人生と人生の「交差点」に「シャニマス」があった〜6thライブ初現地レポ〜
たくさんの人が集まって、たくさんの笑顔が咲いていた。
たくさんの感情が集まって、大きな熱になっていた。
たくさんの視線が一点に集まって、眩しい光になっていた。
3月上旬。まだまだ冷え込む大阪で、花が狂い咲く。
それは紛れもなくあの太陽 ー283プロのアイドルたちー のせいだった。
初めて現地で見たシャニマスのライブは、私の目を灼き、胸を焦がした。
しかし同時に温かく私の背中を押し、優しく私の手を握ってくれた。
そして何より、ある時間にある場所に集まって行う、という瞬間的で一回きりの替え難い価値がライブにはあるんだということがはっきり感じられた。
それは正しく、Come and Unite! というライブタイトルの名前の通り、みんなで集まって心が一つになる瞬間だった。
集まった人たちがそれぞれに歩んでいる別々の人生が、「シャニマス」という「交差点」で交わる瞬間がたまらなく愛おしく思えたのだ。
だから6thライブについて話す前に、少しだけ「私とシャニマス」について話そうと思う。
私とシャニマス
私がシャニマスに出会ったのは、2023年の4月。過労で体調を崩していた大学4年生の春だった。
ちょっとした理由で見たアニメU149の1話で、「アイマス」というコンテンツに興味が湧き、たまたま周囲でやってる人が多かったシャニマスのゲームを始めてみることにした。
今考えれば、アイマス自体との出会いがU149のアニメだったのだからデレを追うのが順当だっただろうが、当時はアイマスについてほとんど何も知らなかったのだ。
だからシャニマスとの出会いはほとんど偶然みたいなもので、きっとタイミングが違えば違うブランドを追っていたかもしれないし、アイマス自体を追っていなかったかもしれない。
そんな小さな奇跡で始めたシャニマスのゲームは私にはちょっと難しくて、実際にシャニマスにのめり込んだのは7月のことだった。
『statice』という曲、浅倉透の歌、彼女のコミュですっかりシャニマスの虜になっってしまった。
コミュの読み方をなんとなく理解して、たくさんのアイドルのコミュを読んだ。
多くのコミュの中で描かれる「わたしがなりたいわたし」「わたしとあなた」というテーマが特に深く刺さり、シャニマスという作品が私の中で抜けない棘になっていったように思う。
私とイルミネ
私はどちらかというと他人に興味のない人間で、他人に期待もしなければ失望もしないような人生を歩んできた。
あまり他人を知ろうとせず、自分を知ってほしいと思うことも少なかった。
冷たいとは思いながらも、簡単に変わることもなくて。
そんななかでイルミネーションスターズのイベントコミュが、雪を解かしていくような温かさを私にくれたように思う。
知りたいと思う気持ち、そしてそのまなざしが彼女たちが放つ光で、彼女たちを照らす光だった。
私ももっとイルミネのことが知りたくなった。
気づけばめぐる担当のイルミネPになっていた。
大阪に向かう列車に揺られて
東京から電車と新幹線を乗り継ぎ大阪へ向かう。
全国各地から大阪という一点に向かってシャニマスを愛する人が続々と集まっているのを感じてワクワクした。
私たちの人生が交差する瞬間が近づいている!
