胃がないってこんな感じ。
僕には胃がない。
癌が目一杯拡がっていた為、2018年2月の手術で全摘した。
それから2年半以上経ってやっと胃がない身体に慣れてきた。
胃のある人からすると「それって…どんな感じ?」と思うかもしれないので書いてみる。
胃が無くても問題はない。
人間の身体は凄くて、臓器のひとつやふたつが無くなっても元気に生きていける。
胃もそんな臓器のひとつ。
そもそも、胃の機能は食べたものを消化して腸で吸収しやすくすることと、貯蔵をすること。
その機能は、よく噛むことと一回あたりの食事量を減らせば担保できるのである。
アメリカではダイエットのために胃を切除する人が結構いるくらい。
小腸が胃の働きをし始める!?
胃を全部とったので、今僕の身体の中では食道と小腸が繋がっている状態。
本当は胃の次は十二指腸で次に小腸なんだが、「ルーワイ方」という術式でその順番を入れ替えたのだ(手術前夜の説明を聞いてドン引きした)。
なので今はモノを食べると小腸にストレートインしている。
最初の1年半くらいは食べるとすぐに気持ち悪くなるし、量を食べられないし、美味いもの(得てして味が濃く脂っこい)が食えなくてストレスだし。1日3回の食事が苦痛の時間だった。
しかし医者曰く「そのうち小腸が胃の機能を果たすようになりますよ〜」とのこと。
んな馬鹿な、と思っていたがある時期を境にだんだんと食べられるようになり、今では小盛りと普通盛りの間くらいの量はなんでも食べられるようになった。
病院のベットに横たわりながらYouTubでラーメン二郎の動画を観て「いつかこれが食べられるようになりたい・・ぅぅ」と思っていた。
それから2年経って二郎系ラーメン(にんにく、野菜増し)を食べられた時の感動たるや半端なかったなぁ。
臓器にーーーーー、thank you!
身体の中には機能の異なる複数の臓器がうごめいており、絶妙なバランスで僕らの身体を整えてくれている。
しかし悲しいかなそのほとんどの存在を知覚することはできない。
なので胃があっても無くても感覚としては変わらない。
とはいうものの、手術日が近づくにつれてだんだんと胃がなくなることが悲しくなってきたのだ。
これまでいったい何回の食事を受け止めてきてくれたんだろう?
どんだけ消化酵素分泌してくれたんだ?
そんなことを考えたら感謝の念が湧いてきたので、最後の1週間は「胃感謝祭」を開催した。
当時抗がん剤が聴きまくり何でも好きなだけ食べられるようになっていたので、3食好きなものを思い切り食べた。
手術直前は、昼にラーメンとチキン南蛮、夜に金沢カレー、朝6時から海鮮丼とパーリーパーリー。
悔いのないように送り出しました。
臓器はそれぞれの機能だけで無く、他との連携もしているのでひとつなくなると全体のバランスが悪くなる。そのバランスが整うまで2年以上かかった。でも整った。
臓器たちよ、本当にありがとう!これからもよろしく!
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