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椎名林檎と永遠の少女性

久しぶりに椎名林檎のメロウが聞きたくなった。
2000年に音源化され、2008年に映像化された。
その間、彼女は人妻になり、母になり、離婚し、東京事変を結成した。
ライフスタイルや時代の変化と共に、曲の配信方法も、アレンジの幅も変わっていった。それでも創作物の中に、千手観音のように色々な顔(アイデンティティー)を持つ「女である己」の側面が漂っていることは一貫してると感じる。
一人称が『僕』であっても。
メロウは、狂気と儚さの狭間にいる。
MVは、あまりにも儚くて切なく、文学的なものに例えるなら…いや、例えきれない。
(そのような女性に翻弄され、とりこまれる男の作品なら数多あるが)

この女性が、キラーチューンではアップテンポな曲調で雨の中をランウェイして「私はあなたの一生もの」と高らかに歌っていたことを思い出すと、同じ世界線に存在していることすら不思議になる。
それよりも、何十年も経ても彼女の曲の中の危うい少女性が色褪せないことがもっとも不可思議であり、魅了され続けてしまう。

いろいろあった今週、椎名林檎のいる時代に生きていて良かったと思いながら、メロウをリピートして、昔と今、交互に思いを馳せる。

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