開演前
大阪城ホールの前にはたくさんのシャニマスPが集まっていた。
私はシャニマス筋トレ部の皆さんや、SNSの知り合い、全くの初対面の方など色んな人と交流し、名刺を交換した。
「シャニマスが好き」という共通点だけで、こんなに楽しく話すことができるということがとにかく嬉しかった。
私が小さな奇跡を繋げながらシャニマスを好きになったように、この場にいるたくさんの人もそれぞれに奇跡を積み重ねていて、シャニマスを通して出会えたことはそれこそ天文学的な確率を乗り越えた大きな奇跡だっただろう。
そしてそんな奇跡を作り出したのは間違いなく、283プロのアイドルたちなのだ。
Day1
セットリストもライブの構成もなんの情報もないまっさらな状態から始まるDay1は、衝撃と興奮に包まれてあっという間に過ぎ去った。
華やかなパレードの始まり
シャイニーエクササイズで体を温め、協賛読みで喉を温め、準備は万端。
カーニバル調にアレンジされた「Spread the wings!! 」で幕を「開け」たライブは、その流れのまま「Forward March!!! 」、パレードの前進を高らかに告げる。
そして「Bloomy!」「ハナサカサイサイ」という「開花」の合図に私たちも大きな歓声で応えた。
「華やか」な祭りが始まるという予感は確信に変わり、興奮と期待で胸が躍る。
それにしても。
「ハナサカサイサイ」のコールが楽しすぎる!
全部完璧にはできなかったから、何度でもやらせてほしい。
何回でも「お通り」したい。
冷静と情熱で渦巻く熱気
最高のスタートの勢いを殺さぬまま、ライブは加速していく。
「革命進化論」「無自覚アプリオリ」「BURN BURN」「Forbidden Paradise」と続き、パッションとクールの間を往復するように会場の熱気を渦巻き、上昇させた。
そして上昇気流はやがて雨を降らせる。
雨は水面に波紋を作り、景色を変えていくけれど。
隣に変わらずきみがいるから怖くない、とエモーショナルに「Reflection」を歌い上げるノクチル。
少しずつ色づいていく彼女たちが雨上がりの「青空」を予感させて、第一幕を青く爽やかに締めくくる。
お祭り騒ぎこそ醍醐味
MCが明けると、予告通り3チームでの対抗戦が始まる。
Team.Stellaの「We can go now!」、Team.Lunaの「SOLAR WAY」、Team.Solの「相合学舎」……
楽しすぎる。
やっぱりお祭りはこうでなくちゃ!
どの歌も大好きだが、特筆するならLunaの「SOLAR WAY」だろう。
月のチームが太陽の歌を歌う。
月を照らしているのは太陽なのだから、この歌はお返しなのだろうか。
不思議と温かく響くように感じられた。
そしてこの3曲はどれも八宮めぐるに関係していて、めぐる担当の私はずっと黄色のペンライトを振っていたが、この後さらにめぐる担当に衝撃が走る。
「相合学舎」が終わった後、1人ステージ上の階段を登っていく八宮めぐる役・峯田茉優さんのシルエット。
聴き慣れない音楽にざわめく会場。
「もしかしてソロ曲だろうか」という考えが過ぎる頃には、壇上中央にDJブースがせり上がってきていた。
八宮めぐるによるDJパートの始まりである。
「これが聴きたかった」のオンパレード。なんという贅沢。
ユニット色の強いシャニマスは、ひとりのアイドルが歌う楽曲のジャンルが限られやすい傾向だが、カバーすればいいという話なのだ。
「このアイドルでこんな歌が聴きたい」というオタクの期待を満たしてなお余りあるほどのやりたい放題。
メドレーとして披露されたこのパートで特に私が好きだったのは、コメティックの「Twinkle way」だ。
同じ3人ユニットでありながら、対照的な印象さえあるイルミネとコメティックだが、「星」という点で繋がりがあることを改めて認識できた。
ちょうど「Twinkle way」が収録されているGR@DATE WING 02のジャケットイラストには「彗星」のようなものが描かれていることも思い出される。
