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19→20

20歳になった。

つまりは、もう10代では無くなってしまった。

「10代最後の夏」だとか「10代のうちにしたいこと」だとか「10代フリーのライブ」だとか、自分が10代だということに執着していたのに。

きっとこの原因は疾走感のある青春バンドが好きなことと、所謂「青春コンプレックス」を抱えているからだと思う。

私は中学、高校と女子校に通っていて、ドラマや映画でよく見るような学校生活は訪れなかった。

他人からの目や世間体を気にしないため、自分の好きなことに皆、一直線だった。

大学に入ってから、世間の一般的な学生生活を知り、それらを経験していないわたしはどうなのだろうか、大丈夫なのだろうかと焦りを感じた。

ただ、自分の選択を後悔はしていない。

母校で築いた人間関係は他とは一線を画す家族のような強いものであるし、温室のような環境で身につけた感性は永遠に、わたしの軸となる。

10代のうちに大切な親友ができたこと、心が震える音楽を生で聴けたこと、一生心に留めたいことばに出会えたことは、とても幸せなのだと自負している。

そんな10代が終わるのはやはり寂しい。

けれど、わたしは「寂しい」という感情は、とても大切なものだと思っている。

終わりがあるからこそ、過去も、今も、そして訪れる未来にも真剣に向き合っていける。一瞬一瞬が、かけがえのないものとして噛み締めることができる。

そして、いつまでも子どもの気持ちでいたい。

日が暮れるまで公園で遊んでいたいし、遠足や修学旅行にも行きたい。大学で幼児教育を学んでいるのも無意識にきっと、子ども心を捨てたくないからだと思う。工作の授業は人一倍楽しんでいる自信がある。

それでもいいと思っている。
いや、むしろこのままでいたい。

幾つになっても目の前の煌めきを集めていけるように。こどもの頃に味わった、世界がときめきで溢れているような感覚を忘れないように。


少年/おとぎ話

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