スラウェシ島の温泉をめぐる旅 6日目 レンべ島、それからマナド観光
ビトゥン2日目。午後マナド行きのバスに乗るので、半日観光する時間がある。
といっても、ビトゥンにはこれといった目玉の観光スポットがなく、近年穴場的なダイビングスポットとして高級リゾート化しつつあるレンベ島くらいだ。
優雅にダイビングを楽しむ人々はマナドまで飛行機でやってきて、そのままタクシーに乗りビトゥンを通り越し対岸のレンベ島に渡ってしまう。
島好き人間として、ちょっと渡って様子を見ておこうと思った。昨日山から見た感じでは、対岸の港に町があるっぽかったので食事くらいはできるだろう。
船着場へいく
ビトゥンにはいくつか船乗り場があり、小さい船が出るのはpelabuhan(インドネシア語で港の意味)と書いていない、本当にここか?という小道を奥に行くと突き当たりにある。
下の地図で言えば赤い印が付いているところだ。
ここはいかにも田舎の港町という感じの、こぢんまりとしながら賑わいのある場所だ。
小店にはビールが置いてある。こんなに堂々と皆が行き来する場所でビールを売っているのは、インドネシアでは珍しい。
わたしは船の船長と話し、いつでも出発でき料金は50,000ルピアと聞いてから、ホテルに荷物を取りに戻った。
そして、船着場に来てみると、ちょうど船が出て行ったところで困ったなと思っていたら、わざわざ戻ってきてくれた。乗客の方々には申し訳なかった。
ここでは船の屋根に乗るのがしきたりのようだ。
バランスが悪くなり横波を受けて転覆するんじゃないかと思ったが、ビトゥンの港はちょうどレンバ島が細長く取り巻き外海から守ってくれているためか、まるで湖面のような穏やかさだ。
これなら大丈夫だろう。
途中落書きだらけのオブジェのような船を見た。救命ボートの中から草が生えていて、観葉植物を置いているようにも見える。
レンべ島にはゆっくり進んで10分かからずに着く。外から見るだけでわかる田舎っぷりにワクワクする。
レンべ島に上陸する
島に着いて50,000ルピア(500円)渡すと、船で話をしていた乗客から「もっと小さいお金を出さないとダメだよ、5000ルピア札(50円札)とか」と言われた。
「いや50,000ルピアなんだ。わたしは外国人だから高いんだよ」と面白おかしく話すと、船着場にいた見事な般若の和彫をしたかっぷくの良いおじさんが、「いくら外国人だからといってそんなにとっちゃだめだろ」と怒ってくれた。
わたしにももっと怒れというようなことを言っていたが、いやいいんだと言って町の散歩に出かけた。
わたしはラマダン中ということもあり、ぼったくりには寛容になっていて、さらに言えば、昔多くの日本人漁師たちがこのビトゥンの町に住み着き家族を成し、終戦と共に家族を置いて日本に戻るしかなかったことの罪滅ぼしという意識もあった。
町に向かう道は川のように水が流れており、大人も子供もサンダルのまま水の中を気持ちよさそうにじゃぶじゃぶしながら歩いている。
この道をまっすぐに進むと目抜き通りに出る。立派に舗装された2車線道路だ。
この道と並行して走るもう一つの目ぬき通りは砂利道になっていて、こちらも味わい深い。日本の戦後直後くらいの田舎の風景に見える。
そして、この町には綺麗な水が用水路を流れていて、とても品がある。
ゴミが落ちていないのだ。
人々はホウキで道を綺麗にしており、かき集めたゴミを燃やしている。そこら中でプラスチックを焼いている匂いがする。
かくいうわたしも子供の頃庭で焚き火をして、多少のプラスチックは焼いていた。炎が変な色になり、プラスチックが溶けるのを見るのは面白かった。単純に知識がないということだ。
上から町の様子を眺めてみようと、町を奥に進み細い坂道を登っていく。
遠くに教会が見え、あそこまでいってみようと歩く。
景色は高い木々に遮られよく見えなかったので、元の町に降りてきた。
新鮮な魚が売られている。奥の大きいのがカツオ、手前の小さいのは背中の模様からゴマサバだと思われる。
