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三日坊主日記 vol.342 『一日が24時間っていつ誰が決めたのか』

昨日に続いて科学的な話を。


しかし、きょうのはちゃんとした物理学者が書いた本の話だから信用できる。知人に薦められてポチッていたまま積読になっていた本を読みはじめたら、いきなりかなりおもしろいことが書いてあった。こういうことって好きな人の間では結構有名な話だったりするのかも知れないけれど、僕はまったく初めて知ったので引用しておく。

 一日の長さは一年に0.000017秒ずつ伸びている。これは月が毎日満ち潮引き潮を引き起こす時、海水と海底との間の摩擦が、地球の回転をごく微弱に減速させるからである。その反作用で月は角運動量を得て、一年に3.8cmずつ地球から遠ざかることになる。それにともなって一月の長さも少しずつ伸びていく。

 珊瑚の表面には日々の潮の満ち引きが文様となって刻まれている。文様の季節ごとに異なる濃淡と合わせてみることで、一年に日の数だけ、365の筋が見られるのである。ところが考古学者のスクラットンが、3億5千万年前のオーストラリアの珊瑚をしらべて、そこには一年に385ほどの筋が刻まれていることを発見した。つまりその時代の地球では、一年は385日であり、それから勘定すると当時の一日が、23時間弱の長さしかなかったとわかるのである。同様なデータの蓄積から、6億年前の一日は22時間ほど、9億年前だと20時間ほどだったと推定されている。

 天文学者の計算では、500億年ののち、一日の長さは今の45日ほどになり、それはその時の一月の長さと揃ってしまうという。月がすでにそうであるように、地球もいつも同じ面を月に向けるようになり、地上には常に月が見える国、決して見えない国ができるであろう。地球からずっと遠ざかった月は太陽よりずっと小さく見え、もはや地上では皆既日食を見ることもない。どの海辺にいこうとも、決して潮の満ち引きは見られないだろう。

 しかしながら恐らくはその寂しい光景を、我々の子孫が目にすることはないだろう。その遠い将来の来るはるか以前に、赤色巨星となった太陽が、月も地球も呑み込んで焼き尽くしてしまっているだろうから。

全卓樹『銀河の片隅で科学夜話』より


いま現在この世界を生きている僕にはまったく確かめようもないことだけど、何回か転生しているうちにここに書かれていることを実際に体験するような時が来るかも知れない。そして、その時たまたま現在の記憶を思い出す可能性だってあるだろうし、この日記をなんらかのカタチで読むことがないとは言い切れないんじゃないだろうか。


それにしても、60年生きてきても世の中には知らないことばかりでイヤになる。恐らく100歳まで生きたとしても、世の中にはやっぱり知らないことばかりなんだろう。僕は一体なんのために生きているんだろうか。


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