秋の京都の寺巡り③ 高台寺
かなり前に観たNHK大河ドラマの「おんな太閤記」の秀吉の妻である北の政所、ねねの物語に子供ながらも心を動かされ、ねねが開創した高台寺を訪れることが今回の寺巡りのメインです。
作家、五木寛之氏は「百寺巡礼」で「ねねの面影を求めて高台寺を訪れるのだろう」と書いていますが、まさにそんな気持ちで行きたいと思っていました。
霊屋には秀吉とねねの座像が安置されており、その下にねねが葬られています。ここに立つとねねの物語が思い出されます。
大坂夏の陣のとき、ねねは高台寺から大坂の方を眺め、空が赤く染まるのを見て、大坂城落城を知って涙したという物語があります。高台寺は高台にありますので、ねねを慕う後世の人々が創作したのかもしれません。
高台寺を後にしてねねが晩年に暮らしていた圓徳院に行きました。
ねねが好んで眺めていたと言われる枯山水の石と苔の庭園は広くはありませんが、紅葉の錦と白い砂とのコントラストで奥行き深い印象です。座って眺めている人も多く、単に美しい庭に見とれているだけでなく、私と同じようにねねの生涯に思いをはせているのでしょうか。
高台寺は修行する寺でも、宗派の本山でもなく、豊臣から徳川に変わりつつある時の中で、ねねが秀吉の伴侶としてその人生を振り返り、静かに余生を過ごした寺です。そのためか、優雅で上品でありながらも何か無常なものを感じさせる寺です。
散りゆく紅葉の季節の高台寺を散策していると、豊臣の終焉と相まって寂しい気持ちになりますので、次回はぜひ新緑の高台寺を再訪してみたいと思います。