ライム胡椒に合う食材を探す インドネシア
柚子胡椒の替わりにインドネシアで手に入る食材でライム胡椒を作りました。
柚子胡椒とは異なる特徴を持った調味料ですので、どの食材が合うかいろいろ試してみました。
作りたては味が馴染んでおらずひどいものでしたが、1週間経つとだいぶよくなってきて、料理に合わせてもよい状態になりました。
実験の過程で使いすぎ、あっという間に半分くらい減ってしまいました。また作らないと。
1.刺身
カツオのたたきが合うんじゃないかと思ったものの、インドネシアでカツオは売っていません。
日本食スーパーパパイヤで刺身の盛り合わせを購入し、試してみました。
まぐろ赤身
合わないんじゃないかという予感がしつつも、やってみました。
やはり合いません。
ワサビに比べると数段落ちてしまいます。
あえて説明するとすれば、まったくかみ合わない状態で、キャッチボールであらぬ方向にボールを投げた感じがします。
サーモン
これも合わないだろうと思いつつ、やってみました。
まぐろよりはましですが、合いません。
もしかしたらあぶったらちょっとましになる気もしました。
アメリカにいたときよく食べたキングサーモンは、バターとレモンを合わせると美味しかったのです。
表面をバーナーで焦がして炙りサーモンにして試してみたいと思いました。
バーナーを日本に置いてきてしまって手元に無いんですよね。
ちょっと考えてみます。
タイ
これは合う予感があり、やっぱり合いました。
ワサビよりずっとおいしくなりますし、刺身醤油なしでライム胡椒だけで食べるのもかなりおいしいです。
タイのような淡泊な白身は醤油でなく塩で食べたり、昆布でしめてうす味で食べる方がおいしい時がありますから、合うのは当然かもしれません。
タイが合うということは、同じ白身のヒラメは合うんじゃないかと思います。でもインドネシアでは売っていません。
貝も合いそうな気がします。ホタテは合うと思います。でも売っていないんですよね。
後は白魚、生しらすはなんとなく合いそうな気がしますし、桜エビもいけるでしょう。
サバは合わないと思います。イワシは微妙、アジは多分合います。サンマもいけるかも。
サンマは焼き物の方が合うと思います。
2.イカのにんにくバター醤油
イカの焼き物にレモンをかけることがありますよね。
生臭さが取れておいしくなるんじゃないかと思いました。
レモンをかけるのであれば、ライム胡椒は代わりの柑橘類として使える可能性があります。
結果はいまいちでした。少し仕上げのバターを入れすぎたかもしれません。
最初の一口がとくにいただけなかったです。
2つの味が全くかみ合わずスイングしませんでした(スイングしない:プロレスラー長州力の名言「おれと鶴田じゃスイングしないだろ」からいただきました)
2回目、3回目と進むうちに、味に慣れてきたのか、だんだんこんな味もありかなという気になってきます。
慎重に味を分析してみると、ライムの効果というより、塩と唐辛子の効果が中心という感じがします。ライムは何の貢献もしておらず、勝手に暴れているようです。
醤油だけでやったらどうなるか、ポン酢で仕上げたらどうなるか、イカの刺身をショウガ醤油の替わりにライム胡椒にしたらどうなるか、気にはなりますが、刺身で食べられる鮮度のイカはインドネシアにはありません。
3.きのこのソテー
秋といえばキノコです。インドネシアに秋も冬もありませんが、キノコは売っていますので、試してみます。キノコはインドネシア語でJamur(ジャムール)といいます。
マツタケにスダチをかけると香りが引き立つので、キノコに柑橘類は合う可能性ありと考えていました。
これも失敗です。
きのことライム胡椒がスイングしませんでした。
バターは少な目にしたのですが、そもそもキノコのニンニクバター醤油は、これだけで完璧な味のバランスですので、何かを足すとすべて余計なものになってしまうのでしょう。
