いつか愚痴や泣き言ばかりの私を愛せるようになれたらいい。

「人は愛欲より憂いを生ず」

現実が問題だらけなのは、
「愛されたかった私」がいるから。

なら、幼い頃の満たされない想いを
私自身が愛そう。

と、思ったのだけれど、
思った通りにはいかないものです。

愛されたかった私がいると、
無意識に愛されたい、
愛されようとしてしまう。

愛されているかどうかが最優先。
そればかり気にしているものだから、
愛されない経験が増えてゆく。

居心地の悪さを解消しようと、
真面目に仕事に取り組むけれど、
ミスは多いし、仕事は出来ない。

仕事ができないなら、
雑談で場を盛り上げられたら、
居心地も今ほど悪くはないだろうに。

願う自分像とは程遠い自分が居た堪れない。
愛されたい私が疼く。

ここにいたくない。
独りになりたい。

愛されたい私がいるから、
愛されない現実を味わう事になる。

そんな人生が50年続いている。

ずっと現実が悪いと思ってきた。

けれど、問題は現実ではなく、
私の中にある愛されたいという欲望。

私自身の価値観や心の有り様が、
望まない現実を創り出している。

現実は、心の反映。
現実は、ニュートラル。

ジャッジのない現実を偏らせているのは、
愛を乞う視点。

満たされない想いが、愛されることを願い、
愛されない現実に打ちのめされている。

愛されたいと願うと、
結局は、愛されない。

そんな残念なループに気づいても、
打ち破ることが出来ずにいる。

愛されたかった私は、
愛されなかったわけではない。

私が求める愛され方が
得られなかっただけなのだと思う。

彼女が望む愛は、理解。

感情的に決めつけるのではなく、
論理的に話してほしかった。

怒られるにしても、
納得できる理由が欲しかった。

意思の疎通ができず、
本心がすれ違ったままで、
とても悲しかったし、寂しかった。

母には避けられているように感じた。
誤解され続け、心を閉ざした。

それでも、
私を知ってほしかった。
私に気づいて欲しかった。

理解して欲しかった。

母は悪くない。私も悪くない。

いや。多分、私が悪いのだ。
こだわりが強すぎる。
白黒つけたがる。
完璧主義な潔癖症。
辻褄が合わないことが許せない。
生理的に気持ちが悪くて、
正解のない世界に耐えられない。

