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インドネシアでは麺と米は代替材 日本ではどうなのか?と問われる

代替材(substitute)というのは経済学の言葉で、ある製品やサービスと同じ役割を果たすために代わりに消費されるものです。
需用と供給による価格決定のときに、代替材が安いからそっちに引っ張られ価格が下がるとかで使われます。

この話に関連して、インドネシアでは麺は米の代替材だという説明があり、日本もそうだろ?と言われたのです。

わたしは少し考え、代替材とはいえない。日本では米の代替材は麺ではなくパンだと答えました。
詳しい説明をしようと用意していたのですが、「あっそう」で終わってしまい、深い話にはいかなかったので出さず仕舞いでした。

そこでNoteの場を使って説明したいと思います。わたしの感覚ですので、すべての日本人を代表した考えというわけではありません。

理由1:ラーメンとライスは日本ではセットになることが多い

代替材というのは、ある商品の代わりに代替材を消費することである商品の需要が減る存在です。競合関係にある商品です。
ラーメンとライスの関係は代替材の要素もありますが、同時に補完材の要素もあります
補完材(Complements)というのは経済学の定義だと、ある商品とセットで消費されることで効用を満たしたり高める存在のことを言います。パンとバターとか、紅茶と砂糖とかですね。
(需用供給曲線で価格決定をするとき、補完材が値上がりすると補完材の需要が減り、その影響で対象商品の需要も減るという説明がなされます。代替材の需要はこの場合に増し、値上がりします)

例えばわたしが大好きなラーメン天下一品で、わたしは必ずライスをつけます。
わたしにとって天下一品の濃厚なスープはごはんととても合うのです。
他にも、名古屋のまぜそばでは「おいめし(最後ちょっと残してごはんを投下)」をするのが定番です。

ラーメンを食べることで同時にご飯の需要を高める=代替材というわけです。

インドネシアでラーメンを頼む時、わたしはライスを頼むことが多いのですが、かなりレアなようです。
忘れられていて来ないとか、勝手にチキンカツ丼と勘違いされたりしたことが何度もあります。

インドネシアでは、麺とライスを同時に食べる人はかなりレアなのでしょう。
東京人がお好み焼きやたこ焼きと一緒にご飯を食べないのと似ています。

理由2:パンとラーメン、パンとごはんのセットはあり得ない

パンにご飯やラーメンは組み合わせとしてありません。少なくともメニューにはない。
わたしはホテルの朝食ビュッフェで、たまにチャーハン、焼きそば、パンを同時に食べるときはあります。
それは、わたしのなかで全種類食べるという縛りがあるからであって、ラーメン+ライスのような補完材として機能しているわけではありません。

実際、洋食化が進んだために米の消費量が減ったということは言われます。
朝ごはんでごはんを食べずにパンで済ませるということですね。

ランチでパスタを食べたり、洋食を食べるとき、ライスではなくパンになります。

洋食ではハンバーグやステーキを食べるときくらいですね、パンにしますかライスにしますか?と聞かれるのは。まさに代替材の関係です。
麺にしますかライスにしますかなんて絶対に聞かれません。

インドネシアでは本当に麺と米は代替材なのか?

今日の結論に入りますが、わたしが観察する限り、インドネシアでは代替材だと思います。

わたしがランチに袋麺を調理して食べると寮のスタッフが「麺は食事じゃない。インドネシア人にとって食事とはごはんを食べることを指す」とよく言います。

そういいながら、彼らもランチに袋麺だけ食べるということがよくあります。
腹を満たすため、ご飯の代わりに麺で代用した感じです。

事実上の代替材であることは間違いないでしょう。米の値段が上がれば、代わりに麺を食べるのも分かります。

わたしが大学3年の時、冷害で米不足になり、タイ米を食べた時期があります。
その時わたしは、タイ米だけでなく、スパゲティも買っていました。
1キロ100円になる時があったのです。円高の恩恵です。キロ100円になると、米と比べても競争力が出てきます。
パスタが米の代替材になっていたわけです。

とはいえ貧乏でしたから、椎名誠仕込のカツオ節とマヨネーズだけとか、たまにシーチキンを入れるくらいです。まだペペロンチーノを知らない年ごろでした。

インドネシアでも米不足になることがあり、丁度今年の大統領選の頃に米が店頭から消えた時期があります。
その時は大問題になったのですが、米以外にも値上がりして大問題になった商品があります。
それは唐辛子(Cabai)です。
インドネシアの庶民にとって、米に匹敵するくらい重要で欠かせない食べ物なのです。
大統領選では大統領候補が市場に行って唐辛子の値段を確認するというパフォーマンスをやっていました。


最後話がずれてしまいましたが、代替材、補完材のお話でした。

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