授業で性格判断/分析モデルを習って感じた違和感
Organizational Behavior & Managing Peopleの授業では、チームマネジメントのやり方、すぐれたチームリーダーになるために役立つ性格分析のモデルを学びます。
心理学の授業ではないのでさわりだけですが、具体的にはFIRO B、Ego States、Belbin Modelなどです。
■ まずはそれぞれのモデルの簡単な説明
FIRO B:
FIRO Bは対人関係における志向を6つの観点から数値化し、自分にどういう傾向があるか、相手の傾向とどういう相性があるのかを学びます。
Inclusion(仲間を重視)、Control(支配関係を重視)、Affection(愛情を重視)の3つを、それぞれこちらが相手にしたいかの観点と、相手にされたいかの観点(要はベクトルが相手に向いているか、自分に向いているか)でそれぞれ数値を出します。3×2で6つの数値が出ます。
例えば、MBAの学生でありがちなのは、支配欲は強い一方で、支配されるのは嫌いなどだと、Controlの数値が2つの観点で差が広がります。
EGO States
Ego Statesは、考え方や行動を子供、成人、親タイプに分け、2人のやり取りがどのタイプの掛け合わせでできているのかを分析するものです。甘えた態度で要求すればそれはこちらが子供、相手が親といった感じです。パワハラ系の上司は親で部下が子、対話を重視する上司は部下とのやり取りが成人同士など。
これを学習するのは、上司と部下との関係で対話をするときに、本来どういう関係で対話をすべきなのに対し、今はどういう関係になっているなどと冷静に分析するにの使うのだろうと思います。
Belbin Model
個人の性格を9つに分類します。エニアグラムみたいですが、切り口は異なり、よりチームビルディングやビジネス志向が強いです。
アクションを起こす人、指示する人、ブレインとなる人の大きく3タイプがあり、そこからされに3つに分岐され、3x3で9タイプとなります。
アクションを起こすタイプは
①Shaper(道を切り開く人)
②Implementor(実行する人)
③Completer Finisher(完遂する人)
指示する人は
④Resource Investigator(リソースを適材適所に分配する人)
⑤Coordinator(バランサー)
⑥Team worker(チームのために犠牲をいとわない人)
ブレインタイプは
⑦Plant(参謀、戦略家)
⑧Specialist(研究者)
⑨Monitor Evaluator(冷静、距離を置くタイプ)
■ 何に違和感を感じるのか
ざっくり言ってしまうと、わたしの感覚では、人間は会社組織でのふるまいと、プライベートでのふるまいと、家庭内でのふるまいがそれぞれ異なり、極端に言えば多重人格だからです。
会社で指導的な立場にいる人が、家では奥さんの尻に敷かれおとなしいというのはよくあるパターンです。
もちろんそうじゃない人もいますよ。常に自分を変えないタイプもいますが、よほどの実力がない限り、組織内で浮いてしまい居場所がなくなって普通は自分でいなくなるか、排除されます。チームワークができない人ですね。
それに、よい部下とよい上司は違うし、営業の組織と監査の組織ではある程度人格を変えないと仕事になりません。会社のタイプでも違いますよね。バリバリの営業系とクリエイティブなデザイン会社は違います。
上司と合わない、部下と合わないなんて日常茶飯事で、その中でうまく自分を抑えたりしながらみんなやっているわけです。
なので、テストで分析結果が出ました、みんなこういう傾向があるよと言われても、それで?という感じなんですよ。わたしには。
いや、それ立場や環境に応じて全然結果は変わりますよ、という違和感です。
リクルートが発明したSPIの適性検査はこういうモデルを元に作られていて、ある程度どういうタイプかを分析できると思います。
ただ、本当に意味のある適正項目は限られているんじゃないかとわたしは思います。
なぜかというと、わたしの感覚では結果を出したい、世の中にインパクトを与えたい意欲が強いかどうかが、どの世界にも共通する成功する人の特徴だからです。
