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身長100㎝のこびと、フローレス原人の化石が発見される

インドネシアの東ヌサトゥンガラ州にあるフローレス島で、こびとの化石が発見されたというニュースがありました。

新発見のように報道されていますが、残念ながら新発見ではありません。

あえていえば、今まで一番小さい人が106㎝だったのに、今回は100㎝だったということです。最高記録を更新したという訳です。
70万年前の地層から発見されたのも初めてではありません。

ホモ・フローレシエンシス(フローレス原人)の化石は2006年に初めて発見され、はじめは子供の骨なんじゃないかと疑われ、それから何度も化石が発見され、調査を重ねてきて大人の骨だということが分かってきていました。(2016年ナショナルジオグラフィック)

フローレス原人が興味深いのは、人類においても島嶼化が当てはまるという点です。
島嶼化というのは、孤立した小さい島に住む動物たちが、大型動物は中型化し、小型動物は中型化するという現象です。みな同じくらいの大きさになってしまうんです。

70万年前のインドネシアは、すぐ近くのジャワ島にジャワ原人が生活していた時期とかぶります。
ジャワ原人は少なくとも100万年前までさかのぼれると言われています。

今の説では、ジャワ原人が何らかの理由でフローレス島に移り住み、数万年から30万年の間に小型化したんじゃないかといわれています。
ロマンですよね。

ジャワ原人が発見された遺跡「サンギラン」からフローレス島まで1.656キロ(1,000マイル)

フローレス原人は、70万年前の化石が一番古く、一番新しい化石は6万年前の地層から発見されていますので、64万年の間、種が生存したことになります。
ちゃんと環境に適応していたからこそ子孫を長期間にわたり残し続けられたということです。

デニソワ人の話

原人ではなく人類の話でも、インドネシアには興味深い話があります。
現世人類であるホモサピエンスと同じ時代に生き、絶滅してしまった旧人類に、ネアンデルタール人とデニソワ人がいます。
ネアンデルタール人とデニソワ人は遺伝子的に近しい関係らしいです。現世人類だけちょっと違うんですね。

この二つの種と人類は交配していたため、現世人類の遺伝子に絶滅したネアンデルタール人やデニソワ人のDNAが混ざっているという研究成果が出ています。
わたしも「ネアンデルタール人はわたしたちと交配した」と言う衝撃的な題名の本を図書館で借りて読みました。交配というのは簡単な言葉でいうとSEXをしたということです。
DNAを汚染なく取り出すのって大変なんだなというのが一番印象に残っていることです。

ご興味のある方は、篠田さんの本もおススメです。キンドル版あります。

このデニソワ人の一部が、東南アジアにかなり最近まで生存していたことが分かっています(ニューギニアに14,500年頃まで生きていた説)。フィリピンの少数民族、ニューギニア高地人、オーストラリアの原住民は、デニソワ人のDNAがよく多く混ざっていて、なかでもフィリピンのアエタ族は5%も持っているそうです。


ジャワ原人の話

ジャワ原人は北京原人とならぶ原人の代表格です。
ジャワ島のソロから車で1時間ほどの場所に「サンギラン初期人類遺跡」という世界遺産に登録された遺跡があります。
ジャワ原人の化石はここで発見されているのですが、なんと、世界で発掘された人類の化石の75%がここで発掘されているそうです。

圧倒的なレベルですよね。

ジャワ原人の頭蓋骨の化石はオランダに持ち去られてしまい、今もライデン市の国立自然史博物館に収蔵されています。
返還運動が起きているという報道がありました。

まあ、ちゃんと保存してくれているだけましですね。
北京原人の頭蓋骨の化石は日中戦争のごたごたで行方不明になっていますから。
とんでもない話です。

フローレス原人のニュースにロマンを感じ、つい関係ない話まで広げて書いてしまいました。

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