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【BL二次小説】 恋のエサ①終


ガサガサ。


荒北は袋からかっぺえびせんを1つ、人差し指と中指で摘まみ、取り出した。


スッ。

それを、前方に差し出す。


パクッ。

新開が、それを口にくわえる。


サクサク。

かっぺえびせんを美味しそうに食べる新開。



ガサガサ。
スッ。
パクッ。
サクサク。


ガサガサ。
スッ。
パクッ。
サクサク。


延々と繰り返される。



「……さっきから何をやっとるのだ貴様たちは」

思わず突っ込む東堂。



静かで穏やかな昼休み。

教室で机を挟んで向かい合わせに座っている荒北と新開は、ずっと同じ動作を無言で繰り返していた。



「餌付けか?餌付けだな?隼人が犬なのだな?」

二人に尋ねる。



「いや……犬っつーより、鯉だナ。池の鯉」


ガサガサ。
スッ。
パクッ。
サクサク。


動作の手を休めず、荒北が答えた。



「ふむ。鯉か。このパクパクと開く口は確かに鯉だな」


ガサガサ。
スッ。
パクッ。
サクサク。



「コイツ、こうやって与えたモン何でも旨そうに食うからヨ。なんか病み付きっつーか、無心に与え続けちまうっつーか」


ガサガサ。
スッ。
パクッ。
サクサク。


「隼人……。貴様、ヒトとしてのプライドは無いのか」


東堂は問いかけるが、東堂を見上げる新開の目が「無い」と答えていた。


ガサガサ。
スッ。
パクッ。
サクサク。



「……やれやれ」


東堂は呆れて教室を出て行った。




ガサガサ。
スッ。
パクッ。
サクサク。



その時。



ガサガサ。
スッ。
バクッ!!



「!!」



新開が、
かっぺえびせんごと、
荒北の指に、
食いついた。



「オイ」


新開はそのまま荒北の人差し指と中指をベロベロと舐め回す。


「指についた塩舐めてンのか。卑しい奴だな」


2本の指の根元まで、口の奥にくわえ込む。


「……」


新開の目は荒北の目をじっと見つめたまま、逸らそうとしない。


「ウ……」


2本の指を優しく吸いながら、口を何度も出し入れしている。
時折ジュルっ!と音を立てる。


「……」


だんだん、荒北の顔が紅潮してきた。


二人の目は見つめ合ったまま。


「……」

「……」



新開の舌が、指の付け根の水掻き部分をべろん!とねぶった。


「ウゥ……ッ!」


瞬間、身体がビクッ!と反応する荒北。



「……」


新開は上目遣いでその水掻き部分を何度も何度も丹念に舐め回す。



「クッ……ウウ……!」


頬を真っ赤にし、身体が震える荒北。



「……」


新開の瞳がトロンとなってきた。
呼吸が荒い。
鼻息が荒北の指にかかるのがわかる。



「テ……テメェ……」


荒北は下半身の中心が熱くなってきた。



「はぁ……」


新開は吐息まじりに2本指に舌をねっとりと絡める。




「クッ!!」


ガタン!

荒北は席を立った。


ヌポッ!

新開の口から指を抜き取る。


バン!

かっぺえびせんの袋を机に乱暴に置いた。



そして……。




ダッ!!

走って教室を出て行った。


ガタン!
ダダッ!!

新開も席を立ち、走って荒北の後を追い掛けた。




バタバタバタバタ!!

廊下を全速力で走る二人。


「オイ!もう授業が始まるぞ!」

東堂がすれ違いざまに声を掛ける。


しかし、二人はそのまま走り去って行った。




キーンコーンカーンコーン。

午後の鐘が鳴る。




バタバタバタバタ!

二人はトイレに駆け込み、


ダダッ!

ひとつの個室に二人で入り、


バタン!

扉を閉め、


ガチャ!

鍵をかけた。




そしてそのまま午後の授業には出てこなかった ──。





おしまい





まえがきへ          あとがき




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