三日坊主日記 vol.273 『PCに於ける言語互換問題と連鎖の話』
先日の台湾旅行で現地のドキュメンタリー監督と、ちょっとしたご縁ができた。
帰国して、いただいた本をじっくりと読んで、彼の映画も見て、お礼のメールを書いた。さて、送る段になってふと考えた。このメールは何語で送れば良いのだろうか、と。普通に考えたら日本語で送って、先方で読みたい言語に翻訳して貰えば良いと思うのだけど、果たして本当にそれで良いのだろうか。
どうしてそんなことを考えたかというと、この人にもらった本(映画の記録)には同じ内容を3つの言語で書いてある。中国語と英語と日本語と。写真とともに常に3つの言語が並行して書いてあって、それがデザインにもなっている素敵な本なのだけど、日本語のフォントが少しおかしいのだ。
恐らく中国語のフォントを代用しているか、台湾で簡易に作った日本語フォントを使用しているために、日本語(漢字や句読点など)がちょっと難解なのだ。クレジットを見ると日本語翻訳には日本人の名前が入っているにも関わらずだ。
だから僕は、日本語で送っても向こうのPCに日本語が正しく表示されるフォントが入っていないとすると、こちらで書いた日本語が文字としてうまく表示されるのかわからないと思った。つまり、極端に言うと文字化けしてしまうのではないかと考えたのだ。では、僕が台湾語(中国語)に翻訳して送れば良いのか。それもなんだか心許ない。僕のPCに入っている中国語フォントが台湾で使用されている中国語フォントと互換性があるのかわからないからだ。
英語ならば間違いなく届くだろう。これまでいろんな国の人たちと英語でメールのやり取りをしている。お互いの英語力による行き違いはあっても、フォントがその原因になることはなかった。では英語で送れば良いのか、というとそうもいかない事情がある。僕は現地でその人と英語でコミュニケーションを取ろうとしたんだけど、彼は英語を話さなかった。と言うことは、日本人である僕が、わざわざ彼の話さない言語でメールを送ると言うのは失礼にあたるのではないか。
などと、なんだかとても大切なようで考えても仕方ないことに時間を使えないので、SNSでその旨を直接聞いてみた。すると、すぐに日本語で送ってくれという返事が来た。本当に大丈夫かなとちょっと心配しつつも、本人がそういう以上あれこれと考えても仕方がないので日本語で送ることにした。ちゃんと届いていれば良いのだけど。
現在ほとんどの国で販売されているPCで日本語が正確に表示されるはずだと思われるが、OSやメールクライアントによっては不具合が出てしまう可能性がある。こんなに進化した世の中なのに、やはり言葉の壁は存在するのである。日本語を使わない国にとってみれば、わざわざ日本人の為だけに漢字やカタカナやひらがななど、ローマ字を使う国々と比べてアホほど多い情報を組み込む意味はないのかも知れない。
と、こんなやり取りをしていると知人から「日本のエンタメコンテンツを中国へ輸出しないかと言う旨のオファーがあったんだけど、監督の映画は出せるか」と連絡をもらった。まだまだ雲を掴むような話らしいが、もう少し具体的になったら詳しい話を聞いて欲しいという。
どうしたらこのタイミングでこんな話が飛び込んでくるだろうか。不思議なくらいものごとが繋がっている。言葉でうまく説明できないけれど、誰かがどこかでこそっと見てるんじゃないかと疑いたくなるぐらい連鎖するのである。ほんとに世の中不思議ですね。