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海外暮らしと親の介護

娘の高校留学を機に2023年4月にメルボルンに移住しました。高校卒業までの期間限定の海外暮らし、残り399日のあれこれをnoteに綴ります。


1年半でだいぶ衰えた母

日本で暮らす母の調子がどうもよくありません。
84才になり、私の兄とふたりで住んでいます。移住して1年半の間に、だいぶ年をとりました。
移住後、母にさみしい思いはなるべくさせないようにしたいと、ほぼ毎日LINEでビデオ通話をしています。今年の2月ごろは「早く帰ってこーい!」なんて冗談交じりに話していましたし、友人たちとごはんやカラオケを楽しんでいましたが、ほどなくして様子に変化がありました。

4月に夫の母が亡くなり急きょ日本に1週間ほど帰ったときに実家行くと、母はひとまわり痩せ、足もおぼつかなくなっていました。昔から腰が弱い人でしたが、さらに弱くなっていたようであちこち痛がっていました。

骨折と入院が引き金に

私がオーストラリアに戻ってからひと月もしないうちに、母が外出先で転んでしまい左手を骨折しました。また同時期に胃の調子も悪くなり1週間ほど入院。この二つがきっかけに、母の調子がぐんと悪くなったような気がします。

兄への負担が日に日に大きくなり、仕事が休みの土日は母の面倒を見ることが多くなりました。平日、仕事から家に帰ると母の食事や薬の管理など細々した作業があり、私もビデオ電話をしながら「今日は薬を飲んだ?」、「ごはんは何を食べたの?」と確認することばかり……。

ケアマネジャーさんと密に連絡

夏になると暑さもあってか、ほとんど家からでなくなりました。昔は外出が大好きでいつも友だちとあちこちでかけていましたから、日中、ひとりきりで過ごすことが耐えられないと頻繁に連絡がありました。ここでは書けないようなメッセージをLINEで受け取るたびに、私の心もしんどくなりました。

この状況、何とかしないとマズい。

じつは昨年末の一時帰国の折、地元の包括支援センターに行き、いろいろアドバイスをもらいました。メルボルンに戻ってからも電話で相談にのっていただいて、公的なサービスが受けられるように介護認定の手続きやケアマネージャーさんを紹介していただき助けてもらっています。

子どもの気持ち、母の気持ち

9月になると母は身体だけでなく、心も不安定になることが多くなりました。日中、ひとりきりで過ごすことが困難になり、デイサービスに週5回通っています。ただ、2週間前に自宅で転倒してしまい、腰を圧迫骨折してしまったので、さらに足がおぼつかない状況です。

記憶がしっかりしているときとそうでないときも心配のひとつです。ビデオ通話で話す母は何度も同じことを繰り返していますし、春に日本で顔をみたときとだいぶ印象が変わっています。兄によると、足のふらつきが心配で、ひとりでは外に出ることは難しいと言っていました。

先日、ケアマネージャーさんからリハビリを目的とした施設に一定期間滞在することをすすめられました。日帰りのデイサービスもままらなくなってきているので、私も兄も前向きでしたが、母は首をたてに振りません。
母は「このまま家で過ごして、自分でリハビリして元気になる」と言っています。家を離れたくない気持ちはわかりますし、本人の気持ちを優先させたいとも思っています。

ただ、兄ひとりに母を任せるわけにもいきません。もし仮にまた家で転んで骨折するようなことがあったら、施設ではなくそのまま入院してしまう可能性もあります。

親の介護は100人100通り

親の介護には模範解答はありません。

幸い、私は頼れる兄と迅速に対応してくださるケアマネージャーさんのおかげで、何とか持ち堪えています。でも、長く続かないことはよくわかっています。

画面ごしの母の心配そうな顔を見ていると、胸が苦しくなります。

親の介護は100人100通りがあると思います。兄と私が選んだ介護の仕方が最善かはわかりませんが、母の様子を見ながら決めていきます。

娘には心配をかけたくないので、あまり詳しいことは話していません。ですが何しろ小さいアパートなんで、兄とのシリアスすぎる会話や母をなだめている私の声が筒抜けです。電話が終わると私がぐったりしているせいか、「大丈夫?」と声をかけてくれます。

つい先ほどもこんなことを言われました。

「自分の心を大切にしてね」

短い言葉にすべてが詰まっています。
娘よ、気づかせてくれてありがとう。

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