コンスタブル展を観て思い浮かんだ小説と音楽
コンスタブル展についてはいろいろな方が記事にされていますから、展覧会の内容は省き、ここでは絵画を観ているときに思い浮かんだ小説と音楽について。
美術館で絵画を観ていると、小説や和歌・古文、そして音楽が思い浮かぶことがあります。
日本画では和歌や古文、現代アートでは洋楽のハードロック。
コンスタブルの絵画を鑑賞していると、英国の作家のジェイン・オースティンの「高慢と偏見」が思い浮かびました。高校生のころ、自宅にあった外国文学全集を片っ端から読んでいましたが、「高慢と偏見」だけは何度も読み返しました。
英国といえばブリティッシュハードロックぐらいしか知らないのに小説から田園風景を感じ、その後に写真で見た英国の風景に既視感を持ちました。あらすじはうろ覚えですが、私にとっての英国の田園風景はこの小説から想像したものが原体験になっています。
コンスタブルのどの作品を見ても、森、田園、空、雲が、「高慢と偏見」に描かれているものと同じように感じました。
そして、音楽。エルガーの「威風堂々」。
「威風堂々」はイギリスの作曲家エドワード・エルガーが作曲した楽曲です。英国人に親しまれ、「英国の第二の国家」とも言われ、夏の音楽祭のBBCプロムスでは聴衆が独特の動きで合唱と一緒に歌い上げます。
小説も音楽も、英国人が制作したもの。自分の中では英国の画家には英国の小説と音楽がマッチしています。
少し展覧会のことも書きます。
ナポレオンとの戦い、ベルギーのワーテルローの戦いの勝利を記念するウォータールー橋の開通を祝う式典を描いた作品は、ターナーの競合心のエピソードがある作品が並んで展示されています。コンスタブルの華やかな作品の横に展示されることになったターナーは、自身の作品が地味であるように思い、自身の作品に赤いブイを書き加えたそうです。
このエピソードから、ターナーは競争心溢れる人だったのかと思ってしまいます。
一方、ターナーには次のような逸話もあります。
色づかいが抜群に上手かったターナーは画家仲間から嫉まれるのを避けるため、展覧会で他の画家が自分たちの作品をターナーの作品の隣に飾りたがらないことに気づき、ときおり作品の色を一時的に煤でくすませて、仲間から快く思われるようにした、と。毀誉褒貶ですね。
(「権力の翻弄されないための48の法則」出版社 : パンローリング)
上野にある国立西洋美術館が修繕のために長期閉鎖されているため、ヨーロッパの風景画を見る機会がなく残念に思っていましたが、コンスタブル展はそのような気持ちを癒やしてくれるものでした。それだけでなく、久しぶりに「高慢と偏見」を読み返してみたくなりました。そして、ターナーについても興味深いエピソードを知ることができました。