【第1回】 アメリカ、イギリスにおけるエリート教育の根源
~その現地訪問によるインタビューを通じて2007~
今回から、私が2007年にアメリカ、イギリスで多くの学校を訪問してスタッフと語り合い、そこから学んだこと、共感したこと、再認識したこと等をレポートとしてまとめたものを更新していきたいと思います。
訪問から若干以上の月日が過ぎてはしまいましたが、希学園の根幹に通ずるものがここにあるので、この度、各種データは当時のまま、文章部分にほんの少しの修正を加えました。Web環境に関して、グローバル化の進み具合等、世界における時間の流れの速さを感じさせる内容もございますが、編集作業の中で、希学園の基本理念はこの時以降変わらず、着実に発展を加えてきていると私自身が改めて認識している次第です。
これからこのレポートをお読みいただく皆様には、地域も時間も超えた普遍的な教育理念、教育に携わる我々の想いというものをお汲み取りの上、ご堪能いただけましたら幸いです。
はじめに
私は以前から欧米のエリート教育に強い関心を持っていました。そこには寮という学校教育における人間形成に関わる機能を有した施設が大きな役割を担っているのではないかという思いがありました。その原点になっているのは慶應義塾大学の教授をされていた池田潔先生のイギリスへの留学生時代を綴った「自由と規律」(岩波新書)という本を何十年も前に読んだことにあります。
寮生活を通して人間形成を含めた全人教育を行っているアメリカのボーディングスクールの校是あるいは校訓を深く知ることは、我々スーパーエリート養成塾希学園としてどうしても必要であると兼ねがね思っていました。私はまずアメリカのボーディングスクール訪問行動を開始しました。
2005年11月中旬にまず、学校をこの目で見て、その校是なるものをインタビューを通じて知ることから始めました。アメリカのThe Ten Schoolの学校に対して訪問の目的を前もって送ったところ、早速に「Loomis Chaffee School」「Taft School」および「Phillips Exeter Academy」の3校から歓迎の返事が来ました。
私は単なる入学希望のための見学ではなく、学校の代表者に共通の質問をさせてもらうことや学校内見学の許可をもらいました。
私が知りたいポイントは、ハーバード大学やエール大学への進学者が非常に多く、また、その学業および寮生活を通じた人間形成に及ぼすボーディングスクール特有の共通項を導き出したいということです。
つづく。