⑩レアルマドリードvsバルセロナ レビュー

最高の試合と最高の結果。

 マドリー、バルセロナともに4-3-3。

 4-3-3とは仮の姿と言わんばかりにポジションが入れ替わりまくる両者。それぞれの色が濃く出たとても面白い試合だった。


 まずは、マドリー保持、バルセロナ非保持の噛み合わせ。

 マドリーは3-3-4の初期配置。普段はメンディが左ワイドをとることが多いのだが、代役のカマヴィンガは偽SBぽく振る舞い、ヴィニシウスが左ワイド。右はいつも通りバスケスがワイド。バルベルデはアンカーの立ち位置。

 バルセロナは4-3-3でプレッシング。中盤のギュンドアンが結構出てくる。クリステンセンは背後のベリンガムを気にする立ち位置。ハフィーニャはワイドのバスケスはあまり気にせずチュアメニまでプレスをかける。


 まず、偶然かわざとかは分からないが嚙み合ったのはバルセロナ。普段のバルセロナの試合は見ないので分からないのだが、保持の局面をあまりいじらずに非保持もこなせている。

 ただ、今日のバルセロナの守備は雰囲気守備。悪い時のマドリーと同じ。準備できていないのにレヴァンドフスキとハフィーニャがハイプレスをかけるから、後ろが連動せずにかわされる。あと、球際も甘い。マドリーの選手相手に、そのプレスじゃ意味がない。そう思うシーンが何度もあった。


 バルセロナの寄せの甘さもあるが、今日のマドリーの保持は結構理想に近い形。カマヴィンガが内側に絞ってくれるおかげで、ヴィニシウスまで一直線につながる。カマヴィンガ自身も失わないテクニックがある。ベリンガムやモドリッチのサポートも的確で、前進はかなりスムーズにできた。ピッチ内に中盤の選手が6人もいるこの異常な人選は、保持の連動という点で非常に有効に働いた。


 マドリーの非保持とバルセロナの保持の噛み合わせ。

 マドリーの非保持は、4-2-1-3ぽい配置。明確に選手を捕まえていたのはクロースとモドリッチのみで他はアドリブで守備していた。


 マドリーの非保持で噛み合っていないのは2か所。ライン間で受けようとするハフィーニャとフレンキーと横並びのクリステンセン。

 クリステンセンに関しては、ベリンガムのアドリブ守備が素晴らしすぎて何とかなっていた。今日のベリンガムは、常に背後をケアしながら、いけるタイミングでは厳しくプレスをかけていて、実質相手選手2人を消す働きをした。マジョルカ戦、シティ戦を経て、ベリンガムは完全体に進化してしまった。あとは継続できるか。

 ハフィーニャのところはまあまあやられる予感がある。ドリブルももっている選手で、フリーで持たれると結構危ない。手を打つ必要がある。


 マドリーは前半のうちに非保持を修正。ギュンドアンはカマヴィンガやリュディガーに任せて、クロースはクリステンセンを捕まえる。バルベルデはライン間のハフィーニャを捕まえる。こうして中盤を噛み合わせた。

 中盤で数的優位をつくれなくなったバルセロナ。しかも、前半終盤でフレンキーが負傷で交代。形の変更を余儀なくされる。

試合展開としては、1-1で前半終了。

 バルセロナは今のマドリーが一番戦いやすいタイプのチームだと感じた。ボールホルダーに制限がかけられていない、且つブロックはコンパクトなのでサイドチェンジしやすい環境なのが大きい。

 対するマドリーだが、カマヴィンガの非保持以外は今季ベストゲームと言って差し支えない。それくらい完璧な試合運び。やはりモドリッチとクロースの存在が大きくて、攻撃ではもちろんだが、この試合は守備でそれを感じた。同時起用はフィジカル的にきついとか思ってたけど全然そんなことない。フィジカル面をカバーできるだけの経験値と頭の良さと視野の広さをもっている。この2人には頭が上がらない。


 後半、いきなり動いたバルセロナ。先制点を取ったクリステンセンを下げてフェルミンロペスを投入。そして、中盤の役割を変更。クリステンセンの位置にギュンドアンが入って、フレンキーの位置にはそのままペドリ、ギュンドアンの位置にフェルミンロペスを起用してきた。

 対するマドリーの非保持だが、ベリンガムにアンカーを任せる元の形に戻した。ただし、ハフィーニャにはバルベルデがつく。

 まず、バルセロナは中盤の構成を変えたことで、前進するのが容易になった。ギュンドアンの配球能力や、ペドリの技術などが攻撃面で良い変化をもたらした。代わりに守備では抑えられなくなって、マドリーの攻撃も助ける形になった。

 そういった要因や疲れも相まって、オープンな展開になってきた。勝ち点3がマストなバルセロナからしたらそれが狙いで、しかも1点奪えたわけだから作戦成功といえる。

 だが、逃げ切れなかったバルセロナ。失敗ポイントはレヴァンドフスキを下げたことと、ギュンドアンを使い続けたことかなとマドリー目線から見ると思う。クロージングが苦手なイメージがあるバルセロナだが、まさにそれがでた試合となってしまった。

 試合をオープンにしたバルセロナだったが、マドリーにとっては好都合で、ヴィニシウスのカウンターはかなり脅威になった。むしろ前半みたいにコーナーキックからチャンスつくり続けられる試合展開だったら、もっと違う結末になっていたかもしれない。

 ともかく、いい試合をして勝つのは素晴らしいこと。満足のいく内容と満足な結果という今季初めてに近い試合だった。
 
 次はアウェーソシエダ。勝ちがマストというよりはCLに向けたコンディション調整の一面が強くなりそうな一戦。ギュレルやフランガルシアの最近出番が少ない組はチャンスだと思うから、ぜひ頑張ってほしい。

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