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TCGの上級者になれない中級者の君へ

中級者のあなたは、

今の練習方法では中級者を抜け出せない」

でしょう。タイトルにあるような上級者になるために、カードゲームが上手くなるためにどのような練習方法をしていますか。

ちょっと強い言葉を使いましたが、タイトルの「中級者の君へ」とは私のことでもあります。

質問を投げかけるのであれば、

「今の練習方法のままで上級者になれそうか?」

ということです。

この質問にはいいえと答える人の方が多いのではないでしょうか。もしくはいつになるかは分からないと。


|ω・`)ノ ヤァ

改めまして、こんにちは。はじめまどか(@hajime1madoka)です。

私は「マジック:ザ・ギャザリング」のプレイヤーのひとりです。主にMTGアリーナの構築フォーマットで遊んでいます。普段からよくnoteを書いているのでご興味を持たれた方は是非、他の記事にも目を通してもらえると嬉しいです。

私の自己紹介の記事はこちら


あまり「強い」プレイヤーだと自覚がない、自称中級者である私ではありますが、直近では数少ないオンライン大会である、2024/8/4の「蒼紅杯~ブル~ムバロウ~」で3rd/111名となり、2024/8/10の「マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2024」ではDAY1:9th/462名、DAY2:TOP64という好成績を残すことができました。中級者から脱皮しかけているような気がします。

この記事は中級者であるあなたとレベルの近い、これくらいのプレイヤーが書いていると思って貰えると読みやすいかと思います。MTGアリーナでいえば、リミテッドで毎月ミシックランクに到達するようなプレイヤーは上級者のくくりに入るレベル感を想定しています。これはプレイ時間、イベント参加費用の捻出、プレイングスキルを雰囲気で勘案したものです。


この記事では、なぜ、私も含めてみなさんが中級者から抜け出せないのか考えていきます。みなさんも私と一緒に大きなヤマに登りませんか。

そうですねぇ。死人がゴロゴロ出るようなヤマです。

つまらないじゃないですか。誰でもやれるようなことをチマチマやっていても。小さなヤマよりは大きなヤマ。容易い中級者よりは困難な上級者。

誰もが怖気づいて、二の足を踏むような難攻不落の上級者を落としてこそ、どんな快楽も及ばない、セックスよりもドラッグよりも気持ちのいいエクスタシーとスリルが味わえる。

みなさんもそれを求めてこのTCGをしているんじゃないんですか?

カードゲーマー「地面師たち」です。対戦よろしくお願いします。

楽しくカジュアルに遊びたいというのであれば、この記事の限りではありません。しかし、この記事を読んで成長することが楽しいと思えるようになってほしいと思います。




上級者って何さ

上級者とは中級者と比較して強いプレイヤー、上手いプレイヤーです。いったい「強い」、「上手い」とは何でしょうか。

「強い」、「上手い」と言われれるプレイヤーはプレイング精度が高いとか練度が高いなどとも言われることもあります。

「強い」とはその言葉の通りに勝敗に直結している言葉です。勝率が高いこととほぼ同義だと考えてもいいでしょう。また、大会で結果を残していることも「強い」のひとつの要素になっています。あのプレイヤーまた勝っているから「強い」ねなどといいます。ここで「上手い」ねとはいいませんが、ここらへんは言葉遊びになってしまうので「強い」=「上手い」と考えて進めて行きましょう。

たまに勘違いしている人がいますが、「強い」=「偉い」ではないです。プレイヤーはお互い対等で、時には「強い」人も条件次第で間違うこともあります。変な考え方を持っていてマウントを取ってくる人もいるので注意しましょう。そういう人のいるコミュニティは避けたほうがいいかもしれませんね。環境がよくないと上達に繋がりにくいはずです。



初心者と初級者と中級者

「初心者と初級者と中級者」とは実際どれくらいのレベルなのかというのは数値化や言語化が難しい問題です。

無理やりに、ストリートファイター6のクラス訳を参考にしてみると、以下のように分類することができます。

初心者:TCGに触れるのが初めてのプレイヤー
初級者:TCGを少し遊んだことがあるプレイヤー
中級者:TCGをよく遊ぶプレイヤー
上級者:TCGが得意で、対戦の駆け引きができるプレイヤー

SF6のランク参考表の改変

これをTCGに直せば、この記事をわざわざ読んでくれているような方は中級者であるプレイヤーが多いと思います。上級者になれば「対戦の駆け引き」ができるという点が違ってくるポイントです。

