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インドネシアの雨季がスタート【2023年10月下旬】


■ インドネシアの気象庁発表はない

BMKG(Badan Meteorologi Klimatologi dan Geofisika)という1866年にオランダ東インド会社により設立された、由緒ある機関があります。もともとは1841年にボゴールのオンネン医師が個人で始めた観測がスタートです。

雨季入りの予測はしており、23年の雨季入りは例年より少し遅れ気味のようでした。そして、地図で見る限り雨季入りにずいぶん幅があります。西からだんだんと雨季になっていきます。
地図で色分けされていて、バンドンは11月最初になっています。ところがもう毎日午後に大雨が降りますし、みんな雨季になっているというので、わたしも若干フライングなんじゃないかと思いつつ、雨季入り宣言いたします。

日本だと気象庁が梅雨入りと梅雨明け宣言をするんだよというと、クラスメイトはインドネシアはないと言っていました。「だって雨が毎日降れば分かるだろ?」と。確かにそうですね。
「それに、雨季に入ったから傘を持ち歩きましょうとか言うの?天気予報くらい当てにならないものはないのに、何のためにみんなに知らせるんだ?」とも聞かれ返答に窮しました。確かに公式に発表してもらわないと困る人はどこにもいないように思います。農家の方が田植えや作付けのタイミングを知りたいとかですかね。

■ インドネシアの季節は雨季か乾期かのみ

インドネシアには雨季と乾季の2種類しかなく、4月から10月が乾期、11月から3月が雨季と言われています。ピークは1月、2月で、ジャカルタでは毎年洪水がニュースになります。
日本の梅雨とは異なり、午後15時以降に夕立のような豪雨が雷をともない小一時間降って終わりということが多いです。
ただ、必ずそうかと言われると、しとしと雨が降り続けるときもあり、インドネシア語の語彙も雨を示す言葉が複数あります。といっても大、中、小レベル。

インドネシア人は雨の強さには意外に敏感で、わたしが雨が降ってきたねという感じでHujanを使うと、すかさずグミス(リにアクセント)=小雨だと訂正されます。
わたしの印象だと「これ小雨じゃないでしょ」という結構粒大きめの雨でもグリミスと言っている印象です。

Hujan 雨
Hujan lebat 大雨 (derasの方が一般的)
Hujan deras 大雨(スンダ語ではンガブッと言います。レにアクセント)
Hujan grimis 小雨(スンダ語ではムルイと言います。プにアクセント)

わたしはムルプイが結構気に入り、多用しています。そのうち飽きるかも。アイヌ語っぽい響きに哀愁や時にウキウキ感を感じています。

日本語も教えてくれと言われ、グリミスはもう少したくさんの言い方に分かれるねとして、小雨、霧雨、春雨を教えました。普通の雨も五月雨、時雨、通り雨、いっぱい降るのは大雨、夕立、豪雨、土砂降りとか。晴れているのに雨が降るのは天気雨というんだとか。
雪もあるだろと言われたので、雪いきますか?もっとすごいよといって雪の言い方を説明し始めたら(新沼謙治の「津軽恋女」も参照)、インドネシア人たちはうんざりしてきて、日本にはいくつ言語があるんだと聞いてきました。
インドネシアで例えるとジャワ語やスンダ語の語彙をインドネシア語に入れてきていると感じたようです。
たぶん季節があるから、季節ごとに雨の言い方が変わるせいで増えていると思う、と伝えました。本当は違うんですけどね。雨を見た人間のその時の感情や感覚が移入されるから違う言葉になる面があると思います。

■ 雨季になると変わること

バンドンで雨季を迎えるのは初めてなので、勘違いしている可能性はありますが、雨季に向けて変わる点について気づいた点を書きたいと思います。

体調を崩す人が増える:最初にジャカルタに赴任したときから変わっていません。若干気温が下がるので寒いと言い出します。これはもうお決まりのパターンです。
菌が繁殖しやすくなり、下痢も増えるのだろうと思います。 

長袖ジャケットを着始める:やっぱり寒いみたいで、ジャンパーみたいのを羽織りだします。セーターを着ている奴もいます。わたしはオシャレしたいだけなんじゃないかと思っていたら、本気で寒いと言っていて驚きました。最低は20度を割りますが、最高気温は30度ありますからね。わたしからするとどこが寒いの?って感じです。

ヤモリが出現する:8月に来たときは見ないなと思っていたら、10月に入ってたくさん出てきました。それと同時に若干虫の数も増えた感じがします。
クラスメートに聞いたら、我が家は一年中ヤモリがいるから意識してなかったと言われました。

雑草が勢いよく生え始める:乾燥した地面を這うように弱弱しい草が生えていただけだったのに、濃い緑の力強い草がにょきにょきと伸び始めます。

花がくすみしおれてくる:大学で咲く花は8月がピークと聞きました。たまたま8月にピークを迎える花がそろっている可能性はあります。日本の花はパッと咲いてパッと散るイメージですが、ここの花は2,3か月ずっと咲き続けているイメージです。

雨が降ったら会社を休む:わたしがジャカルタに駐在していた時の話なので、今は違うかもしれません。最初はとても驚き、カメハメハ大王の歌詞は本当の話だったんだと色々な人に話した記憶があります。
怠けているのではなく、洪水や倒木で道路が封鎖され出られないとか、家が実際洪水に見舞われたとか、切実な理由です。
わたしも日本で集中豪雨の影響で電車が大幅に遅延した時は在宅に切り替えたことがあります。今や日本も南国のような気象になって来ましたね。

傘は常に持たない:変わることと言いながら変わらないことを書いてしまいました。折り畳み傘を持つようになると思いきや、持たないままです。何で雨が必ず降ると分かっていて持たないの?と聞くと、「インドネシア人は面倒くさがりだから、なるべく荷物を減らしたいんだ。それに傘を持っていると無くすだろ」という反応でした。

■ 雨季で使う語彙

ムシム フジャン:雨の季節=雨季
バンジール:洪水のこと
ポンチョ:日本のポンチョと同じ雨具。バイク乗りは持ってます。あるいはジャス フジャン(雨ジャケット)を着ます。
パユン:かさ。使っている人はほとんど見ません。
オジェック パユン:かさ小僧。大きな傘を持ってきてくれぬれないようにさしてくれる子供たち(バンドンでは見たことはありませんが、ショッピングモールにいるらしいです)。
バサ:ぬれている、湿っている。反対語はクリン
モゴック:止まる。洪水の中を無理に車で走って水浸しになり車が壊れて止まる。わたしがかつて運転手に、雨渋滞でイライラして「もう行ったれ」というと運転手からやめておこうと冷静に諭される時に聞く言葉です。

洪水の渋滞(渋滞=インドネシア語でマチェットと言います。詰まっているという意味)は、4車線くらいある道を一番水深が浅い車線に車たちが殺到することで起きます。なので、他の空いている車線を抜ければスイスイと進めます。
トヨタのキジャンなどが豪快に波をかき分け進むのをみて、うちの車もセダンはやめてキジャンにすべきじゃないか、と社員たちに提案したら全員から反対されました。
「会社を訪問するときにキジャンだと恥ずかしい、セダンタイプじゃないとダメだ。」というのです。当時は税金も倍くらいセダンの方が高かったので、無駄だなと思いつつも、みんながハッピーな方がいいだろうとセダンにした記憶があります。

雨季は果物の季節でもありますので、楽しみたいと思います。

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