⑧レアルマドリードvsマジョルカ レビュー
決戦前の前哨戦。
マドリーは4-4-2、マジョルカは5-4-1。
重要な試合を控えているマドリーだが、手を抜いて勝てるような場所と相手ではないことは昨シーズン味わっている。しかも今シーズンはコパ決勝まで上り詰めている強豪。なかなか厳しい試合にはなりそう。
まず、マジョルカを見た率直な感想として、迷いがない。単なる寄せだけでなく、プレスバックも迷わず一直線で来る。チームとしてやることがはっきりしているというのもあるが、選手個人がそう決めているような一面が強い。とにかくやりきる。それゆえベリンガムやブラヒムのドリブルで引き剝がされそうにもなるが、そしたらファールで止める。FKなら負けない。クロースもいないし。そんなイメージで挑んできた。
上図はマジョルカのハイプレスの形である。ファーストディフェンダーは1トップのムリキで、アントニオサンチェスは背中でモドリッチを消し、WBのマフェオがメンディまで縦スライド。ジョバンニゴンサは死ぬ気でブラヒムを抑える。甘いサイドチェンジはダニロドリゲスが常に狙った位置取り。
この試合の前半はマジョルカによって塩漬けにされた印象。ただ、マドリーも割と受け入れている様子だったので、ローテンポな試合展開となった。シティ戦に向けて消耗を避けたいマドリーからすると気持ちは分かる。
ということで前半は特に何もなかった。フィジカル集団のマジョルカがマドリーを追い返し続けて終了。両チームともに焦る様子は見えない。
マジョルカ目線、マドリーを追い返し続けられているので成功。マドリー目線、カウンターを食らわないようにマジョルカを揺さぶって消耗させられているので成功。そんなところだろうか。ただ、マジョルカは5バックで縦スライドもバンバンする分、走らされている印象はある。その分マドリーが若干有利なのかなという感想。
後半、修正をしたマドリー。
モドリッチを大胆にワイドまで上げる。狙いは、前半窮屈そうにしてたブラヒムを解放してあげるため。ブラヒムにべったりだったジョバンニゴンサレスだが、モドリッチの上がりでマークに迷いが生じる。中途半端な立ち位置になり、ブラヒムがライン間で受けられるようになる。しかもチュアメニのミドルで先制までできてしまった。これ以上にないくらい作戦大成功。
先制してからは元に戻したマドリー。モドリッチを下げて、落ち着かせる。ただ、前半と同じ配置でも、ベリンガム・ブラヒム・ホセルが連動して動くようになったことで、縦パスが差し込まれるようになる。とくにベリンガムが裏抜けを狙ったとき、前半はホセルも一緒に裏抜けを狙っていたが、後半はライン間で受けようとしていた。
後半はマドリー非保持の局面もそこそこあった。
マドリーはカマヴィンガとヴィニシウスを投入し、4-5-1に変更。ニアゾーンランにはIHがそのままついていけばいいシステムとなっている。
ニアゾーンランも通らないマジョルカは、ブロックを押し込めない状態が続く。ブロックを押し込めないので、手前から仕方なくアーリークロスを上げるが、ムリキもアブドンもゴールから遠すぎて、競り合いに勝てても決定的なチャンスにならない。
フィジカル軍団のマジョルカ相手ならバックスの人数を増やしたくなるが、そうではなく中盤の人数を増やして守備固めをした。この辺の修正はさすがアンチェロッティだなと思った。
結果的に試合はそのまま終わり1-0でマドリー勝利。敵地で貴重な勝ち点3を手にした。
今回の試合は、やはり後半の修正が良かった。リスクマネジメントも上手くできていて、個人的には危なげのない試合で、完勝に近い勝ちだと思っている。ただ、この内容なら1得点は物足りない。
次はCL2ndlegマンチェスターシティ戦。今シーズンの集大成。チュアメニがいないのはだいぶ痛手だが、アンチェロッティはどうやって乗り越えるのか。この試合で外した分、シティ戦では決まることを祈っている。