「初心者と初級者と中級者」と「上級者」の違いを分かりやすくするならば、前者は「敗者のゲーム」であり後者は「勝者のゲーム」であるということです。

※同様の視点でもりゆき氏が「敗者のゲーム」という書籍を通してこのことについて記事を書かれており、こちらの記事も参考にしたので、是非一度読んでみてください。方向性が少し違うだけで大体一緒のことを書きました。


「敗者のゲーム」はスポーツのテニスに例えると分かりやすいです。

プロのテニスでは、ポイントの80%は勝ち取ったものであるのに対し、アマチュアのテニスでは、ポイントの80%が敵失によるものだった。二つのゲームは基本的に正反対なのだ。プロのテニスは勝つためのプレーで結果が決まる「勝者のゲーム」であるのに対し、アマチュアのテニスは敗者のミスによって決まる「敗者のゲーム」なのである。結果は敗者のアクションで決まるのだ。

「敗者のゲーム」p.017 より引用

サーブが相手のコートに入らなければ相手に得点が入ってしまいます。こちらのミスによって相手にポイントが入るということです。仮にサーブが相手のコートに入ったとしても、相手にレシーブされてしまえばそれは得点には繋がりません。アマチュアほどミスをすることが相手の得点に繋がっていくのです。上級者であればウイニングショットによって勝敗が決まります。上級者ではない中級者以下では、加点方式に見える競技においても、減点方式になっているということです。


「敗者のゲーム」と「勝者のゲーム」

勝率が高いというのはTCGにおいてもミスをしないことがまず大前提にあることが分かるかと思います。「勝者のゲーム」と「敗者のゲーム」に例えられるようにミスをしないこと自体が勝利に繋がるという考え方です。



見えるミスってなんなのよ

見えるミスをしないというのは初心者→初級者→中級者とステップアップする中で習得したいスキルです。相手の手札などの非公開情報を想定した見えないプレイミスは別途。まずは、見えるミスを減らして敗者にならないようにしたいところです。

TCGは完全情報ゲームではなく、不完全情報ゲームといわれるものです。囲碁、将棋、リバーシは完全情報ゲームと言われるジャンルです。

完全情報は全員が相手のこれまでの行動などゲームの内部情報について知っていること、完備情報は全員が相手の利得関数などゲームの構造について知っていることである。

wiki「完全情報ゲーム」より引用

カードゲームは不完備情報ゲームになります。不完全情報というのは相手がどんな手札を持っているかが分からないといった非公開の情報があるということですね。


カードゲームにおける明確なミスは公開されている情報の中での見えるミスです。

例えば到達を持っているクリーチャーがいるのに飛行を持つクリーチャーで攻撃してしまって一方的に打ち取られてしまうなどの見落としなどがあります。このようなケアレスミスと呼べる場合は明確な見えるミスでしょう。

ケアレスミスは明確にミスだと分かる場合が多く、多くの場合で改善案を見つけることが可能です。もちろんプレイヤーが人間なので、完全にはなくなりませんが。

また、公開情報の中でプレイ「A」の場合は80点、プレイ「B」の場合は60点のプレイングがあるとします。例えばカードをプレイする手順でカードの威力が変わってしまう場合が分かりやすいでしょうか。これも明確に見えるミスとなるでしょう。これを最大値を取っていないとここでは呼びます。

最大値は選択肢の数が多ければ多いほど取れるバリューが高まる可能性があってよいものです。考慮する中で点数の低いプレイは思考の外に追いやっていきます。

プレイ「B」が及第点であるプレイであった場合は、ある程度よい結果になるため、それよりバリューの高い最大値をゲーム中に発見しにくいという落とし穴があることには注意が必要です。

公開情報の中でケアレスミスをしないことと最大値を取れることが中級者になるためには必要な条件の一部です。



見えるミスを減らす練習方法

ケアレスミスと最大値を取れるようにすることで見えるミスをなくしたいですよね。ここで具体的にどのような方法があるか紹介しておきます。

それは、一人回しと対戦を繰り返すことです。

これは初心者から中級者になることにおいて間違いのない方法です。これによってあなたは練習する前よりデッキを上手く回せるようになります。ケアレスミスや最大値を模索する過程が含まれるので初心者から中級者へステップアップするためには必要な工程です。

ただ、この練習方法は元々上手い人ほど、そのデッキのポテンシャルを引き出せるようになる練習方法です。中級者以下の人がこの方法で練習しても自分の想像外のプレイや全く新しい発想は出てきませんので、上達という目線では限度があり、中級者を抜け出すことはできません。