チームとして結果を出さなければいけない時に、自分勝手なことを言うわけないですよね。必要な役割は何か、自分の責任はどこかを見極めて時には性格を変えますし、時には役割を超えて手薄なところをサポートに行ったりもします。別に立場的にバランサーだっとしても、Shaper(開拓)が弱いと思えばShaperにいくし、Plant(参謀)が弱いと思えばPlantの役割も負います。
そこが一番大事なところであって、一人でいるのが好きだとか、他人に干渉されたくないとか、いったん仕事に取り掛かれば関係ないんです。
その人が楽しいか楽しくないかは、結局結果が出るか出ないかで決まるものです。自分の仕事が世の中や会社から評価されれば、どんなにつらくても最後はみんなよかったになるんですよ。
なので、わたしは質問しました。さすがになんの意味があんの?とは聞かなかったですよ。以下のような聞き方をしました。
「わたしは仕事のときと家にいるプライベートのときで性格や志向が違います。FIRO Bで言えば仕事のときは数値が高く、家やプライベートでは数値は低いでしょう。私以外にも多くの日本のプロフェッショナルが似た傾向を持っています。このような場合、どのようにFIRO Bの数字を分析したらよいでしょうか。」
先生の答えは、日本は確かにそういうところがあると自分も思うと言っていました。職場で無茶苦茶高圧的で厳しい人が、仕事を離れると腰が低い礼儀正しい人になっていて驚いたエピソードを話していました。
他にも話をあまり複雑にしてはいけませんが、気になるところはあります。例えば、欧米の人たち特にアングロサクソンと、アジア系では、プライバシーの考え方が全く違います。アングロサクソンの人たちの多くは絶対に自分の領域に人を立ち入らせません。
アジア人は逆にウェットな関係で自分をある程度さらけ出しながら親密な人付き合いをします。留学仲間でもタイ、ベトナム、台湾、中国出身者とはそういう感覚がありました。
なので、FIRO BのInclusionは欧米が低く、アジアが高くなるはずなんですが、おそらく変わらないと思います。なぜならその人は身近な人間や同じグループの中で相対評価をして自分は高いか低いかを判断するものだからです。
あと謙虚で控えめか、積極的で誇張傾向にあるかとか、ルール絶対のドイツや日本といった国民性も影響しますよね。
この辺りの現実の複雑さを一切排除して、完全に理論上の世界だけで完結させようとしている、学者が自分の研究のためだけにやって自己満足しているだけじゃないか?という違和感を感じてしまうんです。
■ 結論
違和感はあるものの、これらのモデルは欧米の感覚で作られていて、欧米人は自我が強いですから、そのなかでチームビルディングをどうやるかという観点で有益と考えることにしました。
また、MBAに来るようなタイプは、他人を蹴落としてでも成功したいと考えている人や、自己顕示欲の強いタイプ、相手の立場に立って考えないタイプの比率が一般的な人口比より高い傾向にあると思います。
優秀なだけにダークサイドに行かないよう、知識をつけて訓練する必要があるのでしょう。
なので、さんざん違和感ありと書いてきましたが、色々なタイプがいると知り、タイプ別にどういうコミュニケーションを取るべきなのか学ぶことも意味があるのだろうという気持ちで、モデルを学びました。
実をいうと、わたしはレッテル張りが嫌いなんです。自分では事象を整理したり分類するのに手っ取り早いから使うことがあるくせに、自分がそれに当てはまるかと言われると、反発する傾向があります。
あまのじゃく的なバイアスがかかっていると思います。
そのうち授業でもやるかもしれませんが、わたしが考える世の中で成功するタイプに共通する性格をあげると以下の3つになります。ビジネス、スポーツ、趣味の世界でもなんでも共通に当てはまります。モデルなんて関係ありません。
また、ノウハウやテクニックがあるわけでもなく、気持ちの問題ですから、授業で教えようがないかもしれません。
- 負けず嫌い
- 結果を出すことにこだわる
- 努力を継続できる
その人が幸せかは別ですよ。常に強迫観念にかられているだろうし、満足することはおそらくほぼないし、もしかすると友達も少ないかもしれません。そいつがいい奴かは別にして、そもそも友人と過ごす時間をほとんど作れないですからね。
人の心を動かすくらいの結果を出したり作品を作り上げるというのは、なにか別のことや自分の楽しみを犠牲にしないと無理なんだろうなと思います。
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