スペイン親子留学。医学部までの道のり・語学学校に行くも…
スーツケースを引きずり、迷いながらもどうにかアパートにたどり着いた私達だが、まず建物の入り口の鍵が開かない、開いたと思ったらエレベーターがない、Planta2と書いてあるのに部屋は3階(地上階、1階、2階とカウントする罠だった)部屋のドアの鍵もまた開かないと困難を極めつつ、ようやくアパートに入室。
オーストラリアやアメリカのアパートとは違い、部屋は暗くて質素で水回りも残念だ。子ども達も思わず絶句。「ま、いいんじゃない?」と16歳の長男は気を使いつつも、一番広くていい部屋を陣取った。次にネットがない、お湯が出ないと大騒ぎがはじまる。全ての不便は子ども達の人生の糧になるだろうと私も思い直し「とにかく寝よう」と翌日からの語学学校に備えることにした。
学校までは徒歩10分程度。昨夜のバーの上に学校はあった。近代的な学校のイメージとは対極的に、そこは築100年以上の古い建物で、The ヨーロッパだ。床も壁もタイルと大理石であちこちが欠けており、木枠の窓に表面が波打った壁で、まるで誰かの家だったような作り。それもそのはず、他の階は普通の住居だ。緊張しつつ、張り切って事務室らしき所に行くと「今日は木曜日なので、授業は来週から」とあっさり言われる。学費は週単位だったらしい。せっかく早起きして行ったのに、肩透かしを食らった気になる。来週の月曜日まで4日間何をすればいいと言うのだ。
「何もしないわけにも行かないし、少しは勉強して準備したいので、何か教材はありませんか?」と尋ねると、窓口になっていたドイツ人のウスラとメラニーは、学校主催のアクティビティの紙と教材をくれた。仕方なくそれらを持って、アパートに戻るも実際の長旅で疲れていた子ども達は「お腹空いた~」「眠い~」とゴロゴロし始めた。外国にいても、子どもは子どものままだし、ママはご飯は作らなきゃいけない。
アパートの外に出ると、昭和のように八百屋、肉屋と小さな商店が並び、表示価格はキロ単位。野菜はビニールに入れて買う時に重さを計り価格がわかるスタイルだし、肉は自分で何の肉を1/4㎏とか1/2kgとか言わなければならない。さらに、カットするとかしないとか、ひき肉にして欲しいとかその都度注文すると言う高度な語学力を要求される。
スペイン語で「こんにちは」も言えない私は、再度、子ども達を動員して無言で買えるスーパーに行くことにした。食材が売っていても、考えたら炊飯器もない、調味料もないので、日本で作っていたものを作るのは不可能だ。
「食べたいもの、選んでカゴに入れてっていいよ~♡」と言うと、子ども達は本能で目についた好きなものをどんどんとカゴに入れた。€がいくらかも頭に入っていない私は、目をつぶってカードで払う。食べる人が選んだ方が合理的ではあるが、内容は偏ったものにはなった。
ここから1か月、どうやってご飯を作ろうか、この空白の4日間、どうやって子どもを退屈させないか、頭を抱える。
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