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パリオリンピック柔道観戦記〜男子73kg、女子57kg

いやー、小野寺吟雲選手、惜しかった。いいトライだったと思うのだけど、まあそういうときもあるよね。お疲れ様でした。

で、柔道ですよ。どちらも今日は銅メダルということで、素晴らしい結果でした。おめでとうございます。個人的には納得してないかも知れないけど、おめでとうございます。

橋本壮市選手

技を掛けるのが全体的に遅い

2回戦だったかな、組際で技有を取って、試合を優勢に進めてたんだけど、あの後は結局ポイントを取れず、そのまま優勢勝ちで試合終了。同じように投げて一本勝ちしてたらまた違ってたと思うんだけどなぁ。そこも含めて、全体的にじっくり構えて、ってところがある。それが今のルールにそぐわないんだよなぁ。

今のルールだと、様子を見たりしているとどうしても指導が来てしまって、不利になりやすくなっている。それがいいのかどうかはあるのだけど。指導狙いの戦略が増えることで、面白みがなくなっている部分はあるんだけどね。元々は投技を増やすためのルール改編だったと思うのだけど、上手くいかないもんだねぇ。

で、橋本選手はどうしてもやっぱり掛けに行くのが遅く見えてしまう。敗者復活戦にしても、相手の自爆だったしなぁ。準々決勝も先に指導をもらって苦しくなっていった。あの引き手の切り方で指導になるのも厳しいと思うが、今はそういうルールだからなぁ。組際に掛けることを考えていかないと厳しくなってくる。

そういう意味では、今後の代表選考についても考え直してもいいのかもしれない。国内での代表決定戦を行うより、海外での試合結果をもっと重視してもいいのかも知れない。

今は体重別選手権だけで決める、みたいなことがなくなってるので、いい方向に進んでいるのかな、とは思うのだけど。

打って変わって3位決定戦はかなり積極的になっていた。最初からこれやってたら、準々決勝も勝ててたかも、と思わせられる内容だった。たらればだけどね。

試合中に審判を見ない

途中、どこだったかな、準々決勝だったかその前だったか、自分が投げたときに審判の方を見てるんだよね。技有あったでしょ?みたいな感じで。

アレはホンマにやめたほうがいいと思う。印象が良くないなあ、と思うんだよね。

そういや機能の阿部一二三選手も、どこかで投げたときに自分で「一本」って仕草をやってたところがあったよね。気持ちは分かるんだけど、みっともないし印象良くないから、ホンマにやめたほうがいいと思う。

審判を見てアピールする暇があったら、寝技を狙っていったほうがいいよね。最後まで投げ切るとか、そのまま寝技に行くとか、その辺は徹底したほうがいいと思った。

3位決定戦でも相手の場外をアピールしてたよね。もったいない。逆にそれで指導もらうのも微妙だし。ホンマにもったいない。

3位決定戦は途中まで良い戦い方だったと思うが、アレを続けられないのかな

3位決定戦は先に先に技を掛けてたのは良かったと思うし、2つ目の一本背負はあと少しだった。

でも、相手の場外を審判にアピールするのはどうなんだと。どんなことをしてでも勝ちたい、みたいな気持ちの現われだとは思うのだけど、あんまり良いものではないよね。印象悪いし。

残り1分くらいになったら、ホンマにヤバかった。個人的にはいつ指導が来てもおかしくなかった。腰が引けてたし。よく勝てたな、と。ホンマにいつ指導もらってもおかしくなかった。審判が正直イマイチだったのはあるのだけど、厳しい審判だったら途中で掛け逃げ(偽装攻撃)を取られてただろうし。最初の戦い方をもう少し続けられたら良かったのだけどなぁ。

とは言え、しっかりと勝ち切ったのは素晴らしいし、銅メダルは胸を張れる結果だったと思う。おめでとうございます。お疲れ様でした。

最後の嬉しそうな笑顔が良いよね。日本人も、銅メダルでもっと喜んで良いんじゃないかなぁ。銅メダルってすごいことだよ、ホンマに。

舟久保遥香選手

準々決勝はアンラッキーではあった

CYSIQUE選手は実力もあるし、観客の大歓声もあるし、ここでは当たりたくない相手だよなー、って勝手に思ってた。

でもそんなことも関係なく、出会い頭の一発でスパッとやられてしまった。一本の基準は「十分な勢いで力強さを持って背中から畳に落とす」のはずなんだけど、その観点でいくとあの技は勢いと力強さは弱かったと思う。なので、僕だったら技有かな、と思ったのだけど、背中から落とされてるし、言い訳の仕様はない。

