【BL二次小説(R18?)】 兎と狼①終
ここは箱根の森。
木々は生い茂り、花は咲き乱れ、空気も澄んでいます。
ピョンピョン。
やって来たのは白兎。
「うーん。道に迷っちゃったみたいだ」
キョロキョロと辺りを見渡します。
「困ったなぁ」
ガサガサッ。
「!」
草を掻き分ける音がします。
ヌッ。
「よォ。見慣れねェ兎だな。何やってンのォ?」
そこに現れたのは黒狼です。
「ここは平和そうに見える森だが、いろんな奴が住んでる。一人……いや、一匹で歩いてちゃァ危険だゼ」
狼は兎に近付いて話しかけます。
「狼くん」
「あァ?」
「兎は一匹じゃなくて一羽「細けェこたァいいんだヨ!!」
大きな口を開いて狼は兎を威嚇します。
「オレ、道に迷ったみたいでさ」
「ドコに行きてェんだ?」
「箱根学園っていう高校なんだ」
「ハコガクな。知ってるゼ。だがあそこは人間がたくさんいる。あんなトコに何の用事だァ?」
「あそこの飼育小屋にウサ吉って友達が飼われてて、時々遊びに行ってるんだ。だけど今日は蝶を追いかけてたら、自分がどこにいるのか判らなくなっちゃって」
「フーン」
狼は90度方向転換して、歩き出しました。
「着いて来ナ。案内してやんよ」
「ホントかい?助かるよ」
兎は狼の後をピョンピョン着いて行きました。
暫く行くと、丘の上から箱根学園が見えました。
「ホラ。あれがハコガクだ」
「ありがとう!」
兎は喜びます。
「狼くん!おめさん顔は怖いけどいい奴なんだね!」
「よ、よせやい」
狼は照れているようです。
「これからは認識を改めるよ!狼はみんなおめさんみたいに優しいんだね!」
「オイオイ。みんながオレみたいンじゃねェぜ。世の中にャ、三匹の小豚を食った奴とか、赤い頭巾の人間を食った奴もいるらしいかんな」
狼は警告します。
「でもおめさんは違うよ。お礼がしたいな」
「礼なんて……」
兎はピョーン!と高く跳ね、狼の腰に飛び乗りました。
そして兎自身を……。
ズッ!
「!!」
ズッズッ!
「なッ!何してンだテメ!……アッ!……オイ!」
ズッズッズッ!
「ア、アアッ、やめ……」
狼はふりほどこうと尻を振りますが、兎はしがみついたまま離れません。
ズッズッズッ!
「気持ちいいかい?はぁ……狼くん……」
「ア、アッ、ア……んアアん」
ズッズッズッ!
「オレの……はぁ……心からの感謝の気持ち……だよ。はぁはぁ……こんなに親切に……はぁ……してもらったの……はぁはぁ……初めてだ」
「アハン、アア、アッ、アン、アフン、アッ、アッ」
ズッズッズッ!
「狼くん……狼くん……!」
「アゥ……ア、アーーーッッ!!」
ビュビュビュー!
「はぁ……はぁ……」
「ハァ……ハァ……」
兎も狼もグッタリしています。
「じゃ、じゃあ、行ってくるよ狼くん……」
「さ、さっさと行きやがれ……」
兎はフラフラの足で歩き出します。
狼は寝そべったまま動けません。
「狼くん」
「ンだよ……」
兎は振り返って言いました。
「今度から……ウサ吉じゃなくて、おめさんに会いに来ていいかな」
「……好きにしろ……」
兎はニッコリ笑って丘を駆け降りて行きました。
おしまい
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