流れる時間
「おばあちゃん、こんにちはぁ」
玄関から聞こえてきた、大きな声。
半年ぶりに遊びにきてくれた、あの子の声は、記憶していたものよりも、どことなく大人びたような力強さがあった。
またいつでも会えるよね。そんな風に思い続けていたい。
けれど、いつまでも、今が続かないことも、知っている。
あの子はごくごくと水を飲むたびに大きくなり、私は蛇口からぽたりぽたりと垂れ落ちる水にも似た早さで老いていく。
上流から下流へと、当たり前のように流れ落ちる水は、私たちに役割を与えて、そして絡め取ってゆくことも、分かっている。
「いらっしゃい。うわぁ、汗だくやねぇ。ほら、シャワー浴びといで」
ぱたぱたとスリッパをならして、玄関へ急ぐと、あの子の顔には笑顔が広がっていた。すこし、背が伸びただろうか?
一緒に過ごせる時間は、まぶしくて、光を放つ水面のようだ。このひととき、瞬きをせずに、静かに見つめていたい。
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