景色004 北見点描 南大通を歩く
歩きました。(24.4.29)
Googleマップによれば10km弱です。
国道39号線の北側を並行する夕陽ヶ丘通に対して、南大通は名前の通り39号の南側に位置します。北見市の中心市街の外側を、円弧を描きながらぐるっと半周するような格好です。北見市の環状線の一部かな、とも思うのですが、その役割は南大通のさらに外側を走る道道943号線が担っています。まだ環状にはなっていませんが。国道をバイパスする役割があることも関係して、商業施設よりも住宅が目立つ通りです。また、北見の中心市街に近いため比較的古い住宅が多いのも特徴です(全くの新興住宅街であるひかり野は例外)。新興住宅街の三輪地区においても、80年代、90年代の特徴(北海道の住宅は主に屋根の形状で住宅の新旧が分かります)をもった住宅が並んでいるところがあります。
今回の起点は道道943号線の豊地大橋から。終点はひかり野地区の道道1024号線と合流する地点となります。
例によって、便宜上いくつかの区域に分けていきます。
1 三輪・光西地区
三輪という地区名は先の記事でも書きました通り、一帯の開拓を担った屯田兵団の隊長・三輪光儀氏です。
市立三輪小学校が見える丁字路から今回の記事が始まります。薄い黄の外壁は他ではあまり見かけることがなく、この学校の特徴の一つです。新興住宅街の学校ということもあり、市内でも屈指の学校規模です。築20年弱、比較的新しい校舎です。
また、大雪山系の端に源流をもつ無加川が近くを流れており、堤防上には歩道が整備されており、ランニングやウォーキングで汗を流す人の姿が多く見られます。河川敷自体はそこまで広くありませんが、古びた遊具があったり、ラジコン用のフィールドがあったりとそれなりに充実しているようです。してるか?
この日は川沿いに桜を見ることもできました。川の対岸は豊地地区で、豊大橋から直結する場所に工業団地があります。京セラの工場や、市内の学校給食に麺類を提供する「津村製麺」があります。津村製麺、めっちゃ美味いのでおすすめです。
光西地区では、無加川と小町川が合流します。今年8月に閉店が決まっているイトーヨーカ堂の他には大きな建物もあまりなく、人口密度の割には開放的な印象を受けます。
2 とん田・常盤地区
北海道には、「屯田」の地名が各地にあります。由来はもちろん、北海道の防衛と開拓を担った屯田兵団です。
屯田兵団による開拓があったわけですから、ここは古くから「人が住む土地」としての歴史をもっています。先述の80年代、90年代の特徴がある屋根をもった住宅が多いのですが、時折、地鎮祭の準備をしている空き地が見えました。それなりに新陳代謝があるようです。
3 中之島・南町地区
ここ最近は住宅地としての人気が高まっているのがこの中之島地区です。かつては北見市民の間では住宅地としてのイメージが薄かった中之島地区は、飽和状態となった北見の住宅地事情を受けて近年新築住宅が続々と建てられており、言うなれば北見市最後のフロンティア(大袈裟に過ぎる)です。巨大な団地もあるにはあるのですが、やはり最近まで宅地としては手付かずだったので、土地は充分にあるようです。
4 桜町・田端地区
商業施設や飲食店が点在する桜町地区。このあたりから建物の密度が下がってきている印象を受けます。この桜町地区に商業施設が集中してることで南大通に住む人たちの利便性が確保されています。
国道沿いの市役所・百貨店パラボ・北見信金などが集まる「駅前」に対して、こちらは「駅裏」とでもいうべき立地です。中央図書館や芸文ホールなどに近く、ここあたりを北見都心の限界線としていいでしょう。
5 小泉・春光地区
特徴的な階段状校舎の市立小泉中学校、比較的新しい校舎をもつ市立小泉小学校、下水処理センター、密集した団地群があります。南大通はずっと中央分離帯のある道路なのですが、ここから分離帯はなくなり、対面通行の道路になります。
はて、そういえば「小泉」の由来はなんでしょう。湧水でもあったのでしょうか。それとも人名か。下調べ不足が過ぎる。
6 ひかり野地区
新興住宅街として高い人気を誇ったひかり野地区。ここだけの話、かなりの数の学校教員が住んでいます。
北海道の学校教員の中でも特に人数の多い年齢層の先生方が「そろそろ家建てたいな〜」と考え始めたタイミングでドカンと売りに出されたのがこのひかり野地区の土地でした。車だろうが住宅だろうが、ローンの審査を一撃で通過できる学校教員、家なんてなんぼでも建てられますわい。
建ち並ぶ家々を見て感じたことが二つあります。一つは空間的なゆとりです。もともと広大な土地があったからしょう、家と家との間隔はかなり大きく取られており、住宅数に比べて解放的な雰囲気が特に強いのです。まあ、晴天の春なのでそう見えている可能性もありますが。
もう一つは、住宅それぞれのデザイン的な個性です。おそらくですが、大手も含めた在北見、さらには近隣自治体のハウスメーカーがこぞってひかり野での住宅建設を手がけた結果でしょう。建売ではなく、建築条件付きでもなく、オーナーそれぞれの要望をいろいろ取り入れた結果として、個性的な家々が並ぶことになったと考えられます。家を建てたい人がここを歩いたら挙動不審になりそう。
なお、このひかり野地区の片隅にシナモンロールが美味しいカフェ「ペルシュ」があるのですが、週3営業ですのでこの日は行けませんでした。
今回のゴールとなる道道1024号線との合流地点はまたも丁字路です。ここを右に行けば、緩やかな山道と美瑛町の景色にも似た畑地を抜けて美幌町へ至ります。
7 終わりに
国道39号をバイパスするだけあって、交通量はかなりのものです。南大通はそのほとんどに中央分離帯があり、飲食店、商業施設、娯楽施設など様々な施設が並ぶ一方、住宅ばかりになる部分もあり、北見市の「暮らし」が凝縮されているような10kmであると感じました。
三輪、ひかり野、中之島と、新旧の新興住宅街(旧新興住宅街という不思議な言葉)があるのも南大通の大きな特徴だと言えます。10km歩くだけでこの三つの印象を肌で感じ取ったり、比較して考えたりできるので、なかなか有意義な時間でした。
さて、前回は夕陽ヶ丘通を、今回は南大通を歩いたわけですが、実はどちらの通りも北見市を開拓した屯田兵団と北光社、それぞれにゆかりのある土地を通過しているという共通点があります(通過は言い過ぎかもしれません。“かすっている”というか)。いずれにせよ、普段何気なく通っているこの2本の道路が遠い昔の北見市(野付牛)と繋がっていることを感じるためにも、下調べはちゃんとしておくべきだと思いました。