zoom会議の前後に大根を干す冬。切り干し大根 【つくり手であること】
社会人になって以来、わたしの1年は10月の次は年末です。11〜12月は異常にすることが多く、気づけばいつも大晦日直前という時期になっているのです。
コロナ禍になった2020年は顕著でした。色んなことが後ろ倒しになった影響もあり、どうがんばっても年内に仕事納めは叶わず、大晦日と元旦にも仕事をしていました。(結局年度末まで休みらしい休みが取れず、春先に長めの休みを取る始末)
この要因はいろいろあって、まずは己のタイムマネージメントスキルの欠如が圧倒的な理由なんですが、それは棚に上げちゃうと、もう一つの理由がいわゆる年末進行。制作関連の仕事をする人に特有の季節仕事ですね。そしてもうひとつ、自然が近い暮らしをしていることによる、秋の仕事が多いことにあります。
うちは小さな家庭菜園ですが、終盤の夏野菜が終わった畑の片付け、11月に準備しておきたい越冬野菜の植え付け、大根や芋類の収穫と保存、りんごや柿や柚子など一気にたくさんやって来る果実仕事。そして暮らしにも、寒さが進む前に防寒用の服を新調するとか、家の断熱機能を高めるとか、車のタイヤをスタットレスに変えるなど、一つひとつは細々しててもどれもけっこう重要で、この時期に済ませておくべきことだったりします。
つい「自然が近い暮らし」なんて書きましたが、本当に自然が近い暮らしを突き詰めている方々は多分こうした季節仕事もルーティンにできていて、わたしのように困ることはないはず。我が家は、自然が近いけど都市部も近いしあちこちの動向を意識してる族で、いまだに毎冬こうなってるのです。少しずつ改善されてきたとは自負してますが、来年こそはもう少し気楽に冬をお迎えしたいものです。
切って干して切って干して
とはいえ忙しさは関係なく、この時期の季節仕事で欠かせないのが、切り干し大根づくりです。
お味噌汁のダシ兼具材だったり、にんにくとオイルでペペロンチーノ風にしたり、移動中のおやつにかじるなど、年中欠かせない大切な存在、切り干し大根。秋の初め、大根のタネを蒔く時からすでに切り干し大根をイメージしているほどです。
買えば良いじゃん、と言われたら本当にその通り。異論は一切ありません。ただ、畑から採ってきたばかりのみずみずしい大根を知っている一人として、太陽の日差しだけで食べ物が凝縮されていくプロセスこそ、手を動かしながらいくつもの考察が立ち上がる貴重な時間でもあるんです。
つくり方
いろんな作り方があり、正直いちばん簡単なのは太めの千切りにできるスライサーです。「切り干し突き」と呼ばれる昔からのスライサーもネットですぐ買えます。
手元にある大根の量やその時の気分によって干し方を変える我が家では、スライサー以外でいちばん多いのは短冊形にする干し方です。
1. 大根を、縦5〜6センチx 横2〜3センチx 厚さ5ミリくらいの短冊形にする。
2. 短冊形の中心に切り込みを入れる。
3. 日当たりのいい場所に紐を張り、2の切り込み部分を紐に差し込む。全体的に水分が無くなるまで干す。
4. 紐から外して切り込みから割く、または、ハサミで切り離しながらザルに並べ、完全に乾くまで追い干しする。(保存は湿気ないようにすること)
なんで作るかといえば
お店で買えばこんな手間は一瞬で解決されるので、買うのは大ありです。一切否定しません。
ただ自分でつくると、大きさや形も好きにできたり、今まで気にしたこともなかった大根の繊維を意識したり、切った大きさにバラつきがあると仕上がりも揃わないと気づいたり、数日間晴れそうなタイミングを見計らったり、何よりも、完成したものがとても愛おしい。その満足感のためにやっているのです。大抵の趣味はそういうものですよね。
切り干しほどカラカラにせずとも、ちょっとだけ干す「ちょい干し」はもはや下ごしらえと捉えています。そのくらいおいしくなる。これ、続けていると「晴れてる=何か干したい」境地になったりしますよ。ご興味ある方はこちらもどうぞ。
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映画監督松井久子が編集長となり、生き方、暮し、アート、映画、表現等について4人のプロが書くコラムと、映画づくり、ライティング、YOGA等の…
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