三日坊主日記 vol.53 『刀と拵(こしらえ)の美』
中之島香雪美術館で開催中の『刀と拵(こしらえ)の美』展に行ってきた。
平日の昼間に小さな私設美術館で開催する地味めの展覧会(完全に主観です、ごめんなさい)。館内は貸切状態だろうと思って行ったら、意外にも多くの人がいた(女性と外国人が多い)。その中のある一定数の方は、展示してある刀をじっとじっと息を詰めて長時間見つめている。知識のない僕には刃文の良し悪しなどは見分けがつかないし、価値のあるなしも分からない。ただ、とんでもない技術と手間をかけたモノだということは理解できる。
だけど僕なんかは刀の良し悪しよりも、この刀はどんな人が使っていたんだろう、とか。何人の命を奪ったんだろうか、とか。そんなことばかりが気になる。じっとじっと見つめている人たちは、いったい何を見ているのだろうか。
本物の刀を見る機会はほとんどないし、刀だけの展示を見るのは初めてだと思う。見てまず思ったのが、太刀といえども短いということ。時代劇など見ていると長い刀を巧みな剣術で操っているような印象を受けるが、実際は70〜80cmのものが多いらしい。
よくよく考えると、刃のついた、殺傷能力のある鉄の棒を至近距離で振り回すんだから、短い方が当然扱いやすい。長さの利点は少し離れていても届く、もしくは威嚇する。ということだから、それを選ぶこと自体最初から腰が引けているのかも知れない。知らんけど。
何年か前に、刀剣(剣士)をモチーフにしたプロモーションムービーを撮ることになって、居合い抜きの先生に指導してもらったことがある。太刀も持たせてもらったが、結構な重みがあり、とても振り回せないと思った記憶がある。腕力だけではダメで、身体全体を刀と一体化できるように鍛錬することが必要なのだ。何事も一朝一夕にはいかない。そういえばその時、居合い抜きを習いに行こうと思ったんだった。行ってないけど。
そもそも僕は刀剣マニアでも歴史マニアでもない。そんな僕がどうして刀の展覧会へ行ったのか。その辺りはまた今度。