望まない現実なんてない。
望まない現実なんてない。
事実とそれを解釈する自我がいるだけ。
自我の想定通りの事実と、
異なった事実があるだけ。
現実は、自我の物語。
事実を基にした二次小説。
事実と期待と誤訳が混在するフィクション。
私がいるから、
私を主人公にした物語が必要で、
物語の舞台が必要になっているだけ。
たぶん、そういうことなんだろう。
苦手なことも、嫌いなことも、
やりたくないことも、私のため。
私というキャラ設定に従って、
情報に色付けをしているだけ。
そういうシステムなのだろう。
ネガティブな感情は、命を守るためにある
と思っていたけれど、守りたいのは、
自我が作り上げたキャラ設定。
盛り込みすぎて、崩壊していても、
主人公を死なせるわけにはいかない。
事実を歪曲し、加筆することで、
キャラが保てる現実を作り上げている。
私が認識している現実は、
自我の不都合を埋め合わせるためのもの。
私が、私ではないこと。
過去のデータの寄せ集めでしかないなんて、
知られたくない。
個としての私が、
他人の価値観で成り立っているなんて、
屈辱ですから。
私が存在しないなんて、困るから。
困るのは、自我だ。
知られたくないのも、屈辱なのも、
キャラ設定がブレるから。
そんな理由で、
性格の破綻した主人公を演じさせられている。
としたら、
私という人格も、
私が信じていることも、
私が苦手な人も、
設定に従っているだけかもしれない。
自覚している性格すら、設定だとしたら?
優柔不断なのも、無力なのも、
仕事ができないのも、稼げないのも、
人付き合いが苦手なのも、人から嫌われやすいのも、
人を傷つけることを言ってしまう無神経さも、
我の強さも、頭が悪いもの、ルーズなのも、設定?
なるほど。
性格なんて、認識する相手次第で変わるもの。
誰にも、絶対の基準なんてないのに、
自分との比較でしかないのに、
なぜ、そんなキャラ設定にしたのだろう?
性格なんて、関係性で生み出されるものなのに、
なぜ、そんなキャラを演じているんだろう?
まぁ、なんらかのメリットがあったんだろうな。
どうせ過去。今には、作用しない。
今ある命は、過去には囚われない。
なら、やめればいいのかも。望まない設定を。
優柔不断じゃなくてもいいし、
無力じゃなくてもいい。
仕事ができるとか、稼げるかどうかに、
拘らなくたっていい。
実力を出し惜しみせず、
お給料を頂いているなら、
それでいいじゃん。
そもそも人付き合いに、得意も不得意もない。
嫌うのも、好きになるのも、相手の自由だ。
無神経なのも、我の強さも、
頭が悪いのも、ルーズなのも、誰との比較?
断定してきたのは、誰?
だとしても、だからなんなの?
理想と真逆のキャラってだけじゃん。
キッパリ決断できるキャラに憧れてるんでしょう?
行動力も実力も欲しいんでしょう?
バリバリ働いて、稼いでいたいんでしょう?
人付き合いが得意で、人の輪の中心にいたいんでしょう?
だから、人に好かれる自分でいたいんでしょう?
そうなれないのは、私が悪いの?努力不足?
辻褄の合わないキャラの設定のせいだろうが。
優しい人でいたいでしょう?
独りよがりな決断をして、行動に移しちゃったら、
人の領域に踏み込んでしまうかも。できないよね。
求められるまま働いて、稼いで、何がしたいの?
コンビニの新商品でストレス発散してただけじゃん。
仕事で忙しかった母を正当化したいだけじゃない?
寂しかった過去を埋める価値が仕事にはあるって、
信じたかっただけじゃないの?
人に好かれたいのはさ、
無神経でも、我が強くても、
頭が悪くても、ルーズでも、
それでも人を惹きつける魅力がある。
そんな自分への憧れ。
好かれたいから、別のキャラになりきろう!
なんて、本末転倒でしょうに。
自分の価値を相手に委ねてどうする。
相手にとっても、重すぎるわい。
性格も、キャラも、相手との比較。
相手が変われば、私も変わる。
なので、
設定したキャラをキープするのは、無駄な努力。
私より優しい人も、行動できる人もたくさんいる。
張り合っても、勝てないよ。
私を表現することしか、できないよ。
設定されたキャラではなく、
今、この命に委ねてみたらいい。
今ある命は、過去の最適解の上に存在している。
その場の思いつきでも、
さほど場違いな選択はしないよ。
過去の集積でありながら、過去に囚われず、
自由に今はない未来を選ぶことができる。
これまで生きてきたこの命と、
幻想を生み出す自我の妄想力を、
信頼してもいいのかな。
これまで過去を練り直すだけだったけれど、
これほどリアリティある認識を作り出せるんだもの。
ベクトルを変えたら、どんな未来を見せてくれるのだろう。
人に好かれるためのドラマは、もう飽きた。
自我の描く未来の物語が、とにかく待ち遠しい。
乞うご期待だ。
fumori