ライム胡椒が勝手に乱入し、独り相撲を取った感じでした。観客から帰れコールを浴びせられるレベルです。
4.サテ
いよいよインドネシア料理で合わせていきます。
まずはインドネシアの焼き鳥「サテ」です。
サテには日本でも知られているピーナッツソースのサテと、塩味だけのサテ・アシン(ジャカルタではサテ・タイちゃん)があり、今回は塩味のサテ・アシンで挑戦します。
これは予想通りいけます。
ただ、サテ・アシン自体にすでにかなりの塩が効いているので、ライム胡椒を追加するとしょっぱくなりすぎ、そっちに気を取られてしまいます。
自分で塩軽めのチキンソテーを作るしかなさそうです。
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そして、昨夜作ったのですが、フライパンの焼き焦げでチキンソテー用のソースを作ってしまい、そっちに夢中になるあまりライム胡椒を使うのをすっかり忘れていました。
肉を焼いた後の肉油たっぷりのフライパンでソースを作ると滅茶苦茶おいしいので、もうフライパンを目にした瞬間条件反射でした。またチャレンジします。
5.チュアンキ
次もインドネシア料理です。
わたしが勝手にインドネシアのおでんと呼んでいるバンドン料理です。
バソやバタゴールを煮込んだ料理で、合わないだろうと思いつつためしてみたところ、意外にもばっちりでした。
ライム胡椒の塩分でしょっぱくなりすぎる恐れがあったため、湯豆腐で使っただし汁を少し直してチュアンキに入れ、塩分を薄めたのが影響した可能性はあります。
ただ、そうしなくても多分ぴったりだったと思います。
元の料理よりもかなりおいしくなります。あくまでも個人的な意見ですが、料理としてより洗練された感じがします。
これは大発見でした。
6.湯豆腐&冷ややっこ
湯豆腐と揚げ出し豆腐にはよくもみじおろしを使いますよね。
もしかして合うかもなと思ったんです。
ポン酢を使うから柑橘系でもあるし
今回のため、特別に日本食スーパーで絹ごし豆腐を買ってきました。
インドネシアの豆腐は酸っぱい味がするし、歯ざわりもいまいちなんです。
これはかなり行けます。
自分でも驚きました。
あえてポン酢を使わずにライム胡椒だけで食べてみたのですが、あたらしい湯豆腐の味を発見した感覚がありました。
豆腐って甘いんだ!という感覚です。
湯豆腐のように熱をおびた豆腐がよいのでしょう。ライム胡椒の塩分により大豆本来の甘味成分が浮き上がり、いままで気づいていなかった豆腐のおいしさの一面に気づかされます。
この料理はありだと感じます。
しかもただの塩でもいけないのでしょう。ライムと唐辛子の刺激により、単調になりすぎる湯豆腐をバランスのある料理として成立させています。
湯豆腐にポン酢を使うのと同じ原理です。
わたしはすっかり味をしめ、冷ややっこでも挑戦しました。
行けます。ただ湯豆腐の方が合う気がします。
あえて醤油をかけてみましたが、醤油とまぜるとライム胡椒と醤油が打ち消し合ってぼんやりした風味になってしまいます。
湯豆腐と同じように豆腐とライム胡椒だけで大豆の甘味をかみしめる料理に変化させるのがよいでしょう。
この感じだと湯葉も絶対にあいます。
湯葉はワサビ醤油でいただくことが多いですが、ライム胡椒の方が合う気がします。
湯葉をしゃぶしゃぶにして温かい湯葉にライム胡椒を合わせるのがベストだと思います。
7.日本酒のつまみ
塩で日本酒を飲むときがありますから、合うかもしれないと思ってやってみました。
ビールはすでに試して失敗してます。
メキシコのコロナビールはライムを入れて飲みますし、小麦のビール(ホワイトエールともいう。日本では「銀河高原ビール」がホワイトエール)はアメリカだとオレンジを入れますので、特に軽めのビールに柑橘系は合うと思っていました。
まず、皮を取ったあと塩漬けにしていたライムをジョッキに入れてみました。
味が濁ってしまい、さらにえぐみも感じます。
日本酒はまあ普通でした。
