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脳卒中リハビリ|脳にはそれぞれ役割がある⁉︎『大脳皮質(後頭葉)』について
皆さんこんにちは!
理学療法士の前田です。
本日は『大脳皮質(後頭葉)』についてご紹介します。
1.はじめに
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人間の思考や行動、生命維持など、人間が生きていくうえで必要な事柄の全ての司令塔です。そして、脳部位によってそれぞれ請け負っている役割が異なるということもわかっています。
人間の脳は、大脳、間脳、脳幹(中脳、後脳、延髄)、小脳の4種類の領域に分類されます。
【脳の主な役割】
🔸大脳皮質の左脳 … 知覚、思考、判断、意思、感情を司る。(論理的思考)
🔸大脳皮質の右脳 … 本能や自律神経、記憶を司る。(感覚的思考)
🔸脳幹 … 中枢神経系を構成する部位が集まっている器官。
中脳・橋・延髄から構成され、意識や覚醒などの重要な役割を担う。
🔸脳室 … 脳脊髄液により各脳部位へ栄養補給、酵素を補給。衝撃に対するクッション。
🔸右脳と左脳 … 大脳は右半球と左半球で機能が大きく異なります。
言語中枢があるほうを優位半球、ないほうを劣位半球と区分されています。
通常右利きの人は、左脳が優位半球、左利きの人は大半が右脳が優位半球となり、優位半球は生まれた時から決まっている様です。
脳梗塞や脳出血に関して梗塞や出血が起こった部位で起こりうる症状が変わるため
前回は『大脳皮質(側頭葉)』に関してご紹介させていただきました。
本日は『脳の役割シリーズ』の中で大脳皮質(後頭葉)の役割をご紹介します。
2.後頭葉の役割とは
![](https://assets.st-note.com/img/1691338446290-RkV1u42hyY.png?width=1200)
後頭葉は大脳半球の最後尾に位置しています。視覚や色彩の認識に関与しており、視覚野の大部分を占め、外界からの情報を処理し、見たものを記憶することができます。
通常、眼の「網膜」で見た情報は、「視床」を経由して、「視覚野」に送られ、「見ている」として意識されます。
①視覚連合野
視覚野から受け取った視覚情報を形態視情報(形状、色)、空間視情報(運動と三次元状態)に分け認知される。
また、聴覚(音)、触覚(体性感覚野)、臭覚情報によりイメージした情報を視覚野で作り出すと推測されています。
②視覚野
自分の視界に入ってくる視覚情報(文字を読む、顔を認識するなど)を分析―処理する重要な役割を担っています。情報が色、形、明るさ、動き、模様、位置などいろいろな面から分析され,見た物を認識しています。
ただし、目に入ったすべての情報を認識しているわけではなく、自分に必要な視覚情報を選択しています。
3.後頭葉が障害されると、、、、
後頭葉が損傷を受けると、眼は正常に機能しているにもかかわらず、視覚によって物を認識することができなくなります。
①失認症
存在を知覚しているのに、認識できないという状態。
🔶視覚失認
視覚を通して認識できたことが認識できなくなります。視力や視野は保たれている一方で、対象物を見ただけでは識別できず、その物に触れて初めて識別ができるといった症状があらわれます。具体的には、目の前にあるりんごを「りんご」とは「答えられない」が、りんごを持つと「りんご」と答えられる、など。
🔶相貌失認
よく知っているはずの顔が誰の顔であるかを認識できませんが、その人の声を聞けば誰であるかがわかる病態です。病巣は両側性または右側頭後頭葉の内側面が考えられています。両側後頭葉または、右後頭葉~側頭葉の病変で生じます。
🔶同時失認
対称部分は正しく認識できるが、それぞれのつながりを全体像として認識できない病態。
具体的には、演奏会の写真を見て、笛や太鼓などそれぞれは認識できるが、全体として演奏会のシーンであることが認識しにくいなど。両側の側頭葉~後頭葉の病変で生じる。
🔶色彩失認
色が認識できず、色の名称が答えられない、色の分類ができないなどの病態です。左後頭葉病変で生じます。
②次誌的障害
地理や場所に関する障害で、熟知している場所で迷ってしまう。また自宅の見取り図や近所の地図が描けないなどの症状をきたす。右頭頂葉~側頭葉~後頭葉内側部などの病変で生じる。
③純粋失読
音読と読解以外の障害はなく、自発発話、自発書字、復唱、書き取りは保たれている。しかし文字は書けるが、自分が書いた文字が読めない。しかし指で文字をなぞると読める。左後頭葉内側面から脳梁膨大部の病変で生じる。
④変形視
見ている対象物が歪んで見えたり、大きくまたは小さく見えたりする症状。歪んで見える対象として多いものは、顔面、特に目や手のような身体部分であり、実際より対象者が老けて見えることや、顔半分が溶けて見えたり、小さく見えるなどと多様である。脳梁後方の小病巣、頭頂葉、側頭葉や後頭葉付近での病変で生じる。
4.おわりに
脳は、記憶や思考をつかさどる領域や運動、感覚をつかさどる領域などが、複雑に関りあっています。血栓や出血の起きた部位を中心に麻痺や障害が残りやすくなるのが一般的ですが、一見似たような病状であっても、影響を受ける脳神経のつながり方には個人差があります。そのため必要なリハビリも、患者様の後遺症にあわせた多様なものになります。