拙著『民衆 対 陸軍』の3~5章は次のような内容です。
19世紀にヨーロッパで社会主義が広がり、わが国にも導入された。しかし、大逆事件(1910年)の弾圧により、わが国の社会主義は「冬の時代」に入る。
大陸では、わが国が韓国併合(1910年)により朝鮮支配を確立する一方、中国で辛亥革命(1911年)が勃発した。革命により中国は帝政から共和制に移行し、わが国への革命の波及が恐れられた。
国内では軍閥への批判が高まり、大正政変(1913年)、シーメンス事件(1914年)で民衆が国会議事堂を取り囲み、政権交代を促した。群衆の圧力という形での「民衆の台頭」である。
章節立ては以下。
3章 社会主義の浸透と弾圧
マルクス主義が社会主義の主流となった / わが国にも社会主義が導入された / 横山源之助の『日本の下層社会』 / 戦前と戦後の政治体制 / 山県派と伊藤派による政権運営 / 西園寺内閣発足による自由の風 / 「東京市内電車値上げ反対運動」と赤旗事件 / 幸徳秋水による帝国主義批判 / 大逆事件により社会主義は「冬の時代」へ
4章 韓国併合と辛亥革命
三次の日韓協約による朝鮮支配の拡大 / 義兵運動による朝鮮の人々の抵抗 / 伊藤博文の暗殺と韓国併合 / 長州軍閥は「民衆の台頭」を食い止めた / 「情意投合」による第二次西園寺内閣の誕生 / 辛亥革命は天皇制の危機でもあった
5章 大正政変とシーメンス事件
陸軍大臣不在による内閣崩壊 / 民衆の怒りが桂首相を退陣に追い込んだ / 海軍大将の山本権兵衛が総理大臣に就任 / 軍事費の使途に疑惑の目が向けられた / シーメンス事件に怒った群衆が国会議事堂を取り囲んだ / 山本首相の後任に大衆的人気の大隈重信
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