【BL二次小説(R18)】 クリスタルトロフィー①
ガシャーーン!!
「ア!!」
それはフローリングの床に落ち、粉々に割れてしまった。
「ヤベ……」
真っ青な顔で固まる荒北。
割れたのは、新開のトロフィーだ。
先週の大会で獲得したばかりの優勝トロフィー。
新開の瞳のように深青に輝く高級クリスタル製だった ──。
新開は福富と同じチームで活躍するプロのロードレーサーだ。
荒北は新開と一緒の家で暮らしている。
管理栄養士の免許も取り、新開の体調管理を担っていた。
二人が恋人関係だということは、福富には秘密にしている。
「このトロフィー、アイツすげぇ気に入ってたのに……」
掃除をしていて、つい手を引っ掛けてしまった。
この時の大会はライバルチームと凄まじい死闘の末、僅差で勝利した。
だからとても思い入れのあるトロフィーだったのだ。
トロフィーというのは普通、その時その時のオリジナル発注であり、簡単に同じ物が手に入るわけではない。
「弁償しようがねェし……平謝りするしかねェよな」
割れたトロフィーを丁寧に片付けながら、新開のショックを受けた表情を想像して荒北は落ち込んだ。
「……」
帰宅した新開は、無惨な姿でビニール袋に入っているトロフィーの残骸を見つめて絶句している。
「すまねェ!ホントすまねェ!」
土下座して謝る荒北。
「……割れちまったものは仕方ないよ。それより、怪我しなかったかい?靖友」
新開は荒北の肩に優しく手を置いた。
優しくされると余計に罪悪感が膨張する。
「なンか埋め合わせすっから!旨いモン食いに行くか?コートでも買いに行こっか?それともクルーズ旅行でもすっか?」
急にはなかなか良い案も浮かばない。
焦る荒北。
「オメーの言うこと何でも聞くから!オメーの望み何でも叶えてやっから!」
「……!」
それを聞いて、新開の目がキランと光った。
「何でも……?」
「あァ!何でも言え!警察署に空き巣に入れっつンなら入ってやんよ!」
半ばヤケクソになっている荒北。
「じゃあ……」
新開はニヤリと笑った。
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