特定のデッキだけを上手く回せるようになったとしても、長期的な目線で見ればデッキが変わることもあるので真にプレイングの上達はしていないのです。


もうひとつよく語られる練習方法として配信や動画を見るという方法が挙げられます。自分だったらどうプレイするかを考えて上級者との違いを比較する方法です。この方法でも初心者から中級者へと進むことができます。

ただ、これを行って中級者から上級者になれたというプレイヤーを見たことがありますか?これだけで上級者になることができたらみんな苦労せずに上級者になっています。配信を見ることは勉強になりますが、時間効率が悪すぎると思っています。配信で勉強になるような盤面になる回数というのは限られているので、ずっと配信を見ているというのは効率が悪くないですか?

大体の場合は上手いプレイヤーは言語化が上手い傾向にありますが、上手いプレイヤーが必ず言語化が上手い訳ではありません。かなり抽象度が高かったり自分のレベルと合わないと考え方を吸収することすらできません。

また、ただただ模倣するだけでは結局のところ配信している上級者より弱い存在にしかなれません。上級者の劣化版にしかなれないということです。これでは一生、その上級者には勝てません。目指すところがそれでいいのかという問題もありますが、よければそれでいいです。ただ、目標は高くないと達成できないものです。

この方法をより活かすのであれば、ただ配信を見るのではなく質問や疑問を直接に配信者さんへ投げかけて議論するといいと思います。これによってよりいっそう理解が深まるでしょう。

元も子もないことを言えば、テーブルトップで対面で感想戦をするのがベストです。MTGアリーナであればボイスチャットを使いながらの対戦がベターです。



デッキ選択はスタートライン

遊んでいるカードゲームのカードプールの把握、デッキリストの把握は最低限は行っておきたいことです。コピーデッキは最低ラインでもあり、スタートラインでしかありません。環境のトップTierのデッキを使うのは上達ではありません。

デッキリストを調べることは現代では簡単になっています。デッキリストを把握しないと相手の動きを予想することができないので、上級者になるために必要な駆け引きができません。

デッキ勝ちと呼ばれるデッキ選択による勝率の向上も存在はしていますが、基本的には既存のデッキを使うことになるでしょう。


デッキを組むこと、調整することはカードを信じること、期待すること、疑うことです。

既存のデッキリストで定番になっているカードを信じることです。既存のデッキの調整は難しいです。下手に調整するとむしろ弱くしてしまうことが多いです。なぜなら、中級者の自分より上手い上級者が考え抜いて作ったデッキリストである場合が多いからです。

新しくカードを入れることは、そのカードが強いことに期待することです。既存のデッキリストに入っているカードを抜くことは、そのカードが弱いと疑うことです。あまり使われていない新しいカードは強いか弱いかが未知数なところがあるためです。上手い人は過去の前例にならってある程度の評価を下すことができますが、それ以下になると難しいでしょう。



中級者から上級者へ

初心者から中級者になるための練習方法は、前述した「一人回し」と「対戦を繰り返す」、「配信や動画を見る」といった「質より量」が重要です。

中級者から上級者になりたいあなたは、今どんな練習方法をしていますか。

「え?いつまで初心者と同じ練習方法やってんの?
 練習方法変えた方がいいんですけど」

そんな簡単に上級者になれる練習方法はありませんが、上達に伴って練習方法を変えていかなければならないのは必然です。低質な練習は上級者になるためには意味がありません。楽しむためだけであればいいのですが、無駄にランクマッチに潜ることになってしまうでしょう。

上級者になるためには「質より量」から「量より質」を意識することが重要です。ただ、上級者は「量より質」を維持しながら、当たり前のように「量」もこなしています。ずるい。



具体から抽象へ

ちょっと訳が分からなそうな話をしますが、お付き合いください。

上級者は中級者よりも「一を聞いて十を知る」ことが得意です。これがなぜできるかというと、ある物事を「抽象的」に解釈し、理論として捉えることができるためです。

「具体」の反対の「抽象」とは何でしょうか。それは以下のように表現されます。

具体化とは、「漠然とした物事をはっきりとした形にすること」
抽象化とは、「複数の情報に共通する要素を抜き出すこと」

「具体と抽象」とは?頭の中を整理するための思考法 より引用

よく「具体的に説明して」とか、「具体的なプランを提示して」といったように、「具体」であることが分かりやすく、伝えやすいことであると世間一般の認識があります。あたかも「具体」であることが「正義」で、その反対の「抽象」が「悪」であるかのようです。

