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aflo
きみと同じ名前だから。
「ずいぶん色付いてきたねえ」
プランターに植えられているミニトマトを覗き込むようにして、きみは嬉しそうに笑う。
「まあね。毎日ちゃんと、水やりもしてるから」
僕がそういうと、きみは振り向きながら、「えーっ」と塩ひとつまみ程度の辛口なエッセンスを込めた声を出した。
「前にシャボテン公園で一緒に買ったサボテンは枯らしてたのに?」
「サボテンは意外と難しいんだぞ。水やりすぎちゃダメだって、アイコだって知らずにどんどんあげてたでしょ?」
まあねえ、と少し風向きが悪くなったようで、ミニトマトに目線を移ししていた。
春先に君とドライブに行った帰りに、偶然見つけたミニトマトの苗。
きみと同じ名前だったから、買わずにはいられなかった。
絶対に枯らさずに。実らせることができたなら。
僕はひとつ決めたことがある。
あと、もう少し。ミニトマトが真っ赤に色付いたら。
一緒にミニトマトのサラダを食べながら、きみに伝えようと決めたんだ。
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