免停になった?犯罪者じゃん!というひとに呼んでほしい話
私は毎日60キロを走行していながら無事故のドライバーだ。
しかし、ついに軽微な違反の累積により点数がたまり、免停となった運びは初投稿の記事でお伝えした通りです。いま思えば初投稿からそんなキャッチ―な内容の投稿で申し訳なかったと思う。
今回はその話をするよ。
事故を起こしてないから、とか、毎日60キロも運転しているんだから、とかが違反行為の免罪符になるとは、決して思ってない。
しかし、軽微な違反を犯すリスクが、「最後に運転したの、本試験が最後かも!」というやつに比べてかなり高いことは承知して欲しい。
ゴールド免許でペーパーのやつに「免停?!普通に生活しててそんなことってないでしょ!!」なんて絶対に言われたくないし、そんなこと言う権利はそいつらにないと本気で思っている。
実姉がまさにそのタイプなので、言ってこようもんなら「お前にあの子の何がわかる!」と美輪明宏のビブラートボイスで叱りつけてもらいたい。
そんな火を見るより明らかな批判を食らいそうになる相手には、そもそも報告する義務などないから言うつもりもない。これでヘラヘラと報告したらただの間抜けになる。
狙い目は、すべてケリをつけた後。
無事に免停の期間を満了したら翌日から「むか〜し免停くらったことあるんだよね~!超、昔のことだけど」と告白する。
ダメな男と付き合ってたことあるぜ的な武勇伝。
当事者のあいだは、ただの間抜けの黒歴史だったものが、1日でも過去の話になってしまえば、いろんな経験しているマウントがとれる後日談的なものになるから不思議である。扱いの見事な手のひら返し。だから話のネタにする気は満々だよ!
ただひとつ勘違いしていただきたくないのは、
これは私があくまで軽度違反の累積免停だったから言えるのであり、人を轢いたはねたの話ではない。ただ、軽微な違反と言えど、それをきっかけに起こる事故は人身・物損も含まれる。警察の方に注意していただいたから事故を未然に防ぐことができることも事実であり、危険走行を推奨する記事では決してないのであしからず。
個人的なことだが、交通課ではないものの何を隠そう実父は警察関係者である。
不出来な娘で忍びない限り。反省している。
しかし、こういったレポは「激録・警察密着24時!!」を観るようなものだと私自身は考えている。
前述の家庭環境ゆえか、実家でこの番組が点くことはなかったので、私がこのテレビ東京の番組を知ったのは結婚してからだった。一度も過ちを犯したことのない人は失敗に弱い。犯罪を助長するものでは決してなく、他人の過去の失敗を見て、「こんな重大なことになるのか、辞めておこう」と思わせるためにこの世に必要なノンフィクション体験記だと思う。
だからこそ「免停??犯罪者じゃん!」という人に読んでほしいと思ったのだ。
運転免許については点数制度というものが採用されており、違反を起こすとその重さに比例した点数が加算される。持ち点が一定条件に達すると、罰金のほかに免許停止や免許取り消しといった行政処分が科されるわけだ。
詳しい点数計算やルールについてはいくらでも警察官が教えてくれる。ただ、違反切符を切られた時に聞いても「お前の累積点数なんぞ知らん(概要)いまは、いま行った違反行為について話してる(概要)」とあしらわれる。その態度にムキーっとなって手を出そうものなら公務執行妨害でしょっ引かれる。お互いに不快な思いはしたくないだろうから、経験者としては余計なことはしゃべらず、その場ではおとなしくしているべきだと思う。
最寄りの警察署には点数制度に関するパンフレットも存在するし、累積点数の確認もできるから暇なときにでも行ってみたらいい。
3回目の取り締まりを受けたとき、「やっちまった」と思った。
最後に取り締まられてから1年間無違反で経過すると、累積点数はリセットされるのだが、明らかに1年経過したとは思えない真新しい違反の記憶があったからだ。
「これ免停イッたな」
確信した。そこからネット情報によると、1か月程度で免停処分の通知が郵送されることになるらしいのだが、これが待てど暮らせど来ない。
コロナの影響もあるのか、私の場合は違反から2か月半後に普通郵便で封筒が届いた。
この期間、まるで生きた心地がしなかった。
「まさか免停どころか取消になったのでは??」不安が襲い、何度も違反点数を計算しては、来る日も来る日も郵便ポストを開き来訪を待った。
私に課せられた重大なミッションとして、この通知を夫より先に確認しなくてはいけなかった。
