創作短編『浮気三昧された女房の話』⑤「夫の愛の深さはお金では計れない😢」。。。🥺💘
病院から連絡があり、やっと病室前に着いたのが午後の4時を少し回っていた。
「ここだわ!369室。。」
病室の前には面会謝絶の札が掛けられていたが看護士に様態を聞くと症状は安定したらしく、ナースステーションでモニターで確認しているとのことだった。
病室に入ると、主人は何本かの管に繋がれていた。
急性脳梗塞。軽い後遺症は残るらしいが命には別状ないとのことだった。
散々浮気で苦労させられて、、
自業自得よとベットに横たわる夫をみて涼子は思った。
今は麻酔で意識を落としているらしく、深い眠りについているようだった。
この人には散々浮気されて悔しい思いばかりさせられて、知らぬ間に心の恨み辛みの文句が声という音になっていたのに気づかなかった。
そこへ一人息子の亨が病室に入って来た。
『お袋、親父大丈夫なのか⁉️』
「大丈夫よ。急性脳梗塞だけど命には別状ないって。」
『それは良かった。安心したよ。』
亨は鞄からある袋を取り出した。
『俺、親父から仕事まだ何にも教わってないから、今突然逝かれたら困るよ!』
『お袋に言われた保険証をデスクで探していたら、こんなものが出てきたんだ!』
「なんなの⁉️それ?」
『お袋と俺名義の通帳だよ。』
それを見るとかなりの額が記載されていた。
その金額に驚くというより、そのスタートした日付だった。
毎年夫は私と息子の為に貯蓄してくれていた事に驚いたというよりその日付がなんと息子の生まれたその日、誕生日からのものだった。。
もう35年も前からこの人が…
涙がとめどもなく頬を伝った。
この人ったら…
あんなにも浮気で私をやきもきさせていたのに私たちのことを考えてくれていたなんて、、
金額などどうでもいい。その日付は毎年私と息子の誕生日に入れられていたのである。
その瞬間夫の深い愛情をみたように思った。
そして、ベッドで寝ている夫の目尻から一筋の涙💧が流れ落ちていた。
私はそっとその涙💧を拭いた…
完結。
あとがき
愛情とは目に見えるものではないし、人それぞれの愛し方や愛の表現がある。
この夫は浮気はしていたが家族の大切さを分かっていたのだろう…
夫婦には色々な形がある。
ふとしたことでその優しさに気づく。
涼子はそんな夫の優しさに気づくのに35年かかったのだった。。。🥺💘
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