【BL二次小説】 ただいま靖友①終
国際線到着ロビー。
荒北は新開を出迎えるために出口で待っている。
プロとして活躍している恋人が、ヨーロッパ遠征から1ヶ月ぶりに帰ってくるのだ。
「靖友!」
両手を振り、満面の笑みで扉から現れる新開。
「おう。お帰り」
片手を挙げる荒北。
新開は駆け寄って抱き付いた。
「靖友~~~ん!」
「ンッ!!」
ぶちゅーーっ!
公衆の面前でディープキスしてくる新開。
荒北は慌てて引き剥がす。
「なにすンだテメェ!」
「だって空港でみんなやってて羨ましくて」
「ここは日本だッ!」
悪びれも無くニッコリ笑う新開に、ああそうだコイツはこういうヤツだった、と諦める荒北。
「ン?ずいぶん荷物少ねェな」
リュックひとつだけの姿を見て指摘する。
「全部航空便で送った」
「なんだ。じゃあ迎えに来る必要無かったじゃねェか」
「そう言うと思ったから黙ってたんだ」
新開は荒北の性格がよくわかっているようだ。
「ちょっとトイレ」
通路を歩き始めてすぐに新開は言った。
「さっさと行って来い」
「靖友も行こ。連れション」
「ハァ?」
強引に荒北の腕を掴んでトイレへ入る。
「エ?なに?」
新開はそのまま荒北を個室へ押し込み一緒に入った。
「ちょ!オメ、まさか!こんなトコで?よせ!アッ!アァーーーー!」
ズコバコズコバコ。
バタン。
数分後、個室の扉を開けてヨロヨロと出て来る荒北。
「て……テメェ……」
「だって1ヶ月も会えなかったんだぜ?」
新開はケロッとしている。
荒北は殴る気力も無かった。
「もゥ……帰る」
「足がもつれてるよ靖友」
「誰のせ……クッソ」
駐車場に停めてある荒北の車まで来た。
「靖友。後ろのドア開けて」
「後ろ?」
意味がわからなかったが、素直に開けた。
「うわッ!」
新開はそのまま後部座席に荒北を押し込み、自分も入り込んだ。
「な?エ?オイ!まさかまだヤる気か?ウッソだろ?てか、ドア開けっぱなしィ!アアッ!アアアーーーッ!」
ズコバコズコバコ。
数分後、這うように車から出てくる荒北。
「このヤロ……空港の駐車料金高けェのに無駄に時間かけやがっ……」
「オレが払うよ」
「ったりメーだ!」
なんとか駐車場の料金ゲートまで辿り着く。
「あ、円持ってなかった」
「殺す!!」
高速道路を走ってる途中で新開が言った。
「そのSA寄ってよ」
「ハン。日本食が食いたくなったんだろ。団子でも買うかァ?」
SAへ入り、車を停める。
シートベルトを外すと、新開が襲いかかってきた。
「チョットいい加減にしてェ!さすがにココはまずいってェ!アーッ!アアアア!」
ズコバコズコバコ。
こんな調子で、帰宅するまであと3回ズコバコした。
「テメェ……オレを殺す気か……」
「まさか。こんなに愛してるのに。あ、そうだ。ヤるのに忙しくてまだ言ってなかった」
新開は荒北の頬を両手で優しく包み、微笑んで言った。
「ただいま、靖友」
おしまい