ただ、アレもホンマにアンラッキーだったと思う。CYSIQUE選手もアレで決めようとは思ってなかっただろうし、取り敢えず足を出しておこう、くらいの感覚だったと思うんだよね。でもそこにたまたま足が揃ってしまった。そういうことってあるんだよね、ホンマに。

それも含めて実力と言えばそうなんだけど、本来の実力から言えば、競った試合になると思ってたし、もう一度やったらそうなると思う。

でもその1回が出るのが試合なんだよなぁ。

寝技だけが得意な選手にとっては厳しい時代

浦沢直樹の名作『YAWARA!』でも猪熊柔のライバル、本阿弥さやかのコーチをやった猪熊虎滋郎が「立技で凡人が天才に勝つには500倍の努力が必要だが、寝技なら300倍の努力で済む」みたいなことを言っていたように、寝技のほうが勝ちやすいし負けにくいとは思う。それは高専柔道なんかでも証明されている。

だけど、今の時代のルールでは、寝技に入ってから待てがかかるまでの時間が短い。なので、立技で勝てなくても寝技に引き込んで、ってのが使いにくい状況でもある。それに立技で攻めれなかったら指導で反則負けになるし。

なので、寝技を得意にしている選手としては受難な時代だろう。48kgの角田夏実選手の場合は、ポイントが取れる巴投げがあった。寝技が得意なだけでなく、何かポイントが取れる立技も求められる。

逆に、今のルールだったら寝技は防御だけを鍛えていても勝てる時代だなぁ、と思う。オールラウンダー的にどっちも強い、って選手が一番強いのだけど、立技の重要性、組際で無理矢理にでも投げきる、そんなのが求められている気がするなぁ。

寝技が強い選手って、詰将棋みたいで面白いんだけどね。今のルールだと、詰将棋が出されたら、考える時間を与えられない、って感じ。まあ寝技はあんまり流行らないのだろうけど。

投げられなかったことが銅メダルに繋がった

個人的にはSILVA選手のほうが押してたかな、と思うし、旗判定があったら負けてたんじゃないか、という感じがあった。

それでも投げられず、しっかりと相手のペースにさせず、組手も気を使い、指導にならないように先々と技を掛け、寝技はじっくり勝負に行き、という自分の強みを使った攻めがこの結果に繋がったのだろうな、と思う。

最後は相手の反則負けになったのだけど、アレもSILVA選手が体力を消耗していたからこそ、だと思うし、消耗させたのが舟久保選手の柔道だったのは間違いない。

悔しい気持ちはあると思うのだけど、でも銅メダルも立派な結果。おめでとうございます。お疲れ様でした。

指導がポンポン出るのは面白くない

やっぱり指導3つで決着がつくのはホンマに面白くない。頭から突っ込むのはある程度しゃーないと思う。でも指導はどうなんだろうか。

昔、僕が現役の頃は教育的指導ってのがあって、その次に指導、注意、警告、反則負け、となっていた。教育的指導が2つで指導、次に教育的指導をもらうと注意、その次にもらったら警告、その次にもらったら反則負け、だったはず。なので、今で言う指導が5つもらったら反則負け、だったんだよね。

場外に故意に出るのは場外注意だったり、今みたいに全部何でも指導、っていう形にもなってなかったし、今よりも複雑ではあったけど。

でも、やっぱり猫も杓子も指導、組手を切ったら指導、3つ溜まったら反則負け、は面白みがないなぁ、と思う。もう少しなんとかならんものか。特に、あの場外に押し込むのはどうよ、と思う。自分から出るのは反則でいいんだけど、押し込まれるのが反則になるのは違和感あるなぁ。

このルールになって結構経つけど、また考えてもらいたいところだ。

今一番効率の良い勝ち方って、掛け逃げ(偽装攻撃)にならない程度に組み際に技を掛けて、で相手に指導を与える、ってやり方だからなぁ。古い人間としては違和感だらけなんだよなぁ。

#スポーツ観戦記

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