嘘をついた話

俺が小5の時。当時の俺は中学受験勉強をしていたためまぁ学校では1番頭が良かった。けど実際はサッカーとか野球とかメジャースポーツを習ってる奴らの方がかっこいいって思ってたから勉強アピールはしなかった。かっこ悪いし。でもテストは1番最初に終わるし、点数はいいしでみんななんとなくタツヤは頭が良いというのがみんなのイメージだったらしい。そんな俺は一時すごく仲がいいサッカー習ってる奴がいた。そいつとコント作って宿泊学習で発表したら、逆に笑わないドッキリを仕掛けられたのもいい思い出である。結構練って作ったのにな。そいつはバカだった。勉強もそうだし、リアルの生活も。インスタをいつかに見つけたら高校中退してたし。それはいいとして、そいつの親も小5ならまだ頭が良くなると思ったんだろう。テストで80点取らないとサッカーに行かせないと言われたらしい。俺からしたら学校のテストでこの点数切るか?と思っていたが、別に自分の感性が全てではない。そうしてカンニング、というかわかんなくなったら紙渡すから教えて!と言われて別にいいかと思って実際にテスト中に教えてあげた。紙をそいつに渡すから、あいつはバカだからカンニングペーパーをポイ捨てしたわけである。そうして掃除中に出てきたカンペで大騒ぎになり、たまにあるクラス裁判的なものが始まった。その日は担任がいなかったので、学年付きの先生がすごい形相で怒っていたのを覚えている。正直俺が盗み見たわけでもないし、悪くねーよなーとか思ってたからなんとなくやり過ごしたけど、まぁそんな欠陥だらけのカンニングが成立するわけがない。誰かがタツヤが紙をそいつに渡したとちくり。そうしてバレたわけだが、俺はしっかり怒られた。担任は松岡修造のような燃え上がる情熱を持った人間だった。カンペを渡せと言ってきた彼が全てを打ち明けたのだ。俺はずっと誤魔化した。その話を聞いた時に、自分の愚かさを思い知った。彼は俺に、タツヤは悪くないと。俺が頼んだからと。そう言ったらしい。俺は言われた。なぜ嘘をついて逃げようとしたのか。なぜ俺がタツヤに怒っているのか。正直そこまではっきりは覚えてないが、人に誠実であれと。頭が良いだけでは人間じゃないぞと言われたような気がする。そうして最後、なぜ正直にならなければいけないかを問われ、嘘をついたらモヤモヤするからと答え、一生モヤモヤしてろ!と捨て台詞を吐かれお叱りは終わった。その日の帰り、2キロ弱の帰り道で俺は自問自答を繰り返した。なぜあいつより先に全てを言えなかったのか。俺の方が罪は軽いはずなのに。なぜ嘘をついたのか。よく考えたらみんな見てんのに。あーあ。先生は俺に結構期待をしてくれていた。嫌すぎて断ったが、全校生徒の前でいじめについての討論をしてほしいとか言われたし、いろんな頼み事もしてくれた。そんな先生の期待すら裏切ってまで嘘をついて何がしたかったんだろうとか。
翌日、みんな懐かしいだろうが、連絡ノートに先生のハンコをもらいに行ったら、少し貸してと言われた。親にチクられる。今度は家で怒られるのかと俺は嘆いた。俺は怖くて内容が見られなかった。どうせ時間の問題だろうと諦めて親に渡したら、親は、良いこと書いてあるよ。読みなって言われた。特に怒られなかった。
正直全ては読めなかったけど、今悩むことであなたはより成長できるとか、失敗したからまた大きくなれる、ここからまた頑張ろう的なことを書いてた。
その後先生、カンペを渡したやつと特別仲直りした訳ではないけど、特別嫌いにもならなかった。ただ、あのタイミングで悪いことは悪いということに気がつけたのは大きかった気がする。
あれからもう11年。つまり2倍の歳をとったわけだが、先生、俺は成長したのかな。どうでも良いところではいつも嘘をついてしまいます。だけど不思議と大事なところでは嘘をつかなくなった気がします。進路とか、人生とか。だけど、時には嘘をついて生きないと都合が悪くなることも学びました。どうすれば良いんでしょう。人はあーだこーだ言うけど、結局責任がつくところではダンマリ。自分ができない、やらないことがたくさんあるのにタツヤに対して偉そうに怒って。タツヤを下げて何もしてない自分の株をあげて。嘘、と言うか、なんと言うか、バカ正直では生きれないのが社会なんだなと思います。でも、あの時先生に教えてもらったポジティブと誠実さが今の自分を作っていると思います。これからも精進します。タツヤ。

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