『えんとつ町のプペルTHE STAGE』【#まどか観劇記録2020 4/60】
夢を見ろ。行動しろ。自分を信じろ。
舞台の醍醐味は、生身の人間が目の前で話し、役を生きている、そこから伝わってくる熱やエネルギーだと思うんです。その日その瞬間しかない熱を浴びて何を思うのか。
『えんとつ町のプペル THE STAGE』で、私は言葉がすごく刺さりました。脚本はえんとつ町のプペルプロジェクトの生みの親の西野さん自ら手掛けられ、絵本での表現に固執することなく舞台上で届く言葉として生みなおされた言葉たちでした。
深く刺さった言葉のシーンをみっつばかり。
「夢を語れば笑われ、行動すれば叩かれる」
メインテーマの歌詞にも歌われているこの言葉。それでも、と舞台上の人物たちは続けます。笑われ、叩かれても、自分の夢を信じて行動するんだよ、と、誰よりも行動してきた西野さんだからこその言葉だとめちゃくちゃ刺さったんですが、さらに続きがあるんです。
正確な表現は忘れてしまったのですが、”見えてしまった人間には責任ができる。その覚悟はあるか”、”知恵をつけろ。強くなれ”といった言葉が続きました。丸腰で突撃するんじゃないよ、という優しさ。なんだかね、ここの部分が一番響いたんですよね。
「僕の未来を勝手に決めないでよ!」
少し話が逸れますが、須賀健太さんのルビッチが最高に好きです。感情豊かでまっすぐで芯が強くて、ビジュアルも表現も最高に好きです。そんな彼がルビッチを気遣うプペルに叫んだ言葉。
自分でも驚いたんですが、この言葉を聞いた瞬間に泣きました。ああ、きっと最近の私はこう言いたかったんだな。人と関わって生きている以上、他人から見た自分のイメージが良くも悪くも作られて、善意悪意に関わらずいろんな想いを受け取りながら生きています。が、当然自分の思う自分と他人の思う自分って違う。でも違うと思っていてもその差異は言わなきゃ伝わらないんだよ。そして幸せになりたいなら言わなきゃいけない。
アントニオ
具体的な言葉じゃないのですが、中盤あたりからの一連のアントニオがかっこよすぎて…。絵本を読んでいるときはこんな子じゃなかったよね君?なんでその魅力を隠していたんだい?と小一時間問い詰めたくなるくらいいい奴でした。なんだろう。ドラえもんでいう“映画の時のジャイアン“。伝わりますか?笑。最高にかっこいい奴ってことです。
個々のお話はここまでにして、“舞台”えんとつ町のプペルに感じたことを。
この物語は絵本がすべてではない。壮大なストーリーの中からそれぞれ適切な表現の場を選択しているのだ。そんな風に西野さんが言われる通り、この舞台は絵本の再現ではありませんでした。言ってみればえんとつ町の具現化です。
透けるスクリーンに投影される映像とリンクする舞台装置によって境界をぼかされた幻想的な世界観。音響のエコー調整など技術面での細やかなこだわりでのシーン描写。少ないキャスト(そうは見えない早変わりも見事)自身によるセット移動などの手作り感。
すごいなと思った演出を列挙しましたが、ファンタジーの世界観を保ちつつ、目の前に存在しているリアリティを観客と共有することをやっていたと感じました。フィクション(ファンタジー)の世界観とリアルな感覚をバランスを保った状態で突き詰めたから、この座組での舞台で、絵本ではできなかった「ファンタジーを受取手が自分事化する」ことを実現したように思います。
舞台ってその時その瞬間の自分の状態で受け取れるものが変わると思います。今回出会えた『えんとつ町のプペルTHE STAGE』で私はこんなことを感じました。この物語はまだまだ続くようで、今度はどんな形で出会えるのか、その時私はどう感じるのか、これからも楽しみにしたい作品でした。(観に行くのが遅くて千秋楽終わっちゃいましたすみません!)
夢を見ろ。自分を信じて行動しろ。
2020年12月に映画公開するってよ!
* 観劇直後の興奮冷めやらぬツイート *