彗星の向かう先に、「胸が高鳴る世界」がありますようにと願わずにはいられなかった。
雨上がりの青空に虹が架かる。クライマックスはいつもどこか切なくて
3チーム対抗戦とDJパートを第2幕とするなら、ノクチルの「青空」から第3幕と呼べるだろう。(もっとも、MCのタイミングは異なるが)
「Reflection」で雨を降らせたノクチルが予感した通り、「青空」の時間がやってくる。
新作ゲーム『シャニソン』で追加されたこの曲は、普段のノクチルの楽曲とほんの少し違う明るく可愛げな印象を与えてくれた。
そしてアルストロメリアの「明日もBeautiful Day」と、シャニソン楽曲が続き、明日「も」よく晴れた素晴らしい日になるとアルストロメリアらしいあり方で温かい肯定を届けてくれる。
MCを挟んだ後、ライブは「全力アンサー」を先頭に「クライマックス」に差し掛かる。
「広い世界(ステージ)を 彩る Colors」で(「Destined Rival」)
「鮮やかで直視できないほどの」(「Fashionable」)
「鮮烈な濃淡がぶつかって」「やっと分かったんだ 描きたいものは」(「有彩色ユリイカ」)
「夢のグラデーション」(「グラデーション」)
各ユニットがそれぞれの「色」で晴れ渡ったステージを彩り、雨上がりの空に「虹」が見えた気がした。
そして、「『楽しい時』と『寂しい気持ち』はいつでも隣にいて」、楽しかったライブも終幕の時が近いことを「星が流れて」が教えてくれる。
「どんなに素敵な時間も ずっと飾ってはおけない」し、「この景色も 永遠はないと分かっていても」
「少しずつ でも確かな一歩を踏み出さなくちゃ」(「星が流れて」)
「だからもう振り向かずに 自分の足で歩かなきゃ」(「アスファルトを鳴らして」)
と、イルミネとノクチルはそれぞれの決意を歌う。
始まりがあれば、必ず終わりがあること。ずっと同じではいられないこと。それはどこか切ないけれど、優しく力強く受け止めようとする彼女たちの姿にとても勇気づけられた。
「アスファルトを鳴らして」の大合唱のなか、変わりゆく日々を「一緒に歩こうよ」と言われた気がして涙腺が緩む。
滲んだ視界の向こうに、透明で、しかし色づき始めた彼女たちの姿が見えた。
そんなノクチルが持つような「透明な自由」は「誰の中にも息づいてる」と続けるコメティック。
たとえ交わらない線と線でも、並走して「手を繋げたなら」と願う「平行線の美学」は、まだ加入して間もないコメティックのある種の希望であるようにも感じられた。
そして本編ラストは、初期4ユニットによるシャニアニの新曲「ツバサグラビティ」が飾る。
「最初の勇気」を見出すこの歌は、「始まり」の印象が強いが、不思議と締めくくりにもしっくりきた。
それは、終わりとは単なる「終わり」ではなく、次なる新しい何かの「始まり」なのだと感じられたからであろう。
「お知らせ」を経てアンコール一発目は全員歌唱の「太陽キッス」。イントロなしで始まる歌詞の冒頭が聞こえた瞬間にテンションは「最高潮」へ。
"Brilliant" の名前の通り、太陽が眩しく輝くこの一曲は、サビでのタオル回しやコールなど楽しいところが盛り沢山で全員で盛り上がるのにぴったり。アンコールの特別感を強く演出した。
そして青空に太陽が眩しく差し込んだところで、「虹になれ」をこちらも全員で歌う。
「大きな声で さあ響かせようよ」とはイルミネからみんなへのいざない。
そして視線は「未来へ」と向かう。
「Let's get a chance 次の奇跡 探しに行こうよ 今日よりもっと輝ける」
Day1 ラストは明日への期待を込めるように、楽しさ満載のアレンジで披露された「Let's get a chance」で大団円を迎え、楽しい気持ちをたっぷり残したまま暫しのお別れとなった。
Day2
ライブの構成はDay1と同じで、一部セットリストも共通するDay2は、よりじっくりとライブを味わうことができた。