なんらかの相乗効果があるわけではないが、塩よりちょっとましなくらいです。
お酒の甘味を感じることができます。
大吟醸ではなく、わたしが好きな特別純米酒で試したらまた違った結果になったかもしれません。
今回合わせた「久保田萬壽」は大吟醸にしてはコクがある方なのですが、そうはいっても吟醸酒なのですっきりさっぱりした味です。
もう少し雑味がある酒の方が合うような気がしています。
8.茶漬け
永谷園の"鯛だし茶漬け"でチャレンジです。
これはいけました。
かなりおいしいです。
梅茶漬けは合わないと思いますし、鮭茶漬けも合わないかもしれません。
わさび茶漬けもワサビと唐辛子がぶつかる気がします。
この感じだと、シンプルな出汁をつかった「にゅう麺」は合いそうな気がしてきました。
冷たいそうめんより、温かい方が合いそうです。
9.ワカモレ風
これは合うに決まっているだろと思いました。
一応説明しますと、ワカモレはメキシコのディップで、アボガド、トマト、ハラペーニョ(青唐辛子)、ライム、コリアンダー、塩です。
レシピの中にライムも唐辛子も塩も入っているのです。
そこで、わたしはワカモレを作る代わりに、トマトとアボガドのサラダにし、オリーブオイルとライム胡椒、黒胡椒でドレッシングを作りかけてみました。
そして、ワカモレからは外れますが、トマトとモッツァレラチーズ(カプレーゼ)でもいけると思いためしました。
カプレーゼはサイゼリヤのメニューにあるので、食べたことがある人は多いのではないでしょうか。
サイゼリヤのモッツァレラチーズは水牛のミルクを使った最高のバッファローモッツァレラです。
まだ食べたことが無い人はぜひ試してみてください。
すぐに食べずに、ちょっと時間をおいて温度を戻してから食べるのがおすすめです。
あとオリーブオイルをかけるとおいしいですよ。
インフレ対応でチーズがどんどん小さくなってきたのが心配です。価格を据え置いてくれているので仕方ないとはいえ、たくさん食べたいです。
サイゼリヤさん、値上げしてもいいのでお願いします。
話を戻し試食です。
まずワカモレ風から。
普通に違和感なくいける味でした。驚きは特になく、本当に普通においしいというだけです。
オリーブオイルがそれなりに風味が強いため、西洋料理に近づいてしまいます。オリーブオイルではなくサラダ油でやったらもう少しライム胡椒の風味が際立ち面白い味になったかもしれません。
次にカプレーゼ
これはピンとこない味でした。
合わないわけではないのですが、ライムの存在感が消えてしまいます。
オリーブオイルと塩と胡椒だけでいいんじゃない?という感じです。
チーズと合わないのかもと思ってチーズだけで合わせてみましたが、それでもピントきません。トマトはまだ相性がいい感じはしました。
インドネシアではチーズはとても高いので、ちょっとがっくり来ました。
10.にゅうめん
これで最後です。
タイ茶漬けが意外に合うので、出汁との相性がよいかもしれないと思い、やってみました。
即席つゆの素を買えばよかったのですが、インドネシアで買うとすごく高いので、自分で出汁から作りました。
これが失敗だったかもしれません。はっきりいっておいしくない。
こっちの醤油がいまいちなせいかもしれません。薄口醤油がなく、普通の醤油でやってしまいました。
エビをいれて味の複雑さとうまみを高めました。干しシイタケを入れればよかったですが切らしていて、ありません。
とろろ昆布も追加しました。
結果は普通でした。
タイ茶漬けの時のようなレベルのおいしいには到底届きません。
まずいという訳ではなく、ちゃんとライムが香り、唐辛子のピリッとした感じも加わっているのです。
それでも以前日本にいたときに入れていた柚子胡椒のレベルには達していませんでした。
以上となります。
お金をかけてしまいましたが、意外に合う食材を発見できたし、満足しました。
これからもいろいろと試していこうと思います。
End