日々是好日
よく晴れた今年のGW。
我が家は今シーズン初のキャンプに出かけた。
いつもはシーズンラストのキャンプが11月なのだが、去年はたまたま9月のキャンプが大雨の撤収作業になり、テントやタープを乾かして畳んだらもはや出すのが面倒になってしまい、子どもたちの都合もあってそのままおしまいになった。
ということで半年以上お休み。からの今回のキャンプであった。
今年は我が家の兄弟も小4と年長。
立派な戦力である。
ちょろちょろする子どもたちを視界に入れながらああだこうだと飛んでくる要求に応えつつ喧嘩を宥めつつ必死で設営していたあの頃、とは言ってもそれはほんの少し前のはずなんだけれど、もう思い出すのが難しくなっている自分に気がつく。
いつが「最後の日」だったのだろう、とぼんやり思う。
ミルクを飲んだ、最後の日。
オムツを替えた、最後の日。
つなぎの洋服を着せた、最後の日。
抱っこ紐の中で寝た、最後の日。
ベビーカーに乗った、最後の日。
風のように過ぎ去っていったそれらの日を、私はひとつも覚えていない。
末っ子の育児は記念碑を建てる作業、と以前書いた。
が、最近はもはや記念碑を建立している暇もない。それくらいのスピードでどんどん時間が過ぎていく。
だから、キャンプは私にとって大事なイベントなんだと思う。こんなこともあんなこともできるようになったんだなあと噛み締める。
同時に、手間暇という意味ではどんどんラクになっていく自分が、そこにはいる。
不惑であるはずの40歳を迎えたはずなのに、ラクになっていく自分との付き合い方がよく分からなくて、最近少し困っていた。
子育てとそれにまつわるエトセトラに駆けずり回ったこの10年間は、予想以上の大木となって私の中に根付いたらしい。
別にそれは悪いことでもなんでもないのだが、なんとなく焦る、そんな感じ。いい歳して自分探しでもないだろうし、みたいな。
「末っ子さあ…来年は小学生になっちゃうの?ほんと??」
焚き火を突っつきながら阿呆な質問を繰り出した母に、5歳児は颯爽と答えた。
「うん!しょうがくせいになる!おおきくなる!」
揺れる炎に照らされた誇らしげな顔と精一杯張った小さな胸が、ぽん、と私の背中を押した。
おっと、と思わず踏み出した一歩で、どうにか次の一歩をつなぐ。
記憶にない「最後の日」に背中を押されてよちよち歩いてきた日々。
それはとても幸せなことだと思う。
今日という日もまた、何かの「最後の日」になるかもしれない。
だからといって何がどうってこともないのだけれど、そんなことを思うだけで少しは前を向く気になるんだから案外自分も単純だなあとホッとする。
半年間に及んだケアマネジャーの研修も無事に修了し、今年度はPTA活動も休憩しているので例年に比べれば時間的に余裕があるのだが、ならば、と他のことに手を出しては結局忙しない日々が続いている。
相変わらず、けれどそれがとてもありがたい。
そんな日々を紡いでいけたら、と世界の片隅で小さく祈っている。
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