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仕事がしんどいと感じるのは、大切なことを忘れているから。

目下、次に出す書籍の初校修正中だ。
300ページほどあるので、なかなかやっかいだ。
しかも、これが終わると次の執筆が待っている。

本を書く仕事は、もちろん”やらされ”ではない。
企画を持ち込んで、OKをもらい、書いている。

言い出したのは他でもない。自分だ。
しかも自費出版と違い、出版社が全部費用を出してくれる。
(あげく、販促も書店回りもやってくれる)

にもかかわらず、しんどいのだ。
本当にふざけた話だ。
何がしんどいというのだ。

そんなナメた気分を一気に吹き飛ばすドラマを見た。
TVerで再放送している「重版出来」だ。

リアルタイムで放送していたのは2016年。
ちょうどまさに1冊目のOKをもらった頃だ。
どうしようとドキマギしていたのをよく覚えている。

舞台は、漫画の編集部門。
黒木華さん演じる新人編集者の奮闘を描く。

著者、編集者、営業、書店、印刷会社など1冊の本を作るためにかかわる
すべての人を通して、毎回つぶさに人間模様が描かれる。
そして、重版=増刷することは、幾度もぶつかりあった結晶であることが伝えられる。

本を作ることがどれだけ大変か。そしてどれだけしんどいか。
書く側しか知らないために、時折上述のような「ふざけた」気分になって
いることを改めて思い知る。

そもそも仕事の大変さは、システム会社時代に思い知っていたはずだ。
徹夜は当たり前。だれかが入院したり、倒れたり、ときには自◯するのも当たり前。
土日に出るのも当たり前。
お客さんに怒鳴られまくるのも当たり前。
ヘタをすれば裁判沙汰になるのも当たり前。

システム会社のあとに就いた財務の仕事も同様だった。
893な某メガバンクとの交渉は本当に心が折れた。
なんど、◯◯してやろうかと思ったことかわからない。

だが、時間が過ぎると人は忘れてしまう。
どれほど地獄を見たとしても忘れてしまう。
今眼の前に広がることだけがすべてになってしまう。

ああ、なんてふざけていたのだろうか。
黒木華さんの熱烈な演技を見て、身を引き締める。

劇中、黒木さんの上司役であるオダギリジョーさんが黒木さんに
尋ねる。

「だれから給料もらっていると思う?」
「会社ですか?」
「違う、本を買ってくれるお客さんだ」

このセリフを聞いて、ハッとして、すっと肩の力が抜けた。
何のために本を書いているのだろうか。
他でもない、本を買ってくれるお客さんのためだ。
役に立った、買って良かった。
1㍈でも、お客さんの+になる。
そのために書いているのだ。

しんどいと感じるのは、間違いなく自分にベクトルが向いているからだ。
人に仕える事と書いて、仕事。
人のためにする。人にベクトルを向ける。
そうすればおのずと、しんどさは減ってくる。

重版出来。ありがとう。





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