インスタントコーヒーでも入れてもらおうかと空いている店を探したら、ナシクニン屋が開いていたのでいただく。
ナシクニンとコーヒーで20,000ルピア(200円)。多分またぼったくられている。10,000から15,000ルピアだと思う。でもいいのだ。
対岸のビトゥン港を望む。
帰りの船も50,000ルピア。今度は貸切なので、妥当な値段のようだ。ヤクザのおじさんも何も言わない。
日本は素晴らしい国だと誉めてくれた。刺青を彫る時の針が細く痛みが少ないそうだ。インドネシアの針は太いのでとても痛く、模様も日本のように細かく綺麗にはできないと言っていた。
刺青の技術で褒められたのは初めての経験だ。
船はビトゥンの港に帰ってきた。荷物を満載した船がこれからレンベ島に渡るところに出くわした。
相変わらず重量バランスが悪い。
ビトゥンからは船も出ており、奥の黄色いフェリーがテルナテ行き、手前の白いフェリーが聞いたことのない地名で忘れてしまった。
マナド観光をする
ビトゥンからマナド行きのバスに乗り、バスターミナルからグラブバイクに乗ってホテルにチェックインしたのが14時前。ホテルは前回と同じにした。
勝手知ったる場所は何かと便利だ。
中途半端に時間があるので、前からチェックしていた博物館とマナド最古の寺に行ってみることにした。
博物館へ行く
シャワーを浴びて一休みしてから向かったのは博物館。北スラウェシ州博物館という。
本日は休館日だった。外から写真だけ撮らせてもらう。
マナド最古の寺へ行く
次に向かったのはマナド最古のお寺でBan Hin Kiong(萬興宮)という。最古といっても1819年の建立なので、スマランのサンポーコンやジャカルタの金徳院よりずっと新しく、もっと遡ればボルブドゥールの方がさらに古い。
ただ、ここが変わっているのは、仏教寺院ではなく道教寺院ということだろう。
わたしは過去知らずに道教の寺を訪問したことはあるとは思うが、最初から道教の寺と知って訪問するのは初めてだった。
建物の作り、色合い、見た目、線香の香り、仏教寺院との違いがわからない。祀っている神様は違う。天上聖母様だ。
ちなみに、道教はインドネシアのパンチャシラ5原則の1番目、唯一神の信仰で認められている宗教に含まれていない。
イスラム、カトリック、プロテスタント、ヒンドゥー、仏教、儒教のみ。唯一神ではない宗教も入っている。
お寺の横には関羽廟のような建物や孔子廟もある。チャイナタウンだったのだろう。
この道を海に向かうと市場街になり、車とバイクと人間がめいめい好きな方角に行こうとしてカオスになっている。
夕食は豚肉ざんまい
せっかくマナドにいるので、魚だけでなく豚肉も食べておこうと検索して良さそうな豚肉料理やを見つけておいた。
海岸沿いの店だ。このあたりは豚肉料理店だらけで目移りする。バンドンでは考えられない状況だ。
わたしは豚のサテと豚のリブ肉を食べるつもりだったが、サテは売り切れだったため、豚足のソト(スープ)にした。
取り立てて豚足が好きなわけではないのだが、なぜかとても貴重な気がしたのだ。
リブ肉はRusukというらしい。何ヶ月ぶりに食べただろうか。いつ以来か全く思い出せないほどだ。
骨から肉がホロっと取れ、噛むと肉の旨みが溢れ出てくる。ご飯がとても進む。レモンをたっぷり絞りかけてみた。すると味が引き締まりさらに食欲が増してくる。
次に豚足スープ、ソトカキを食べてみる。カキとは足という意味だ。
まさに豚足。豚足特有の臭みをあらかた消し去っているが、若干残っている。わたしにはこれくらいがちょうど良い。臭みも滋味の大事な構成要素だ。全部取り去ってしまうと肉肉しさも同時に消えてしまう。
とても美味しい。こちらにもこれでもかというくらいレモンを絞り入れてみた。最高のバランスになる。
ただ、豚肉の脂身をこんなに食べることはなかったので、さすがに胃もたれしてきた。烏龍茶やプーアール茶で分解したいところだが、置いていない。仕方なく紅茶を飲んでなんとかしようとしたが無理だった。
いくら美味しいと言っても、食事はほどほどが大事だということを思い知らされた。
本日のお店