三日坊主日記 vol.266 『アフタートーク、映画監督になりたい』
秋分の日。生憎の天気でしたが多くの方に『泥の子と狭い家の物語』をご覧いただき、ありがとうございました。
昨日の上映時に、若い男性が来てくれていた。
アフタートークで前に立った時にど真ん中に座っていたので目についた。なんというか、鳩が豆鉄砲を喰ったような顔とでもいうのだろうか。ポカンとしてなんだか変なものを見たような顔にもとれる。映画が気に入らなかったのだろうかと思いつつも、トークを進めていった。
しばらくお話しした後に、お客さんから質問が出るようになった。誰かが質問をしてくれると、そのあとは結構みんな手を上げてくれるので助かる。やはり僕から一方的に話すより盛り上がるし、話がどんどん展開していき、自分でも考えていなかったような方向に話が進んだ時などは、とても楽しい。
ある程度質問が続いた後に少し間が空いたので、その若い男性に質問を振ってみた。しかし、やはり、ほぼ無表情で「別にない」という応えが返ってきた。どうしても何か感想を聞いてみたい気もしたんだけど、無理強いはできないので諦めた。
終了後のロビーで皆さんを見送っていると、その彼が近づいてきて声を掛けてきた。なんでも彼は僕と同じ市に住んでいて、先日ここでも書いた、市の広報誌を見てこの上映を知り、見にきてくれたそうだ。そして、映画業界を目指していると。この春に大学を卒業して就職浪人していることも話してくれた。あまり突っ込んで詳しく聞かなかったが、自分が望む会社に入れなかったんだろうか。
映画を仕事にすると言ってもその職種は多岐にわたる。いったい映画の何をしたいのかと尋ねると、脚本と監督だという。なるほど、それはなかなか大変だ。大変なことではあるけれど、ぜひ頑張って欲しい。市の広報誌を見て同じ市内に映画監督が住んでいることを知り、わざわざ見にきてくれたのだ。とても嬉しく思うし、光栄なことだ。
成りたいではなく、成るんだと決めて、そのためにはどんな会社に入ってどうするのが一番良いのかをよく考えてください。とだけアドバイスしておいた。できれば映画の感想も聞きたかったんだけど、その話をする時間はなかった。残念。というか、監督志望なんだったら質問や感想のひとつやふたつはあっても良さそうだが。
ともかく、自分のしてきたことが回り回って、ほんの少しでも誰かの人生に関係しているというのはとても感慨深い。と、ともに責任も感じるのであった。
『泥の子と狭い家の物語』は明日が最終日。13時からの回の上映後にアフタートークをします。谷町四丁目のマテリアル谷町へぜひお越しください。
9/23(月/祝) 13:00〜(アフタートーク:西岡眞博監督)/16:00~