いくら別財布と言えど、すでに違反で5万ちかい罰則金を支払い、このうえ免停の行政処分を受けそうになっていることなど、口が裂けても言えない。堺雅人の顔が引きつることは想像に難くなかったし、最愛の人に失望されるのは避けたかった。
だから2か月半、ポストに噛り付いて番をしていたよ。
いざ届いてみれば通知書(行政処分呼出通知書)の内容はシンプルだった。
あなたは以下の違反内容により、8点累積した。
そのため、免停期間30日間を命ずる。
○月○日に免許証と本通知をもって、警察本部に出頭せよ。
30日間の免停が完了したら免許証が返却されるわけだ。
但し、希望者は出頭と同日に短期講習が受けられる。
昼食休憩1時間を含む7時間の講習受講により、成績に応じて免停期間の短縮をしていただけるのだ。最短であれば30日の免停期間が29日短縮され、当日中に免許証は返してもらえ、翌日0時から運転が可能となる。
この通知を受け、私は光の速さで会社に有給申請をし、夫には「社外研修に行ってくる」と伝えた。完璧なカモフラージュで、朝は夫とともに出勤したが疑われることさえなかった。
月に何度実施しているか知ったこっちゃないが、当日の会場には70人くらいの講習受講者がいた。結論から言うと、そのうち69名は免許が当日中に返却される成績優秀者だった。つまり翌日から運転が可能になったわけだ。
そりゃそうだ。
ここにいるのは私と同じで、運転免許証を使って仕事をしている人が大半だ。
配偶者や家族には隠し通せても、さすがに「免許がないんで仕事ができない」なんて、どんな顔で上司に報告したらいいかわからない。みんな、2時間ほどの試験対策と、20分程度のマークシート考査を必死の形相で受けていた。
しかし、11,700円を支払い、講習を聞いてれば、どんな人間でもほぼ受かる内容だったことに間違いはない。
これで確信した。
免停期間中に運転をして交通事故を起こした某議員のニュースを見て、「なんてやつだ!」という声高な論調がある一方、「あー、一度は処分を無かったことにできないかって調べちゃうよねぇ。わかるわかる。ついでに言えば、免停食らってるなんて、仕事関係のひとに言いだせないよねぇ。まぁ免停中は運転しちゃあかんわなー。」とどこか達観した同情を禁じえなかった一定数の人間がいたであろうことを。
勿論、矢面に立つようなことはしたくないから、あなたの憤慨をフォローなんてしなかっただろう。多分だけど、その話題を振られて黙るか、「馬鹿だねぇ」なんてしれっと歩調を合わせた人がほとんどだと思う。
しかし、なかには「俺の知り合いが免停食らった話しなんだけど…」とやたら臨場感のある知識をひけらかすような猛者もいたかもしれない。
つまり、この記事では1度程度の免停処分経験者なら意外と近くにいる可能性もあるということを言いたかったのだ。声高に「どうやったら免停になんかなるの?」と第一声に非難を言ってのけてしまえる人は、免許非保有者か、ペーパーか、世間知らずのレッテルを貼られている可能性が無きにしも非ず。
あなたが、知人友人家族から免停の報告を受けてしまった場合は動揺せずに、かのリンカーンを見習ってほしい。「あなたが転んでしまったことに関心はない。そこから立ち上がることに関心があるのだ。」!!
いちばん後悔して情けない思いをしているのは免停を食らった本人に違いない。周囲の人は、腹を割って話してくれたことに対して引くことなく、その懐の深さをアピールすることに使うといいと思う。
実は身内に私のような輩がいるかもしれないから。
ホラーテイスト調の語りで終わったので、もう一つ怖い話をする。
この短期講習、午後は3時間かけて、考査に無関係の視力検査や反応検査、模擬運転などをやるのだが、鈍臭すぎて壊滅的な成績をたたき出していたオジサンが3人ほどいた。試験内容が理解できなくて、その都度、担当官から個別指導を受けてなんとか修了したのだが、そのオジサンたちも、考査が優秀だったため当日で免許証の返還を受けていた。
免許取得の時にテレビゲームのような運転模擬を受けただろう。
オジサンらはあれで片っ端からヒトを轢いていた。
轢けば轢くほど、オジサンらはイライラを募らせた。
あれほど身近な他人から恐怖を感じたことは無かった。
自分が事故を起こさなくても巻き込まれる可能性は多分にある。
この記事を読んだ人は、車両の運転者は選ばれた人間などではなく、ただ資格を金で買った人間が、約1トンの鉄の塊を操縦しているということを念頭において、交通事故にはくれぐれも注意していただきたい。
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