大羊春秋~羊務執筆者党史~(1)
唐突ですが、私は「羊務執筆者党」(ようむしっぴつしゃとう・略称SSP)というサークルを主宰してアニメなどを題材とした同人誌を製作し、「コミックマーケット」をはじめとした同人誌即売会に参加していました。
……過去形なのは、先月14日にそのサークルを解散し、同人誌活動を言わば引退したからです。
理由は相撲取りの引退会見ではありませんが「体力と気力の限界」です。
あと、原稿執筆などのデジタル(CG)化に完全に乗り遅れてしまったこともあります。
そこでこの機会に、36年5ヶ月に渡り続けてきたサークル活動を振り返っていこうと思います。
実は以前存在したサークルのブログにて「羊務執筆者党アーカイブス」と題して同様の投稿を行っていたのですが、解散に先行してそのブログを閉鎖したうえ、内容に不満がありましたので、改めてここ「note」に投稿(不定期連載)することにしました。
正直言うと私は筆不精ならぬ“Key不精”なため、いつまで投稿を続けられるか分かりません。
しかし、できるだけ長く、また詳細に述べて行こうと思います。
「大羊春秋」(だいようしゅんじゅう)というタイトルは、『三国志』などの中国史が好きな私の趣味です。
「羊務執筆者党」を中国の歴代王朝名(国号といいます)のように漢字一文字で表し(“大”は接頭語)、同じく中国の昔の歴史書に倣い、年月を意味する「春秋」としました。
ただ、それでは内容が分かり難いため「羊務執筆者党史」を付けます。
文中に登場する人名についてです。本音を言うと全て実名としたいのですが、さすがに問題があるため、例えば私、前多昭彦でしたら「M多」という具合に、アルファベットと漢字を組合せて表記します。なお、これは「羊務執筆者党」の活動に直接関わった方のみが該当です。
同人誌に参加した執筆者及び編集者の名(ペンネーム)については、その本における表記に準拠します。
文中は敬称略です。何卒御容赦ください。
わざわざ述べるまでもありませんが、ここで言う「同人誌」とは例えば志賀直哉らによる『白樺』のような、かつて文人たちが発行したものではありませんので御諒承ください。
なお、この「大羊春秋」で記される事柄は、飽くまでも私個人の見解(意見・感想)です。
そのため偏に私の不見識や勘違いのため誤謬があると思いますが、その点はどうか御容赦ください。
前多、同人誌活動を始める
そもそも私が同人誌というものを知り購入したのは、中学3年(1982年)の時で、キッカケは徳間書店のアニメ雑誌『アニメージュ』だったと思います。
同人誌即売会へ初めて行ったのは、高校の入学式を数日後に控えた昭和58(1983)年4月3日(日)に東京都中央区晴海の「東京国際見本市会場」で開催された「コミックマーケット23」でした。
その後、友人が先に入会していたのが縁で、同年に「うる星やつら&留美子F.C.」という漫画家・高橋留美子のファンサークルに入会します。ちなみに会員No.は89番。これにより同人誌製作に参加することとなりました。
なお、このサークルは後に「高橋留美子総合F.C. U&R」と名を変えます。
参加と言っても一般の会員なので、送られてきた会誌や会報を読むだけです。筆不精なため投稿はせず、これまでと変わらない日々を過ごしていました。
ところがある日、スタッフの一人であるKさんから「今度ある同人誌即売会の売り子をやってみないか?」という旨の連絡をいただきます。
即売会で言うなら“机の内側で参加する”、つまり単なる同人誌の読者ではなく作る側になりたかった私は、この誘いに飛び付きました。
その開催日の昭和59(1984)年12月9日(日)が来ました。
会場は東京の「大田区産業会館」(大田区産業プラザ・PiOに非ず)3階・4階、「関東まんが祭」という名で参加数は113サークル、他にアニメや特撮モノの上映会も行われたイベントです。
40年経っていますが、私はこの日のことを朝家を出る際から、終了後Kさんと別れる時までいまだによく憶えています。
それだけ思い出深く、また、後に同人誌活動に没頭することから、その端緒になった運命的な日でした。
当日はKさんと私の他にもう一人売り子がいました。I上といい、同じく「U&R」会員で3歳年上の男性は後に「羊務執筆者党」の活動を共にすることになります。
その後はKさんのお誘いで、スタッフとして会誌「TORNADO」の製作など「U&R」の運営に参加させていただきました。
もう、学校の勉強そっちのけで熱中しますが、昭和62(1987)年夏頃、運営方法をめぐってトラブルを起こし「U&R」を飛び出してしまいます。
当時、私は19歳でまだまだ“ガキ”、まさに児戯に類する行為だったと言えるでしょう。サークルの方々には御迷惑をおかけしました。
《第1回おわり》
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