TCGにおける「具体」と「抽象」はどのような関係でしょうか。

あるデッキ「A」と「B」があるとします。使われているカードは違うというのが「具体」的なことであって、行いたいゲームプラン、戦略が同じというのが「抽象」的なことです。カード単体で勝つのではなく、ゲームプランで勝つということです。上級者ほど、このように高いレイヤーから俯瞰することができます。

このように俯瞰して見ることができるようになれば数少ない試行回数から多くのことを学ぶことができるようになります。ゲームのプレイ中も思考方法を意識的に変えて練習する必要があります。



イメージのその先へ

最大値を取るという考え方はそのターンに限った考え方です。これは初心者から中級者にステップアップするには必要な工程だと書きました。

中級者から上級者にステップアップするにはこれをさらに進化させて数ターン先まで手を検討しなければなりません。

将棋と違ってカードゲームは非完全情報ゲームであり、非公開の領域が存在するので完全に読み切るのは難しいです。

中級者の多くは最大値を取る動きの検討はできているプレイヤーが多いと思います。さらにそこに加えて、次の相手の動きと次のこちらのターンのアクションを考慮できる人も多いでしょう。ここで、さらにその次のターンまで考えている人はどのくらいいるでしょうか。2ターン後のことまで考えているプレイヤーの数はガクッと落ちます。

この考え方を書いている記事を見たことがありませんが、個人的には2ターン先までは考慮に入れて検討すると上達しやすいと考えています。これは初心者にはできない思考方法です。

「思考のギアを一段階上げましょう」

これはもちろん状況にもよるので、何ターン先まで読むのが正しいとかはないのですが、選択肢を広げるためによく考えることが大切です。



運と向き合う

デッキのトップから引くカードが弱い、いわゆるトップが弱いから負けたとか、特定のカードを運悪く引けなかったから負けたというのはカードゲームをしていたらよく聞く言葉です。

ここでカードを引けなかったから運が悪かっただけ、と考えるのは中途半端です。引くカードは確率や可能性の問題なので、これをよくよく考慮にいれるようにしましょう。

この考え方をしないと、運の上振れで勝ったのか、下振れで負けたのかが分かりません。

確率を認知しておくことが大切なのです。行動経済学的には、成功体験と失敗体験から認知バイアスが掛かってしまいます。

確率を事前に想定しておくと、運が良かったのか悪かったのかが分かります。確率を事前に想定しておけば、さらに次のゲームプランも考えることができるようになります。トップデッキが弱すぎる!とキレている多くの人はこれができていないからキレています。

確率を考えていれば、次に引いてくるカードの受け入れまで考えてプレイすることができるようになるでしょう。

確率と向き合うと運の概念が変わります。



受動から能動へ

「イメージのその先へ」、「運と向き合う」で書いたことは進んで取り組まなければ、考えさせられている状態、いうなれば無理やりやらされている状態です。このような受け身の姿勢では上達することはできません。

上級者になるためには自分から進んで取り組んでいくことが確実に必要になってきます。

上達するためにはコミュニティに参加する必要があるとよく言われますが、参加するだけで満足していては全く意味がありません。自分から考えてアクションに繋げなければ上達することはできないのです。



まとめ

今回の記事では「TCGの上級者になれない中級者の君へ」をお届けしました。

上達方法については私自身も未だ模索中なので、いろいろな意見を聞ければ嬉しいです。

かなりざっくりと自分用の備忘録としてnoteを書きましたが参考になれば幸いです。


私の参加している「MTGアリーナ」の「調整チーム」では予選プレイイン、ウィークエンドへの調整や雑談を日夜行っております。

どんなことをしているのかは以下の記事を読んで頂ければ嬉しいです。

現在は主に予選ウィークエンドの種目を中心に遊んでいます。ゆるいゲーム系雑談コミュニティなので参加者は随時募集中です。
はじめまどか(@hajime1madoka)までご連絡頂ければ。


それでは。

|ω・`) チラ
|彡サッ!


この記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。ウィザーズ社の認可/許諾は得ていません。題材の一部に、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の財産を含んでいます。©Wizards of the Coast LLC.



参考文献

  1. TCGにおける勝者のゲームと敗者のゲーム:もりゆき氏

  2. 八十岡塾開講!「今、強くなるためにすべき3つのこと」:TeamCygames


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