初夏の賑わい

止まったと思ったら、また飛び立って。ひとときも落ち着いてはいられない。
「あたりまえでしょ？　いまが一番忙しいんだから」と言わんばかり。
ひゅんっと急旋回する姿は、どこか誇らしげでもある。

少し前まで静かだった駅の周りは、いつの間にか活気に満ちている。
新築のおうちがつぎつぎに作られて、ツバメ夫婦の人気子育てエリアへと変化していた。

ちいさな巣の中で、みっちりとつまった雛鳥たち。
母親の羽音を感じたとたんに、こぼれ落ちてしまうんじゃないかと心配なほどに、巣から身を乗り出している。

黄色いくちばしを目いっぱい開けて「ぼくにちょうだい」と猛アピール。

数秒の騒がしさの後、あたりには静寂が訪れる。黄色いくちばしたちは横一列にぴったりと閉じてしまった。
そしてまた、羽ばたきを聞きつけると大きく口を開き、おしくらまんじゅうで遊んでいるかのように騒ぎ立てている。

きみたちも、またいつか、この場所に戻ってきてくれますように。