けれど、
世の中には正解なんてなくて、
現実は生きにくいまま、
自分を愛することが出来ずにいる。

ニュートラルなはずの現実を
辛いとしか思えない。

愛されない私がいると、
愛されない現実になる。

愛されたい私がいると、
愛されたい現実になる。

なら、
愛されている私がいれば、
愛されている現実になる？

愛された私だっていた。
「愛されたかった私」以外、
日常の殆どは、愛されていたはず。

当たり前すぎて忘れていたのか、
思い出そうにも記憶にないけれど。

そのくらいナチュラルに
愛されていたはずなのに。

愛されることが当たり前なくらいに…

だからかな。
愛されない今が辛いのは。

愛される努力をしないと愛されない現実が、
嫌で嫌で堪らないのかな。

愛される努力をしても、
報われない現実が心底、嫌なのかもしれない。

愛されていた私を思い出せれば、
愛される現実を生きられるのかもしれない。

けれど、本当に可愛がられた記憶がない。

心配はされたし、困った時は助けてくれた。
小言を言われ続けたけれど。

褒められた事は数回しかない。
それも、先生や近所の人が褒めてくれたから。

母自身の考えや感情から
褒められた記憶は、一度だけ。

愛されたかった私が止まらない。

これが、デフォルトだから、
現実が偏ってしまうのだ。

現実をニュートラルに
捉えることができる私って、
どんな自分はどんなだろう？

偏りがないニュートラルな私。
それって、もはや人ではないよね。

愛されているかどうかすら
どうでもいいというか、
全ての欲得を捨て去らない限り、
無理じゃない？

欲得はあるけれど、
結果に固執しない、とか？

愛されたいけれど、
愛されない現実に傷つかずにいられる状態。

できることなら、
愛欲を手放して楽になりたいんだけど、
出来ない今、それを願えば、
楽に慣れない現実がやって来る。

最終的な希望は、
愛されたかった私を愛せるようになること。
愛されていた私で、生きてゆくこと。

けれど、現時点でそれが出来ないなら、
望まない現実を受け入れてみよう。

ニュートラルに捉えられない現実を、
ネガティブなまま、認めてしまおう。

無意識に現実を拒絶するのは、
認めたくない現実を、生きなくて済むから。

受け入れたくない自分に気付きたくないから。

私以外の価値観なんか、苦痛なだけだから。

折り合いがつかないんだよね。どうにも。

いつだって、自分がでしゃばって来る。
融合なんかしたくない。気持ち悪い。

潔癖症で完璧主義。
基本的に、発想が病的なんだな。
そりゃ、生きにくいよね。

そんな私が、
現実と折り合いをつけるには、
どうしてらいいのだろう？

心の有り様を変える事は、難しいだろう。
生理的に気持ち悪いんだもの。

なら、その心が反映された現実を
受け入れられるような考え方に
シフトしてゆくしかないのでは？

理解したいんだもんね。
結局、理解されたいなら、
この世界のシステムやルールを
理解しないと、無理だもの。

愛されたい願いは叶わなくても、
それに振り回されることはなくなる。

もしかして、
それが今の望みなのかな。

愛されることより、
愛に振り回されたくないのかも。

もう愛されなくてもいいや。
そう思えるようになっているのかも。
彼女が私の幸福だから。

愛されなかったからこそ、
私が求める幸福を示してくれているから。

愛されたいから、卒業したい。
生きやすい現実を目標にしたい。

現実がタイトなのは、
心が反発しているから。

現実と心の葛藤。
それを生み出している価値観。

ジャッジしているのは、自分？

受け入れられないのは、
ありのままの現実ではなく、
それに反抗したがるネガティブな自分。

自分はそんな人間じゃないと思いたい。
そんな生き方はよくないと思っている。

望み通りでない現実に対して、
文句ばかり言うわがままな自分。

ニュートラルなはずの現実に、
腹を立て、赦せずに、酷いと拗ねて、
悲しんで、ガッカリしている自分。

理屈の通らない
感情優先の自分が赦せないんだ。

あ。それ。
母への思いと一緒だ。

私自身が理論的じゃないから、赦せないんだ。
母にして欲しかったことを、
私自身もできないこと。

相手に求めていることを、
自分だって出来やしないじゃないか。
そういうこと？

愛されたかった私って、
幼い頃の自分ではなく、
今の私がジャッジしている
ネガティブな私のことだったのかも。

そして、愛されたかった私が
母に求めていた愛って、理想の愛だった。

まちがいではないけれど、
自分だってできないくせに、
寄越せと言っていたのね。

感情的な自分が、赦せないんだよね。
ネガティブな自分を見ていたくない。
明るく、楽しく、生きていたいんだよね。

けれど、対極の価値観が
同時に発生するこの世界では、
一方だけを望んだって、叶わない。

ポジティブな現実を欲するなら、
ネガティブな心を引き受ける。

たぶん、それがルールなのだと思う。

私に足りなかったのは、
愛されることではなく、
認めたくない自分を受け入れること。

現実がニュートラルだとしても、
ニュートラルにはなれない自分を
認めること。

そんな偏った自分が、完璧であること。

私の現実は、ニュートラルではなく、
不完全であることが、パーフェクト。

今ある現実は、私にとってちょうどいい。
多くはないけれど、少なくもない。

足りないと思っているだけで、
足りているのかもしれない。

必要な分は、過不足なく与えられている。
守られているし、
愛されているのかもしれない。

私個人ではなく、
与えられたこの命は、生まれた時から
愛されているし、赦されている。

納得できないけれど、認めてみたら？

多少は、生きやすくなるかもしれない。

ネガティブな自分を掌に乗せて、
言いたいだけ言わせてあげられたらいいのに。

感情に飲み込まれるのではなく、
他人の愚痴を聞くように、
聞き流せたらいいのに。

あ。私、他人の愚痴を聞いていると、
自分まで気が重くなるんだった。

ネガティブな言葉を浴びるから
と思っていたけれど、
ネガティブな自分をジャッジしているからかも。

いつか愚痴を言う自分を愛せたらいいな。

fumori