01 プリンシプルとは何か?
マジックの奥の奥にある、プリンシプル
プリンシプルとは「原理」のこと。でも原理って言葉も、わかりにくいですよね。
下の図では、一番大きな枠が、マジック全体を表しています。左の黄色い枠の「タネ」は「トリック」と呼ばれる部分。マジックショップで売っているマジックグッズも、この黄色で囲まれた部分です。
そのトリックの中のさらに奥に、赤で囲まれた「プリンシプル(原理)」があります。ほとんどの場合、プリンシプルは人間の錯覚を利用しています。
忘れないでくださいね。プリンシプルはタネやシカケではなく、その中の原理のこと。
「何が、そのタネやシカケを不思議に見せているか?」の「何が」の部分です。その「何が」は「どんな原理が」と言い換えることもできます。
プリンシプルを知るメリット
トリックとプリンシプルを切り離して考えることで、同じプリンシプル、古いプリンシプルを利用しても、新しく、誰も見たことのないトリックが生み出せるようになります。
× 「既存のトリックの道具や、イラスト、セリフ、手順を変えただけ」←ただのバリエーション。オリジナルのトリックではありません。
○「既存のプリンシプルを使うが、新しいトリック」←オリジナルのトリック。
上の二つの違いがわかるでしょうか。
いつも料理の例で恐縮ですが、「エビの天ぷら」という料理を知っているとき、「エビ」を「魚」に変えただけなら、「魚の天ぷら」というバリエーションになるだけです。
しかし、そのプリンシプル(原理)が「油で揚げると食材が美味しくなる」だと理解できれば、「ポテトチップ」や「コロッケ」という、まったく別の新しい料理を創ることができます。
さらに「揚げて、水分をなくすことで長期の保存できる」ことに気がつけば、「インスタントラーメン」を発明することさえできます。
そして、2つ以上、複数のプリンシプルを組み合わせても、新しいトリックを創りだすことができます。
さまざまな種類のプリンシプル
プリンシプルには、いろいろな種類があります。僕がトリックを創るときによく使う、「応用しやすいプリンシプル」は以下の通りです。
でも、ここでは、名前を覚える必要はありません。「プリンシプルは、たくさんある」って、知ってもらうだけで十分です。
○ アウト・トゥ・ランチ・プリンシプル(境界線で部品を隠す)
○ ブラックアート・プリンシプル(黒で奥行きを隠す)
○ カモフラージュ・プリンシプル(パターンの中に溶け込ます)
○ ブックカバー(ワッド)・プリンシプル(一部で全部に見せる)
○ アングル・プリンシプル(陰に隠す)
○ コントラストを利用したプリンシプル(ペンシルドットなど)
○ エキスパンド/フォールディング・プリンシプル(膨らむ、折り畳まる)
○ トランスペアレント・プリンシプル(透けるのを利用する)
上のプリンシプルが、どう利用され、どんなふうにマジックになるのか。それをイメージしやすいように、マジックとプリンシプルのいくつかを動画で撮影してみました。
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