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【BL二次小説(R18)】 クリスタルトロフィー⑤終
翌日。
ピンポーン。
「ハーイ」
荒北が玄関を開ける。
ガチャ。
「福ちゃん!」
訪問してきたのは福富だった。
肩に大きな箱を担いでいる。
「新開は居るか」
「まだ帰ってきてねェんだ。入って待ってろよ」
荒北は中へ促すが、福富は断った。
「いや、すぐ帰る。これを届けに来ただけだ」
箱を玄関に降ろす。
「なァに?これ」
「トロフィーだ」
「エ?」
降ろした箱をポンポンと叩きながら福富は説明を始めた。
「先日優勝した時のトロフィーだ」
「それって……あの青いクリスタルの?」
「クリスタルの調達が大会に間に合わなかったらしくてな。とりあえず仮のトロフィーで代用し、本物は後日届くことになっていた」
「エ……、じゃあ、あのトロフィーは……?」
「あれは単なるガラス製のレプリカだ。これが本物のクリスタルトロフィーだ」
「……」
荒北の瞳にボッと炎が灯った。
「福ちゃん……」
「ム?」
「そのこと……新開は知って……?」
「ああもちろん。うちのチームメイトは全員知っている。本物が届くのをみんな楽しみに待っていた」
「……そォ……」
荒北のこめかみにピクピクと血管がいくつも浮き出てきた。
身体も怒りで震えている。
「どうかしたか?」
「いや……届けてくれてあンがとねェ福ちゃん……。ホント、ありがとォ」
荒北は立ち去る福富に笑顔で手を振るが、目は笑っていなかった ──。
鼻唄を歌いながら新開は車を走らせ、帰宅途中だ。
普段ならもう家に着いている時間だが、今日は寄り道をしていた。
助手席に大きな紙袋が置いてある。
中身は、アダルトショップで買ったいくつものSMグッズだった。
「今夜はどんなプレイをしようかなぁ。……ははっ。靖友ったらホント可愛いんだから。あんな牙を抜かれた狼みたいな靖友は初めてだよ。素直でおとなしくなっちゃってさ。んもうオレ、キュンキュンしっぱなしだ。本当のことはもう暫く黙っておこう」
ご機嫌な新開は、愛しい愛しい荒北に早く会いたくて家路を急いだ。
おしまい