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三日坊主日記 vol.59 『晴れ男と雨男』

久しぶりにスカッと晴れた。

ここんとこずっと曇りだったり雨だったりが続いたんで、今日は心身ともに爽快だ。稀に雨が好きという人がいるけど、ほんとかなと思う。雨音を聞きながら静かに自分の内側に潜って思考を巡らせる。分からないこともないが、どうも考えが湿っぽくなってしまいそうでいけない。

そういえば昔「雨音はショパンの調べ」というイタリア人歌手の曲を小林麻美さんがカバーしていた。とても都会的な匂いのする美しい人だった。他の女性歌手とは一線を画していて、大好きだった。好きというより、憧れか。きっと美しい歳の取り方をしているんだろうと勝手に思っている。

晴れるといえば、僕は昔から晴れ男だ。

なんせ一年で一番晴れる確率が高い、晴れの特異日に生まれている。物心ついた時から、学校の行事でも、友達と遊びに行く時でも、仕事をするようになってからの撮影の日でも、雨が降ったことがない。というのはちょっと言い過ぎで、実は演出家デビューしてから一度だけロケで大雨が降ったことがある。その時はカメラマンの機転で上手く乗り越えことなきを得たんだけど、ショッキングな出来事ではあった。

しかし、それ以外はほとんどお天気に困ったことはないと思う。それどころか、曇って欲しい時には適度に曇り、夕焼けが撮りたい時には結構な確率で美しく空が焼けてくれる。お天気で自分の運を使い果たしてるんじゃないかと心配になるぐらい、恵まれている。と思っている。とはいえ、人間の記憶なんて曖昧なモノだし、都合よく書き換えるし、保証の限りではないが。

晴れ男がいれば、雨男がいる。

僕の周りには有名な雨男が二人いる。一人はよく仕事をご一緒するプロデューサー。この人は、自他と共に認める雨男らしいんだけど、僕が一緒の時は雨が降ったことがない。いや、むしろ毎回狙い通りの光で撮れているので、僕の勝ちだ。

もう一人は、僕の師匠ともいえる演出家。この人の雨男説も業界で有名だった。僕がまだプロダクションにいて制作をしていた頃、この人と一緒に沖縄へロケに行ったことがある。ご存知のように沖縄は天気が安定し難いといいながらも、この時は本当に酷かった。ロケハンも撮影もずっと雨。当初の予定内では撮りきれないので、スタッフのスケジュールをなんとかかんとか無理やりやり繰りして貰い、ロケ日程を延長して、なんとか曇り空の中最終日に撮りきった思い出がある。そういえばこの人の作品は室内のものが多い。ジメっとした作風は雨男故のことだったのかも知れない。

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