読書会に行きませんか?他人のペースに合わせられなかった私が3年続けている、希望のために重ねる学び【つくり手であること】
ライターである前に、言葉の力を信じるひとりとして、また、社会変容を願って日々行動しているひとりとしても、本が好きです。
本の世界は無限に広く、本の読みかたやペース、冊数、読む理由だって千差万別。世界にいろんな「本好き」がいること自体が愛おしくも感じます。
個人的には、読むペースが読みたいペースに追いつかないことが長年の悩みで、常に「もっと本を読む時間をつくりたい」という課題も否めません。
なぜそんなに本を求めるのか?と自問してみると、本を選ぶことで自分の興味関心の矛先を自覚したり、逆にまったく無意識だった価値観に触れて気づかされることがあったり、あるいは自信喪失の裏返しであったり、仕事への熱意、向上心、ひらめきの渇望などなど、その時の自身の内面に気づけるからかもしれません。
ひとりで読みたいくせに惹かれる、読書会なるもの
世界に数多ある「読書会」。同じ本を読んで意見交換するなんて楽しそうだな学びになるだろうな...と思って行ってみたこともありますが、元来ひとりで読みたい性分がじわじわ染み出してきて、決して不快ではないのに、いずれも続けられずにいました。
思うに過去の私は色んな余裕がありませんでした。他の方の意見を傾聴したり誰かのペースに合わせたり、自分の感想を聞いてもらう気持ち的な余裕が最もなかった。つまり自分のための読書で精一杯、あるいは、誰かの意見も自分のために聞けるような。私が必要だったのはそういう場所でした。
そんな私が2018年の春から関わり続けている読書会があります。それは「幸せ経済社会研究所」と「POZI」が主催する定例読書会です。ひとつずつご説明しましょう。
「幸せ経済社会研究所」
通称・幸せ研は、環境ジャーナリストの枝廣淳子さんが10年前に立ち上げた団体です。環境問題の具体的な解決を考える時、「経済」の存在や「社会」のあり方を無視することはできず、それらはみんな私たちの「幸せ」と密接な関係にあるため、幸せと経済と社会をめぐる問題構造を考えるための研究をしています。
と、いうのは私の理解の上での言葉なので、よかったらぜひ幸せ研のウェブサイトをぜひご覧ください。
もしも幸せ研を知らなかった方も、環境問題や社会課題に意識を向けてきた方であれば、枝廣淳子さんはご存知かもしれません。少なからず環境活動を続けてきた私にとって、枝廣さんは今も昔も憧れの存在です。知的でシャープな言葉選び、誰よりも先を行く問題意識、幅広い知識と冷静な提案、攻撃や否定をしない議論の進め方など、枝廣さんが100人いたら世界は良くなるだろうに、なんて想像しながら、それこそ10年くらい前から枝廣さんの本を読んだりセミナーに通ったりしてきました。
執筆、講演、ワークショップ、通訳や翻訳、会社やNPOの運営、地方行政や政府の審議や提案などなど、超絶忙しいはずの枝廣さんですが、なんとこの幸せ研では毎月、読書勉強会を定期開催しているのです。
私にその読書会を教えてくれたのは、共催しているPOZIの丸原 孝紀さんでした。
「POZI」
POZIは、社会の課題をビジネスアイデアで解決し、持続可能な社会をつくることをめざすプランニング・チームです。 私たちは、いま社会に起きているさまざまな問題を、持続可能な社会へシフトしていくための課題ととらえます。そして、これまで磨いてきた広告コミュニケーションのスキルを生かし、企業や行政、そして非営利団体などとのパートナーシップにより解決に導くビジネスアイデアを発想し、実行していきます。(ウェブサイトより抜粋)
コピーライターであり、greenz.jpでもお世話になっている丸原さんから、POZIが幸せ研と協働されていることを聞き、「すご〜い。枝廣さんは私のアイドルなんですよー」とファン心をもらしたところ、読書会のレポート制作に誘ってくださったのがその経緯。以来、毎回ではありませんが開催レポートを作成するひとりとして、読書会の学びを皆さんと一緒に体験しています。
やや筆の遅い私を丸原さんが上手にフォローくださるおかげもあり、自分でも驚くくらい気持ちよく取り組めています。大元である読書会の内容と合わせって、この学びの場に関われていることに感謝が尽きません。
読書勉強会、それは知識の泉が開く場所
約2時間の読書会は毎回、事前に決められた課題書が設定されています。課題書はその内容が、私たちの「幸せ」か「経済」か「社会」かのいずれかの問題解決に関するものを枝廣さん自ら選書され、参加者たちはみんな、共通認識をもって参加しています。
開始後は枝廣さんから、課題書の概略や重要な部分、論理の背景などを解説してもらいながら進み、途中で数回のグループディスカッションも挟みます。
元の問いが社会課題ですので、決して毎回明確な答えが出るわけではないのですが、それでも私が毎回感じるのは、そこはかとない満足感です。
自分が抱えていた問題意識、あるいは課題書が投げかける問題提起に対して、枝廣さんというフィルターを通して理解が深まると、自分の思考の中で不足していたピースが足されていくようです。終了頃、私の知識欲はすっかり満たされ、重たかった未来への絶望感にも、一縷の希望の光が当たり始めます。
そもそも選書のセンスが秀逸で、これが最大のポイント。
そして、枝廣さんから筆者のメッセージを解説してもらえることがとてつもなく贅沢で、知の共有を受けていると実感します。(大きな声では言いませんが課題書を読み終わってない人も参加できるよう、読んだ人/読んでない人どちらにも問題ないよう解説してもらえるのです。ものすごいスキルだな、と毎回感動を覚えます)
そして限られた時間でも、他の参加者の方とディスカッションできることで、なるほどそうか、という気づきをもらえます。
私はまだ3年ほどですが、しかし毎月積み重なる学びは相当なものがあり、それが自分の中で溜まっていくことに対して期待値も上がってきました。
毎回の参加が難しい方は、ピンときた課題書の時に参加申し込みするのでもいいでしょうし、参加そのものが難しい方は、過去の開催内容を音声データで購入することも一部可能です。(下記参照)
また、自分のために次に読む本を探している方も、これまでの課題書一覧や開催レポートの一覧を参考にされるのはいかがでしょうか?
ちなみに私が最近担当したレポートの課題書籍は、ナオミ・クラインの新著『On Fire/ 地球が燃えている』でした。書籍自体は400頁の大作ですが、枝廣さんの解説をぎゅぎゅっと濃縮したレポートになっていますので、よかったらぜひご覧ください。
読書勉強会のウェブサイトにはこのようなくだりがありました。↓
幸せ経済社会研究会では、経済成長に頼らざるを得ない現在の経済と社会、社会的弱者の苦境、地域のあり方、政策の決め方や進め方など、多くの面で「このままではいけない」と感じている方々と共に、ほんとうに幸せで持続可能な社会の実現にむけて、勉強と実践の支援を進めています。
一緒に勉強しながら、「幸せ・経済・社会」をめぐるさまざまな問題構造について考え、対話力や人々を巻き込む力など「変える力」を身につけていきませんか?(枝廣 淳子)
今、「このままではいけない」と感じている方は、残念ながら増えていることでしょう。社会不安に押しつぶされそうな時、どうか周りで同じ気持ちを抱えた人との精神的なつながりを強めて、自身の学びを重ねることで、希望を取り戻せていければ、と願っています。
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映画監督松井久子が編集長となり、生き方、暮し、アート、映画、表現等について4人のプロが書くコラムと、映画づくり、ライティング、YOGA等の…
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