そこで、このライブレポートは少し構成を変えて特に印象に残った楽曲について記す。
Imitation Ghost
Day1 では不在だったストレイライトのセンター芹沢あさひ役・田中有紀さんを迎えてフルメンバーで披露された「Imitaion Ghost」。
目と心を奪って離さない圧巻のパフォーマンスは、ストレイライトそのものだった。
ストレイライトのパフォーマンスで一気に会場の熱気が高まる瞬間が好きだ。
本当に体感温度が5度くらい上がる。
間違いなく。
BRIGHTEST WHITE
大好きな歌。
ヒカリが集まって真っ白になる…
本当に素敵なテーマのこの歌だけど、ライブでの披露はより一層気持ちがこもっていて沁みる。
ステージには立てなかった灯織のパート、めぐると真乃の表情が温かく優しく、しかしどこか寂しそうで、私はえも言われぬ感情に襲われ、この時の気持ちを適切に表現できる言葉をいまだに見つけられていない。
今しかない瞬間を
DJ七草にちかによるメドレーパートのラストを飾ったのはストレイライトで「今しかない瞬間を」。
ストレイライトがいつも熱いパフォーマンスで、お互いを鼓舞しているからこそ、お互いを大切に思って「今しかない瞬間を」丁寧に焼き付けるこの歌が愛おしく思えた。
「今しかない瞬間を」がライブで披露されるときの「今」とはまさに、「今ステージに立っているこの瞬間」のことで、普段聴いているときとはまた少し違った意味合いが生じるのが「グー」ですね。
「きみの隣で笑う日々が きっと何よりも宝物だ」
全てのユニットに歌ってほしい。
スマイルシンフォニア
アカペラのハーモニーが響いた瞬間に、体中から幸せが溢れ出した。
めぐるからのお願いで「響け 空の果て あなたのココロへ」というこの歌の大事なメッセージを会場の全員で合唱する。
そんな私たちの合唱に応えるように、イルミネは「ちゃんと声は 聞こえている」と歌って、「希望へのハーモニー」を奏る。
ラストフレーズ、再びの合唱を「響き渡れ!」と力強く結ぶと、晴れ渡るような気持ちが会場を包んだ。
イルミネーションスターズの「輝きのハーモニー」は会場だけではなくて、配信を見ている人、今は少しイルミネから離れているけどイルミネが好きな人、これからイルミネに出会う人、そんなたくさんの人たちのココロまで響いたと強く感じられた。
White Story
BRIGHTEST WHITE と同じく、たくさんの色が重なり合って白く光ることを歌うこの曲がライブ終盤で披露され、様々な「色」を思い出させるとともに、SHHisの「見たことない わたし色」を描き出した。
SHHisというユニットの新しい姿を「ここから描こう」と決意する気高い響きの裏側に泥臭い努力の影を感じ、ペンライトを握る手にギュッと力が入った。
Bloomy!
Day1の冒頭部でアルストロメリアがユニットの曲として歌った「Bloomy!」を、全員で披露する。
SHINY "COLORS"の色とりどりのステージを「虹」と歌ったDay1に対して、「花」を咲かせるDay2。
Brilliant "Blooms"にちなんで、太陽のもと、お花いっぱいの締めくくりを導いてくれた。
交差点を背に
「もしあの角を右に曲がったなら…」
きっと違う人生があるのだろう。
『Come and Unite!』の名前の通り、たくさんの人の人生が交わり、思いが重なったライブだった。
283のアイドルたちと、私と、シャニマスが好きなたくさんの人。
それぞれの違う人生は「シャニマス」を通して何度でも交わる。
人と人が行き交う交差点で、あの時ふいに立ち止まった交差点で。次のライブ会場で。
彼女たちは何度でも「時よ止まれ!」の魔法をかけて、私たちに素敵な時間をくれる。
変わりゆくことに抗うことは出来ないけれど、少しずつ変わりながら「変わらず」私たちの隣にあり続けようとしてくれる彼女たちに「ありがとう」の気持ちを告げ、このレポートの締めくくりとしたい。