行けないからだそうです。これは後で説明する学校推薦枠が関係してきます。

インドネシアは少数の例外を除き、トップクラスの大学は基本国立大学ですから、海外の大学に行かせられるような金持ちの華僑でもない限り、国立コースになるのでしょう。

中学受験、高校受験、大学受験とすべて全国テストでよい点を取らないといけない仕組みになっています。
しかも学校の成績は関係なく、テスト一発勝負なので、プレッシャーが無茶苦茶かかります。(あとで説明するように学校推薦制度はあり、その場合は成績が重視されます)

インドネシアの公立高校はナンバースクールになっていて、バンドンでいえばSMA2と8が名門らしいです。40点満点のテストで39点以上取らないといけないです。
そこそこ名門高校のSMA3でも36以上と言っていましたから9割です。

インドネシアは今のところ学区制になっています。
わたしの時代の都立高校ですね。わたしが住んでいた小平市は8学区と9学区を受験できました。
小平、国分寺、田無、保谷、東村山、東久留米、清瀬、武蔵野、小金井です。
今は東京も神奈川も学区に関係なく好きな高校を受験できるようになりました。

3.大学受験

3通りの方法があります。

(1)推薦制度
日本のAO入試や指定校推薦のようなものです。
高校のレベルに応じて推薦枠を持っており、高校の成績をもとに高校側が大学に推薦し、大学側が選抜します。
進学実績のよい高校になると、全生徒の4割の推薦枠があると聞きました。

わたしのクラスメイトでも、この方法で大学に入った人がいます。名門国立大学にもこのやり方で入れるので、名門高校に通っているまじめな生徒はねらい目です。
この場合、テストの点は関係なく学校の成績が重視されます。

また、日本の指定校推薦と異なり、推薦するけど落ちるということもあるようで、全生徒の4割の推薦枠があると言う高校では、8名が学校推薦で決まったとのこと。
30名の推薦を出して8名しか受かっていないということは、普通受験の倍率よりは低いとはいえ倍率4倍弱ということになり、全く安心できない制度です。

(2)一般受験
全国テストの点数だけで勝負する一発受験で、本当に優秀な人間が選抜されます。
バンドン工科大学の合格率はインドネシアで一番低い=一番入るのが難しいと言われています。

テストは文系と理系で科目が違います。
両者に共通しているのは国語(インドネシア語)、英語、数学の3つ。
文系は社会系の学科、理系は理科系の学科を多く選択することになります。

(3)金持ち優遇枠
Mandiri銀行と関係あるのかわかりませんがMandiriと言います。
大学独自の選抜システムで、得点がそこそこ高ければ入れる代わりに(1)と(2)に比べ学費が無茶苦茶高いです。
これは国立大学が普通にやっていて、わたしの知っている限りインドネシア大学、バンドン工科大学もあります。ガジャマダ大学は分かりませんが多分あるはずです。

インドネシアの国立大学は自分で稼げと言われていて、金稼ぎに一生懸命です。Mandiriの制度はこの弊害だと言われています。
学生ローンの金利が異様に高いのも同じく金儲け体質から発生している問題です。

これらの3パターンの入試は、大学によって割合が変わります。
お金稼ぎに熱心な大学だと、(3)マンディリの割合を高くしたりするのです。

Gojek創業者の教育大臣が作った制度ですから、新大臣のもとでまた変わるかもしれません。

4.大学院受験

大学院もTEAP(Test of English for Academic Proficiency)という全国テストを受けないといけません。
バンドン工科大学の場合、大学の合格レベルの点数に比べると大学院の点数はそこまで高くないようです。
600点満点で450点以上と言っていました。

わたしがガジャマダ大学のMBAを受験したときにアドミッションオフィスの人とやり合いになったテストです。
日本人のわたしにTEAPを受けろというんですよ。

ちなみにテストはインドネシア語で、受験場所はインドネシアです。

わたしは「外国人を受け入れている以上、TEAPを受けさせるのは矛盾した行為じゃないか」と追求しました。おかしいと思いませんかとやりましたが、全くダメでした。

よくあるレベルの低いインドネシア人の対応です。ルールでそうなっているのでといって逃げるやり方です。
日本人でもたくさんいますから仕方ありませんが、そういう人に限ってルールを知らず、調べもせずに言っていることが多いです。

バンドン工科大学はこういうことが一切ありませんでした。

でも、クラスメイトたちはわたしがTEAPを受けていないと言ったら驚いていました。受けなくても入れるんだ!?という驚きです。

わたしが、どうやってインドネシア語の試験を、しかもインドネシア国内で受けるの?と聞くと、「確かに外国人に受けさせるものではないな」と納得してました。

おわり

いいなと思ったら応援しよう!