パリオリンピック柔道観戦記〜男子90kg、女子70kg
サッカーは見事に予選三連勝で決勝トーナメント。でも次はスペインが相手。いやー、厳しい。エジプトのほうがやりやすかったと思うんだけど。スペインが準々決勝のパラグアイ、準決勝のフランスorアルゼンチンを避けたんじゃないか、って疑りたくなるような。スペインからしたら、日本、モロッコorアメリカのほうが与し易いもんなぁ。
さて、柔道は男子が4階級連続でメダルを獲得、一方女子はメダル2つにとどまっている。ここから女子も地力を出して、メダルを取ってほしい。
新添左季選手
負けた試合は投げれる感じがしなかった
新添選手は準々決勝で敗退したわけだけど、この試合は投げられるような感じがしなかった。
寝技が得意、という強みがあるのは良いのだけど、前回の記事でも書いた通り、現在のルールでは寝技のスペシャリスト受難の時代だと思うんだよね。立技で投げられる技があるからこそ、寝技もより活きてくる。
その点で、新添選手の立技は物足りなかった、と感じた。
この辺はもう昨日の高市選手と一緒で、引手も釣手も持っているだけで、引き付けられてない。
特に引手は、上から持ってたから、そりゃダメだよね、と。上から持っても力は入らないので、横や下から持って絞らないと。
引手においては親指、釣手は小指、が超重要になるので、そのへんの使い方を全員で見直してみても良いように思うんだけどね。
敗者復活戦も結局技の数が少なくて負けた。なんつーか、同じような展開で、どうなんだろうな、と。
引き出しが少ないように感じる
絶対的な強さを持つか、多くの引き出しを使えるか、のどっちかが強い選手になるんだと思うのだけど、負けた選手は引き出しが少ないように感じられる。
難しいことをする必要はなくて、前後の技をもっと使うとか、組際や組み方を工夫するとか、そういうちょっとした工夫が必要なんじゃないかと。
昨日金メダルを取った永瀬選手は前後の揺さぶりとか足技とか効果的に使ってたしなぁ。
そういうことが出来ていないのは、コーチの責任だと思うんだけどね。
世界選手権を勝って代表になっているのは十分素晴らしい
オリンピックではイマイチな結果になったけど、それでも新添選手は世界選手権で優勝し、代表に選出されている。この選出の仕方ももう少し考える余地があるのかもしれないけど。
でも、そうやって結果を出して代表に選ばれた、ってだけでも素晴らしい。高市選手のときも書いたけど、世界で一番代表に選ばれるのが難しい国なのだから。
お疲れ様でした。
村尾三四郎選手
実に惜しい、というか誤審の銀メダル
これは酷かった。あの取り返された技有も、完全に止まってからの巻き込みだから、普通に考えたらポイントじゃないし、寝技への移行でしかない。そしてその後の内股。その後の小内刈が技有なら、あの村尾選手の内股も間違いなく技有以上だった。
これはホンマに酷い判定だわ。ビデオ判定すらないし。酷すぎる。
またネットが荒れるんだろうなぁ。これで選手が叩かれるってのは好きじゃない。審判ははっきりと反省しなければ行けない。
村尾選手は実に素晴らしい試合をしたと思う。先に技有を取って優位に進めて、追いつかれてからもそのまま流されず、先にポイントを取って、まともな審判なら勝っていた。
勝っていたはずなのにダメだった、ってところで、精神的にはしんどいよね。「気持ちを切り替えれないのがダメ」みたいなことを言うアホが出てくると思うけど、そりゃ無理だよ。
そして無理矢理にインタビューさせるテレビ局も鬼だな、と思った。
今日の村尾選手はすごかった
村尾選手と言えば、投げ切れない、勝ち切れない、って印象が強かったのだけど、今日は全然違ってた。しっかり勝ってた。
特に準決勝。あれはまあ相手のフランスの選手との実力差がありすぎたけど、そんな中でもしっかりと勝ちきったのが見事。
組手も良かったけど、それ以上に不十分であっても自分から技を掛けに行っていた、先に技を掛けて、それで終わってたのが良かった。技を掛けて終わらずに堪えられたり、戻ったりすると、そこから逆に技を掛けられるし、そのときはポイントになることが多い。
受け方がちょっと危ういかな、と思うようなところもあったんだけど、全体的に見て素晴らしい柔道をしていたと思う。
やっぱり先々に掛けていくのが大事だよね。
にしても、あの内股は絶対にポイントあった。どう考えてもおかしい。
あと、最後のポイントを取られたところは、引手を引き付けられていたところが良くなかったなぁ。残念。
それでも勝っていたのは村尾選手だった
村尾選手は本当に強かった。これはこれから期待できるし、次のオリンピックも金メダルを狙える。
技のキレも良かったし、試合の進め方も良かった。決勝はあの組み方をされてきたときにどう対処するか、ってのは今後の課題なのだろうけど。
あの組み方はホンマにイケてないなぁ、と思う。ルールに則っているので仕方ないのだけど。やっぱり背中を持つのは、ある程度の時間持ってたら指導にしないとダメだと思う。
村尾選手、お疲れ様でした。胸を張って銀メダルを下げてください。おめでとうございます。
技を掛けないから消極的ではない
試合を見てて、消極的指導が与えられるところが「アレ?」ってなることが多い。まあ、他の指導もどうかと思うシーンは多々あるし(日本人の試合のみならず)、今のルールがだいぶ正常に機能してない気はするんだけど。
慣れてないというか、柔道のことをちゃんと知らない審判だと、技を掛けていない=消極的、ってことになるんだよね。
そうじゃないんだ。技を掛けてないのと消極的なのは別の話なんだ。
実際に技を掛けてなくても、積極的な組手争いってあるし、隙を伺いながら組み合っている状態ってのもある。そう、剣の達人が鍔迫り合いしているところとか、向き合って隙を伺っているところとか。
そういうのが分からないと、本当の意味での柔道の審判って難しいだろうな、って思った。
そういう細かいところまで求めるのも厳しいと思うし、数値化も言語化も難しい曖昧なものを理解しろ、ってのも難しいから仕方ないのだけど。
メジャーになっていくってのは、こういうことなんだよなぁ。仕方ないと受け入れるか、メジャーになるのを拒むか、どらかを選ぶことにもなるのだろうけど。何かいい方法があればいいんだけどね。
ルールの件もあるし、やっぱり山下泰裕さんあたりが国際柔道連盟(IJF)の会長にならないとダメだな。
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