
三日坊主日記 vol.297 『映画「ハミンンンンンング」のDVDを作っている』
販売用のDVDなので、手間もかかるし制作費もかかる。ひと昔前なら全国のレンタルビデオ店に並べられるし、DVDを収集している人もいたので作る必要があった。しかし、いまではほとんど配信で見るのだからDVDを作るうまみはない。うまみがないんだから作る必要はないのかも知れないんだけど、製作者としては少しでも見る人の間口を広げたいし、商品として残したいのでついつい作ってしまうことになる。
ザクっと説明すると、DVDにプレスするためには必要情報をオーサリングしなければいけない。本編、予告編、特典映像、字幕、など。本編はキャプチャーできるようにするために、10分とか15分ごとにカットして、サムネイルも用意する。そしてそれらをコントロールするためにメニュー画面を作っていく。本編再生とか、メニュー画面へとか、キャプチャーとか、次へ、とか文字が出てくるメニューだ。
映像、画像、音、それぞれの必要なデータを用意して、それを専門の業者さんに送ってオーサリングという作業をしてもらうのだ。そして出来上がったものをプレス会社へ送る。プレス会社にはオーサリングデータのほかに、盤面の印刷データとパッケージの中に入れる表紙の印刷データも一緒に送る必要がある。そして、何枚必要なのか、何枚売れるのか、売りたいのかを考えて発注する。少ないと単価が高くなるし、多くなると単価は下がるが全体の費用が上がるし、だいいち保管場所も考えないといけない。
これらの作業は、どれも手間がかかって面倒くさい。オーサリング用のデータはオーサリング会社が代行して作ってくれるんだろうけど、どうせその準備はこちらがしなけりゃいけないんだから、それなら最後までやったほうが早いし無駄な経費の節約になる。盤面とパッケージのデザインはデザイナーに頼めばやってくれるが、こちらもデータの用意とかかる経費を考えたら自分でやった方が良い。ということで、時間を見つけてはパソコンに向かって作業をしているのだ。
CMやプロモーション映像だけを作っていた頃にはなかった作業が、映画を作り始めてからグッと増えた。人を雇えばいいんだけど、我々が作る映画ではなかなか人件費をカバーできない。だからといってこれらの作業をしないと映画が広がっていかない。だからどうしても自分でやることになる。この時間を新しい脚本を書く時間に充てたり、もっとクリエイティブなことに時間を使いたいんだけど、なかなかそうはいかないのだ。
映画の完成は子供の誕生と同じで、そこから育てていかなくてはいけないと誰かが言っていたが、まさにその通りだと思う。これも映画を作ってみて初めてわかったことのひとつだ。じゃあ、次の映画ではこの子育てを自分だけでやらなくて済むようにするにはどうするか。なかなか簡単な答えじゃないけど、見つけないと次へ進めないんだよね。って、ボヤいてないでさっさと済ませろって話ですね、はい。
頑張ろう。